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米Facebookは、Facebook上で利用できる音楽アプリを友人が利用していれば、その友人が聞いている曲を同時に聞きながらチャットできる機能を実装したと発表した。ただ日本ではまだしばらくは正式に利用できないもよう。
Facebookの公式ブログによると、画面の右端の下半分のチャット可能な友人のリストとのところに、Facebook上の音楽アプリを利用している友人がいれば、音符マークが表示される。そこにマウスオーバーすれば、ポップアップ風のウインドーが表示され、友人が聞いている楽曲の曲名が表示される。またそこにある「Listen with」と書かれたボタンをクリックすれば、その曲を友人と同時に聞くことができるようになっている。曲を最初から聞くのではなく、友人が既にサビの部分を聞いていれば、その部分から始まる。完全同期で、友人と音楽を楽しめるわけだ。
現在利用できるのはFacebook上で音楽アプリを提供しているSpotifyだけで、今後それ以外の音楽サービスでも同様の機能を楽しめるようになるという。
音楽の楽しみ方といえば、昔は友人の家に行き、レコードを回し同じ曲を聞きながら会話を楽しむ、ということが頻繁に行われた。ところがウォークマンやiPodの登場で、音楽は個人で楽しむものに変わってしまった。Facebookは、音楽を再び「友人と同時に楽しむもの」にしようとしているわけだ。
離れた場所にいる友人と同時に同じ体験をすることを「テレプレゼンス」という言葉で表現することが一部で始まっている。テレプレゼンスは、ソーシャルメディア普及以前には、実現が困難なサービスだったが、実際に試した人の間では非常に評判がよく、この新しいエクスペリエンスが次の潮流になる可能性が出てきている。Facebookは音楽を手始めに、あらゆるメディア素材を使ってテレプレゼンスのサービスを実装していく考えのようだ。
音楽をオンライン上で楽しむサービスとしては日本発のBeatroboがある。TechWaveでも取り上げたように、急成長を続けているようで、BeatRoboの浅枝大志さんによると、昨年12月20日にリリースしたばかりなのに既に月間ユニークユーザー数で1万人を超え、Facebookの「いいね!」ボタンを押した人の数は18万人近くにもなっている。(関連記事:友人と同じ部屋にいるように音楽を楽しめる「Beatrobo」が最高の完成度でローンチしたよ 【増田(@maskin)真樹】、「Beatrobo」衝撃のリリースから一夜明け…CEOファウンダー浅枝大志氏インタビュー 【増田(@maskin)真樹】)
浅枝さんによると、Facebookの音楽機能の強化は想定の範囲内。ただチャットのところに音符マークを表示するための技術仕様はspotifyに先行公開されただけで、Beatroboなどのアプリメーカーにはまだ正式版は公開されていない。とはいえBeatroboも、一部公開されている情報をもとにいつでも同様の機能を実装できる準備は既にできているという。
オンラインで音楽を聞くサービスは、spotify以外にもTurntable.fmなどがあったが、浅枝さんによると今回Facebookがspotifyとの連携を強めたことでFacebook上での音楽インフラはspotifyで確定した、という。spotifyと競合しようとするところは、軒並み敗退する運命にある、ということだ。
同様のサービスでLast.fmがあるが、Last.fmはspotify上でアプリを提供することを決めている。spotifyがソーシャル時代の音楽インフラになることを見込んだ上で、そのインフラ上で何を提供できるのか、という戦略に変更したわけだ。Last.fmは、プレイリストなどのデータを基に、ユーザーが好きになりそうな楽曲を推薦するレコメンデーション機能が充実しているといわれており、それを強みに生き残りを模索しているようだ。
ではBeatroboはどう戦うのか。浅枝さんは、あえてテレプレゼンスとは逆の方向を目指すという。同じ時間に同じ曲を聞くというエクスペリエンスへのニーズは認めるものの、同じ曲を違う時間に聞くというエクスペリエンスにもニーズがあるはず、というわけだ。
浅枝さんは「非同期でいきます。違う時間帯に聞いてもコミュニケーションできる。いわば音楽のニコニコ動画みたいな感じでしょうか」と言う。
また複雑な著作権の権利関係を回避するために、音楽を聞くという行為よりも、それをベースにコミュニケーションする、という部分に焦点を当てたサービスにしていくのだという。
そのBeatroboは本日夕方にバージョンアップを予定しており、擬似同期機能などを搭載するのだという。