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社員4人の米Instagram 8カ月で500万ユーザー達成の理由【湯川】

[読了時間:2分]

 iPhone上の人気写真共有アプリInstagramが、500万ユーザーに達した。米TechCrunchの取材にInstagram創業者のKevin Systrom氏が答えたもので、ユーザーの伸びに合わせて投稿写真数も大幅に伸びており、今週末にも総投稿写真数が1億枚を超える見通しという。サービススタートからわずか8ヶ月での快挙。しかも社員はたった4人というから驚きだ。

 Instagramの何がそんなにすごいのだろう。Instagramは言わば、写真版のTwitter。140文字でつぶやく代わりに写真を投稿するというサービスだ。それだけ?それだけだ。

 あえて言えば、フィルターと呼ばれる機能がついていて、12個のフィルターから好きなものを選ぶだけで、写真がセピア色に変わったり、と写真加工が簡単なことが特徴と言えば特徴。

 写真版Twitterのジャンルに入るようなアプリは他にも山のようにあるし、音声版や映像版Twitterと呼べるようなアプリもこれまた山のようにある。それにEcofonなどのように、Twitterクライアントと呼ばれるサードパーティ開発のTwitterアプリのほとんどに写真搭載機能が搭載されている。

 なぜInstagramだけがこれほど人気があるのか。僕自身不思議だし、多くの人も不思議に思っていることと思う。TechCrunchが最初にInstagramのことを紹介した記事のコメント欄には、「フィルター機能はおもしろいけど、それくらいしか特徴のない写真共有アプリをもう一つ使いたいだろうか」といったような疑問が寄せられている。


 Instagramの大成功を取り上げた米New York Timesの記事では(1)Twitterで情報発信することに慣れた人が増えたところで、スマートフォンが普及し、140文字よりも簡単なコミュニケーションである写真共有の流れになった(2)スマートフォンのカメラできれいな写真を撮るのが難しいため簡単にきれいに加工する機能が受けた、と分析している。

 果たしてNew York Timesの分析で合っているのかどうか。どうもピンとこないので、TechWave塾の塾生OBで構成するオンラインコミュニティにこの疑問を投げてみた。塾生のほとんどは、ベンチャー企業の経営者や大手企業の企画担当者なので非常におもしろい意見が返ってきた。幾つか紹介したい。

元ソフト屋からの感想ですが・・・。NY times に加えて・・・・やはりアプリ自身が良く作り込まれていると思います。カメラアプリはたくさんありますが、その中でも優れた操作性や味のある写真、友人アクティビティの表示等々、総合的に気持ちよい設計がなされていると思いました。アプリは消費されるので如何に飽きさせず、何度も立ち上げてもらえるかが重要なポイントですが、instagramはそこが優れていると感じています。(ベンチャー企業経営者のTKさん)

デザイン&アート系の動きでは、もともとトイカメラのファンがいて(写真スペックオタクとちょっとちがうアート系の流れ)それがアプリになったときにちょうどソーシャル系の流れとマッチしたんだと思います。あとは日本のガラケーではカメラはハイスペックで、しろーとさんがとってもそれなりですが、iPhoneのカメラはスペックが相当しょぼいので、しろーとさんがとるとなんとか加工しないと雰囲気だいなし!これを補完するのに、トーンをがっつり変えるフィルターは(ガラケーのない国では)大ヒットなんだと思います。自分のまわりでinstagramを使っている日本人は、おされなライフスタイルをおっされにプチ自慢できるが、テキストで自慢するよかうざくないといったところだと思います。たとえば海外旅行にいくんだというと大自慢になるが、さらっと海外からinstagramで写真を1枚アップすると受け入れてもらえるというか、たとえばいいバルコニーをつくったんだけど、やっぱり写真1枚でさらっと伝えると嫌味にならないというか。。。(デザイナーのTSさん)

instagram分析について、僕は「スマホで撮影した写真をソーシャルメディアでさくっとシェア」に特化したことだと思います。スマホ増加のタイミングジャストミートで、“ちょっと美しく加工して共感を得る”という上手なマーケティング感覚。(ブログメディア副編集長のMMさん。って書いてもマスキンだってことがバレバレかw)

もともと写真って、フィルムのころからアルバムにして友人にシェアしたり、飾ったりするところまでができて完成形だったと思います。デジカメになっても、いちいちシェアするの面倒だったわけで、それが最初からシェア前提で撮影するという逆フローの発想がユーザーニーズに合致したのかも?ソーシャルメディアができたことで、古いサービスを焼直してみたら、ユーザーニーズに合致するものができた好例かもしれませんね。(ベンチャー経営者TAさん)

 やはりユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンス、つまり使い勝手がいいということなんだろうか。TechCrunchの記事で、動画機能に関する質問に対し、Systrom氏は「当然、今後の開発計画の中に入っていますが、でもまだ今は動画機能搭載の時期じゃないと思います。現状ではダウンロードに時間がかかりすぎる。Instagramは、素早く美しいエクスペリエンスでなければならないと考えています」。テクノロジーよりも使い勝手を重視しているということなんだろう。

 読者のみなさんは、なぜInstagramがこんなに人気なんだと思いますか?

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