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究極の求人検索エンジン「スタンバイ」、 開発者90名体制 社運をかけて挑むビズリーチ南壮一郎氏の野望 @maskin

転職情報サービスを展開するビズリーチは2015年5月26日、求人情報の検索エンジン「スタンバイ」の提供を正式に開始した。すべての業界・業種、すべての契約形態の求人情報を無料で探せるもので、求人を登録したい企業も無料で利用できる。オープン時点で約300万求人情報を掲載。創業6周年、従業員520人を突破するまでに成長した同社が、集大成として位置付けるサービスだ。

ビズリーチはこれまで、ブラックボックスだった採用市場に切り込み、企業と求職者が直接やりとりすることができるサービスを複数展開してきた。「スタンバイ」では、自社が提供する情報のみならず、あらゆる求人情報を集約し、キーワードや位置情報などで検索できるポータルサイトとなる。利用料は無料。求人情報をスタンバイに直接掲載できる仕組みも企業向けに提供するが、その利用料も無料。収益は検索結果ページに表示される広告からの収入のみと考えているという。

「採用に予算を割けない中小企業に利用してもらい、採用市場にイノベーションを起こしたい」というビズリーチ 南壮一郎社長に話を伺った。

検索エンジン「スタンバイ」はなぜ生まれたか?

この話をするにあたり、過去・現在・未来、というのが重要だと思うんです。
これまでこの会社で何をやってきたかというと、根っこの部分は変わっていなくて

働き方をより効率的にしたいし、より良いものにしていきたい。働くという市場をよくしたい。
私達は、この市場を可視化したい。これをインターネットの力で実現できれば、個人にも企業にもプラスになるだろうと考えてきたわけです。

これこそがインターネットがなしうるである可能性の本質だと思っており、私達は仕事の市場の可視化という領域でやりとげようとしています。それが、転職サービス「ビズリーチ」やキャリアトレックという事業が生まれた背景にあります。


ただ、ビズリーチもキャリアトレックも、それぞれベンチャー創業1年目、4年目に作った事業である故に、どうしても多様な制限に縛られてやってきたという部分があるんです。
いきなりすべてやるといっても、力もなければ資金もない。だから、ある特定の領域に特化して深堀りすることで、大手の競合などに対しても、「ここだけは自分たちの領域だ」と強みを出すことができる。

例えば、ビズリーチについていうと、30~40代のプロフェッショナル人材向けに特化した。キャリアトレックは20代の若手向けに正社員のポテンシャル人材向けに展開してきました。それぞれ異なる領域ですが、「ダイレクトリクルーティング」という言葉で、それぞれの市場を可視化することによって、効率化や不便さをなくすことをやってきたのです。

日本の仕事市場に良い影響を与えたのか、520人の従業員が生活できるだけの収益を得れるようになったらそれでいいのか? それがちょうど創業5年を過ぎた1年前くらいから考えてきたことなんです。これで満足していいのか? 今までやってきたことがどれだけの影響を与えたのか?

そう考えていくと、僕たちは限られた領域でビジネスをやってきたという現実をまざまざと見せつけられるんです。ビズリーチとキャリアトレックがやってきた仕事市場の可視化は全体の何パーセントなんだろう?

そこで、半歩さがって、本来会社採用ってどうあるべきなのかな? 理想論でいえばどうなのか?と考えました。

会社が人を探す、人が仕事を探す、これが仕事の市場であるならば、「すべての求人、すべての求職者」要するに人を探す企業、仕事を探す個人が一つの場所に集まって、直接、 簡単に摩擦なくコミュニケーションが取れればそれでオーケーだよね。という結論に至ったんです。これまでなんて小さい領域だけに挑戦してきたんだろう、とも思います。

これが本質的な究極なら、やらない理由はない。すべての業種と職種、すべての契約形態、すべてのニーズが集まる、すべての人が集まる、そういうものをこの会社はやるべきじゃないか。もっというなら社運を賭けてもでチャレンジするべきだろう。そんな思いが「スタンバイ」という事業の原点です。

採用に苦しむ日本の中小企業のために

2015年4月に、中小企業庁から2015年版「中小企業白書」が発表されました(全国約385万社の中小企業の経営状況を分析した報告書)。そこにおもしろいことが書かれていたんです、なんと4割弱の会社が、採用できないと回答しているんです。採用できないから、自分達の会社の成長が阻害されています、採用問題が弊害となっている。

採用できていない会社の何が問題か、そこを見てみると56%の企業が「採用コストが高過ぎるから」と回答しているんです。コストに見あう効果がない。
では、どうやって採用活動をしているのですか? という質問に69%の人が「ハローワーク」と回答しているんです。理由は「無料で求人情報を掲載できるから」ということでした。

