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同居人をコンセプトで集める「Colish(コリッシュ)」が誕生【増田(@maskin)真樹】


[読了時間:2分]

 “シェアハウス” ・・・TechWaveの読者なら聞き馴染みがあるかも知れないが、おそらく大半の人は「家を共有する、まさか他人と?」と疑問符が浮ぶのではないだろうか。しかし、アメリカやカナダ、オーストラリアを中心に、賃貸コスト低減のため、もしくは価値観の合う人との理想ライフスタイル実践の手段として普及しており、CragsListなどクラシファイドサービスで気軽に募集が行われている。その波は日本にもじわじわ押し寄せているのが現状だ。

 本日登場したシェアハウスのためのサービス「Colish(コリッシュ)」は、自分が理想だと思うシェアハウスのコンセプトを企画として提示し、それに対する賛同者を集うことができるサービス。スタート直後ではあるが、例えば「研究コミュニティの集まる場「博士のシェアハウス」」といった具体性のあるコンセプトが募集されている。募集内容には人数と締切が設定されている。応募したり募集をかけるにはfacebookアカウントを介してログインする必要がある。




 このプロジェクトは世界中で実施されている企画開発ワークショップ「Startup Weekend」に参加したメンバーが54時間という制限時間の中で想起したウェブサービス。短期間ではあるが、濃密な議論、そして集中した作業プロセスを通過するため、洗練された企画が誕生しやすく、実際に会社として発展したプロジェクトもあることから注目を浴びている。

 「Colish(コリッシュ)」プロジェクト代表の小原憲太郎氏は「欧米ではコスト低減のためにシェアハウスを選択する傾向が強いが、このプロジェクトではそこを変えたい」と日本発ならではの特徴を持ったサービスとしたいと説明する。

私が大学生のころに、京都にあるシェアハウスを経験しました。
2階が住居スペース、1階をコミュニティスペースとした町屋型のシェアハウスでした。

誰でもウェルカムではなくて敢えて「一見様お断り」のシェアハウスで、住民以外の人たちも「ただいま」「おかえり」と言える、とても絆の深い、家族のようなコミュニティが生まれました。

それはまるでリアルな招待性SNSのようなコミュニティでした。「自分が自信を持って紹介をしたい友人」を連れてきては紹介し合い、夢や悩みなど夜通し語り合っていました。そこから多くの縁やプロジェクトが生まれ、私自身そこで出会った仲間と起業することとなりました。

価値観ややりたいことが深く一致する人が集まる場所には「エネルギー」のようなものが生まれます。それはさらに人を引き寄せ、新しいものを生み出していくのです。Colishは、まさにそのよう化学反応のような効果を創出する一助になればと思い作るに至りました。

 現在、コアメンバーは9名(マーケティング担当が3名、デザイナー2名、プログラマ4名)。プロジェクトに共感したメンバーと “とにかく生み出す” といった考えでサービスローンチにこぎつけた。まさに産声を上げたばかりなのだ。

 Colishプロジェクトは、今後1年で会員10万人まで増やし、将来的にはシェアハウスが広く根付いているアメリカやカナダ、オーストラリアへの展開を計画している。国内におけるシェアオフィスの認知を高めるために、物件オーナーなどと連携し、アイディアコンテストを実施したり、住民以外もシェアオフィスと関わりを持てるカフェを併設する企画などを検討中だという。

■ 関連URL
・[Colish]コリッシュ – Concept x Life x Share 〜誰と、どんなふうに住む?〜
http://colish.net/

蛇足:僕はこう思ったッス
ソーシャルメディアの普及で、国内利用者の共有に関する意識は少しずつ変容していると思う。特に、ネットリテラシーの高い人が集まる都心では、時々シェアハウスを実践している人を見かけるし、今後も増えると思う。このプロジェクトのいいところはコンセプトに人が集まり、日常生活という継続行動を実践するという点。小原さんの言う通り、価値観や目的意識で共感できる人とのつながりは、次の世代につながる何かを生み出すと思う。

蛇足:オレはこう思う


湯川鶴章

 僕はアメリカで貧乏な学生時代を過ごしたので、基本的に家や部屋をだれかとシェアしていた。学生は基本、誰かと一緒に生活する。アメリカではそっちのほうが一般的なんだ。この、家族以外の誰かと一緒に生活するという体験を通じて、僕自身、実にいろんなことを学んだ。大学の授業よりも多くのことを学んだ気がする。

 そして最近では、旧態依然とした日本の教育制度のおかげで、日本社会が今だに情報化社会に移行できていないことに本当に苛立っている。受験生を持つ親の中には今だに日本が右肩上がりの経済成長の中にあると考えているんじゃないかというような人が非常に多い。なんだか非常に膨大な資金と労力がどぶに捨てられているように感じる。大学ってもう必要ないんじゃないかとさえ思う。目的意識もなく一流企業、一流大学を目指すことは、まったく無意味。プログラミング、マーケティングを含め、これからの社会を生きて行くのに必要なスキルは、仲間とのP2Pの関係で切磋琢磨しながら学んでいく。それこそが情報化社会の教育のあり方じゃないだろうか。その最適の場所がシェアハウスだと思う。

 そういう意味でColishは、すばらしいプロジェクトだと思う。TechWave塾のOBで、チームTechWaveのコミュニティーの中で積極的に活動してくれている小原憲太郎さんが、このプロジェクトで中核的な動きをしていることを誇りに思う。シリコンバレーの一軒家のガレージが多くのベンチャー企業を生んだように、シェアハウスを通じて学び、起業する若者が日本の情報化社会をけん引してくれるようになるのではないか。その日が来るのを、心から待ち望んでいる。

著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 コードも書けるジャーナリスト。イベントオーガナイザー・DJ・作詞家。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。フリーで関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。“IT業界なら地方で成功すべき”という信念で宇都宮市から子育てしながら全国・世界で活動中。 / ソーシャルアプリ部主宰。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。
メール maskin(at)metamix.com | 書籍情報・詳しいプロフィールはこちら


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