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iPad3に関してはそれ以上のうわさがまったくないのだが、そんな大きなバージョンアップが待っているのならiPad2は買い控えようか、という気にもなる。
しかし僕はiPad2を買う。絶対に買う。
自分のためではない。大阪で一人で住む母親のためにだ。
以前から母の前でiPadを操作していると、興味深そうにのぞき込んできた。「へーそんなんできるんや」「すごいのー」「ちょっと触らせて」・・・。
「iPad欲しいの?」と聞くと、うなずく。「そやけど高いんやろ」。
買って上げたい気持ちはあったのだが、買わなかった。前面カメラとFacetimeが搭載されるのを待っていたんだ。
大阪の実家にネット回線を引き無線LANルーターを取り付ければ、ビデオチャットが可能になる。しかもつなぎっぱなしで。つなぎっぱなしのビデオチャットをしたことがある人なら分かると思うが、まるで相手が隣の部屋にいるかのような感覚になるから不思議だ。
このことはこれまでに存在しなかったメリットである。このメリットのためなら新しくiPad2を買っても、月々の回線料を支払ってもいいと思う。
さて僕のように考える地方出身者が東京にどれくらいいるのだろうか。実家の親のためにiPad2を買う人がどれくらいいるのだろうか。iPad2が高齢者層のネット利用の普及率にどの程度貢献するのだろうか。非常に興味深い。
米国の高齢者はパソコンのキーボードが打てるので、米国では特にiPadが高齢者のネット普及率をそれほど大きく引き上げる結果にはならないだろうが、日本ではiPad2が高齢者のネット普及率の向上にある程度貢献するのではないだろうか。iPad2は、米国とは違った影響を日本にもたらすのではないだろうか。
モバイル機器とタブレット機器がつながり、さらにはテレビにもつながる時代。そしてそうした環境を通じより多くの世代がネットに触れるような時代。そうした環境が拡大するにつれ、人々の情報発信欲求がより高まることは間違いない。TwitterやFacebookがおもしろくないという人は、自分の友人など大事な人間関係がオンラインでつながっていないからだ。大事な人間関係がつながり情報発信が手軽になれば、ほとんどの人が活発な情報発信を始めるだろう。
そのような環境の中でどのようなサービスが登場し、社会はどのように変化するのだろう。「Path」や「ベビログ」、「instagram」といった家族間コミュニケーションのサービスの利用が高まるのではないかと思う。
iPadやスマートフォンのようなデバイスは、コンピューターユーザー以外の人たちもオンラインでつなぎ情報発信の輪を広げる最初の兆しとなるデバイスである。なんだかわくわくする変化の兆しになりそうな気がする。
高齢者や家族コミュニケーションデバイスとしての需要はあると思う。NTT東日本が躍起になって販売している「光iフレーム」はまさにそこがターゲットだ。いろいろなメディア系事業者などと協力しつつ売る気まんまんである。しかし、僕の母親のように「電話のようにいかないネットは信用できない」(IP電話つかってるくせに)という人の意識を変化してもらうことはできるのだろうか。プレゼントしてみるけどね!