では、視点を変えてグローバルで採用の状況はどうか? ニューヨークを本拠地とし、世界40カ国約180都市にわたり採用コンサルティング事業を展開しているマーサー (Mercer Ltd.)の調査によると、世界で最も採用が難しいとされるのは日本だったんです。

理由は単純です。採用にかかるコストが「高過ぎる」んです。採用の仕方もブラックボックスでよくわからない。この2点。

だから無料で簡単という「スタンバイ」のコンセプトは、この問題を解決すべく設定しているんです。求人情報を作成して掲載するのも無料、応募管理のシステムも無料、採用が成約しても一切お金はもらわない。システムもクラウド以上にあるのでログインして誰でも使用できる。こういった形で、使わない理由を無くしていきたいんです。

仕事探しの新しい世界

仕事を探す個人のためには、インターネット上のすべての求人情報を収集し、キーワードや位置情報で一括検索できるようにします。もちろん利用料は無料。スタンバイのシステムで投稿した求人情報もこの検索結果に表示され、そこから応募するのも無料、採用が確定しても無料です。



各社がホームページなどに掲載している求人の場合、直接先方に連絡して応募してもらう形になりますが、実はそもそも自社ホームページに求人を掲載している企業は13%しかいません(前出の中小企業白書)。

ホームページに求人を掲載していない会社も、スタンバイなら無料で簡単に掲載できる。全ての求人情報を「スタンバイ」に掲載したいし、そうすることで企業と個人が自由にまじわることができるんです。いろいろマッチング方法はありますが、スタンバイでは検索エンジンベースにしました。これならきっとイノベーションを起きるでしょう。

「スタンバイ」は時代に求められている、マスを取りにいく

「スタンバイ」は、「ビズリーチ」や「キャリアトレック」とは全く別の事業です。これまでは、特定の領域に特化して深堀りしていきましたが、これからやろうとしているのはマスを取るということです。

冒頭で申しあげた通り、自分達がこの会社をやっていることは、社会をより良くすることなんです。
私が楽天球団を作った時に学んだことですが、やるんであれば、より良くするような大きな影響を残したい。そうなると必然的に大きな市場を取りにいかなければならない。

構想1年の末、たどりついたのが「スタンバイ」の形しかなかった。 インターネット上の全ての求人情報が検索できる。企業は無料でその場に求人を掲載することができる、理想郷的なマッチングスペース。 それを実現するために、すでにこの事業に40人のエンジニアを投入。今後も90人体制まで増やす考えです。

アメリカをみたとき、個人でキャリアを考え、積極的に転職するような人材の流動化がおきています。しかし、アメリカは1980年代前まで第二次産業が中心の時代で、終身雇用バリバリで、女性が仕事に出ることもない時代がありました。しかし、製造業が中心の第二次産業が世界で通用しなくなり、第三次産業への大転換が始まり現在に至るわけです。そこで第二次産業と相性が良かった終身雇用が崩壊し、人材の流動性が生まれていきました。

こういった変化も日本でも同じ転換期が到来していると思います。戦後の復興は製造業が軸となり、終身雇用が定着しました。しかし、産業構造は変容しており、雇用制度もそれにあわせて変容すべき。そういった観点からもスタンバイは時代が求められるサービスと考えているのです。それは企業のさけびから見ても明らかです。

(ビズリーチ CEO 南壮一郎氏・聞き手 増田真樹)



【関連URL】
・スタンバイ 日本最大級の求人検索エンジン
https://jp.stanby.com/



蛇足:僕はこう思ったッス
採用はいびつだ。IT業界にいても、人づてか高額なヘッドハンターが目につく。地方では、新聞の求人チラシかハローワーク依存、良い採用活動ができているか疑問だし、求職者も幅広い職に出あえているかと問われると疑問符を付けざるを得ない。
ところが、僕が住む栃木県宇都宮市近辺で、位置情報ベースでスタンバイ検索をしてみると「え、こんな求人もあるの?」という出会いが多数。その地域の仕事の給与水準もすぐに把握できるのにかなり驚いた。「アベノミクスがいう地方創生などにも貢献する」と南氏は言うが、確かに「求人が可視化される」その通りだと感じた。
全国的にみたらそのインパクトはどうだろう。仕事が見えることで、採用成約率は当然向上するだろうし、キャリアや働き方を考える機会を生まれるだろう。終身雇用後の人材流動社会はすでに到来しているとするならば、スタンバイの存在価値は全国で高まるのは必然なのかもしれない。
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