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2018年、シリコンバレーのVCは今どこに投資するのか? Collision 2018 特別レポート第3弾

Collision 2018イベントレポート
あのWeb Summitの北米版、2万5千人を集めるテクノロジーイベント「Collision」が2018年4月30日から5月3日にかけて米・ニューオリンズで開催されました。
スタートアップや企業のイノベーションをリードするエクゼクティブが集結するこのイベントですが、日本からの参加は極めて少ない状態(昨年は1名、今年は6名。)TechWaveでは昨年に引き続き特派員を派遣し、ここでしか読めない特別レポートをお届けします!(Collision 2018レポート一覧

2018年、シリコンバレーのVCは今どこに投資するのか?

スピーカー:
Rob Hayes(ロブ・ヘイエス) Partner, First Round Capital
Christine Tsai (クリスティーン・ツァイ) Founding Partner & CEO 500 Startups
Mike Maples (マイク・メープルズ) Founding Partner, Floodgate

モデレーター:
Alex Konrad (アレックス・コンラッド) Staff Writer, Forbes

スタートアップというとシリコンバレーというイメージはいまだに根強く浸透していますが、シリコンバレーのVC達はシリコンバレー以外にも視野を広げています。このパネルセッションでは、500Startupなどのシリコンバレーで影響力のあるVC達が今注目している投資先について紹介。ここから次のトレンドが見えてきそうです。


やはり注目は、仮想通貨、ロボティクス。新興国も要注目

Forbes アレックス・コンラッド(以下、アレックス): 早速だけど、今どういった分野のスタートアップに注目していますか?

First Round Capital ロブ・ヘイエス(以下、ロブ): アグリカルチャー(農業)、ロボティックス、コンピュータービジョンかな。アグリカルチャーは特にここ最近でテクノロジーが発展してきて実用的になってきたものも多いしね。

500 Startups クリステン・ツァイ(以下、クリステン): 500Statupsは元々米国内で投資を行ってきたけど、最近は東南アジアなども見ているわ。Grab(*1)などの面白い企業が出てきてるしね。その他にも中国やインド、ラテンアメリカなどもレーダーをはってる。

分野でいうと、クリプト(仮想通貨)はやっぱり注目。シリコンバレーでは、もうコマースはスタートアップとしては古いというか、たくさんありすぎてアレルギー反応を起こす人が多いけれど、東南アジアなどではまだ新しい分野だったりするのでその辺はシリコンバレーのバイアスにかからないように気を付けてるわ。

Floodgate マイク・メープルズ(以下、マイク): 90年代にインターネットが発展しはじめて、ハードからソフトが主流になった。そこでの大きな問いは、コミュニケーションが円滑になったその状況をビジネスに活かすかということだった。今、A.I.が市場を独占するという話が多いけれど、問うべきは“予測が無料でできる”時代に何をするか、ということ。そういう視点から見ているスタートアップに興味を感じている。

世の中に変化を起こすようなスタートアップに出会いたい

アレックス @Forbes:  Collisionにはたくさんのファウンダーも参加しているけれど、皆さんはどんなファンダーに会いたいと思っていますか。またどれくらいの規模感やタイミングで投資をしていますか。

マイク @Floodgate: 僕はLyftのファンダーがとても好きなんだ。彼らは本当に人々の生活を改善しようとしているんだ。僕たちは割とアーリーステージで投資することが多いんだ。その時に大切にしているのは、世の中を変えるようなスタートアップかどうか、また問題解決力があるかどうかという点。投資のタイミングは一番難しい。早すぎても遅すぎてもだめ。成功するチームというのは、投資のタイミングが会社規模や時期に合っていることが多い。

クリステン @500 Startups: 私も同意。最初の企業としてのプリンシパルが大事。ファンドが欲しいからという市場を見ているだけのスタートアップより、顧客や社会的貢献を目標にしている企業に投資したいと思っているわ。A.I.などインフラ関連のスタートアップはたくさんあるけれど、たいていの場合顧客が誰だか、そもそも何のためにつくっているかというコアが抜けている場合が多いのよね。ファウンダーに会ったとき、そこが抜けているとイエローカード。

ロブ @First Round Capital: 僕もほぼ一緒だね。ユニークなインサイトがあるかどうかはとても重要なポイント。特定の問題を解決できるかどうか。例えばUberの場合、サンフランシスコでのタクシー混雑を解決するという非常に明確なゴールがあった。昨今多いA.I.のサービスやプラットフォームは、何でもやりたいことができます!と問題解決が起業任せである企業が多い。それでは根本的な問題解決にはなっていない。
マイク:そうそう。MOUがどうとかより、もっと全体的なビジョンがあるかどうかという点を見ている。

ネクスト・ユニコーン発祥の地はシリコンバレーにあらず?!

アレックス @Forbes:  最後に今年はどこに投資しようと思っているか教えてもらえますか?

ロブ @First Round Capital: 今までも色んな場所で投資してきた。ニューヨーク、サンフランシスコ、ロスアンゼルスなど。テキサスなども視野に入れて検討してきた。以前は、起業はどこでもいいけど、成功するにはサンフランシスコなどに移ってこなければならないという話あった。今ではそういう状況もだんだん少なくなってきてる。

クリステン @500 Startups: カナダや東南アジアですかね。次のユニコーンはシリコンバレーの外で起こるか?という質問に対しての答えは、イエス。シリコンバレーの投資家もすでにシリコンバレー以外の企業を見ている。色んな場所にどうのように対応するかは新たな課題だけどね。

マイク @Floodgate:スタートアップはシリコンバレーでもできるけれど、大きくなるためにはFBやグーグルとの競合と競り合わなければならないという現実がある。10-15名規模の小さい規模のスタートアップはこれからもシリコンバレーに増え続けると思うけれど、GoogleやFacebookのような大きいスタートアップがシリコンバレーから誕生するのは少なくなるかもしれないと思っている。

クリステン @500 Startups: 確かにそうね。それならユタとかマイアミとかの方がいいのかもね。ユタもエンジニア獲得競争があるから大変だけど。

(了)

【関連URL】
・[公式] Collision Conf
・[特集] Collision 2018レポート記事一覧
・[記事] TechWaveが世界最大級のテクノロジーカンファレンス 『ウェブサミット』の日本公式パートナーとして始動

蛇足: 特派員より
もうシリコンバレーだけにアンテナを張るだけでは時代に乗り遅れてしまうのだなと思いました。北米もアメリカだけでなくカナダも要チェックのようですし、アジアもというと全世界の情報を常に仕入れていく必要がありますね。

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