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手数料5万円 公証人によるスタートアップの定款認証は必要か、パブリックコメント7月23日まで募集中

日本におけるスタートアップのブームが再燃してすでに5年以上が経過しています。投資可能金額は2000億円以上あるともいわれますが、起業が促進され、雇用が生まれ、新たな産業が成長しているようには見えないのが現状です。

日本にスタートアップが出てこない理由はさまざまな視点で語られますが、今、創業プロセスにおける大きなコストとして度々注目される「定款の公証人認証」についてのパブリックコメントの募集が2018年7月23日まで行われています。

なぜ、公証人認証がスタートアップ誕生を阻害する原因になるのか、内閣官房が2017年に公開した「法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて」という文書をみるとハッキリわかります。

平成29年9月 内閣官房 日本経済再生総合事務局が発行した「法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて」の1場面。法人設立において日本は極端に手続きが多いということがわかります。

現在、法人設立にかかるコストは、合同会社なら6万円から株式会社なら20万円からとされています(参考「会社設立にかかる費用は?」)。定款等を電子化することで収入印紙代4万円が削減されますが、株式会社の場合、免許登録税15万円はともかく、公証人手数料で5万円を支払う必要があります。

しかも、このプロセス、短期間で対面で話を聞くだけのもので、そもそもの「その内容の明確性を確保し、後日紛争になったときにその内容を確実に証明し、不正行為を防止する」という目的を達成しているようには見えないという問題があるのです。

実際のところ、報道の記事で公証人の発言「本当に簡単な仕事」と紹介されているほか、中央大学大学院法務研究科教授 大杉謙一氏も当パブリックコメントへの協力を呼びかけるほか、実際に以下のような意見を提出しています。

(1)改正案が犯罪抑止の実効性を欠くこと
(2)改正案が起業を阻害すること
(3)改正案は「公証人による認証」のあり方を歪めるものであること
(4)改正案の立案過程に疑問があること

この4点を理由に、「公証人法施行規則の一部を改正する省令案」に反対の意見を述べるものです。

日本政府自身は冒頭のような文書を発行するくらいですから、法人設立のオンライン化を促進し起業率を向上させようとするものの、明らかにその流れに反し起業意欲を削ぐような手間と仕組みの象徴として残り続けている状態です。

今回、パブリックコメントを募集している省令改正は、法人登記時の定款の公証人認証や反社会チェック等を制度化しようとするものです。公証人は必要か?ブロックチェーンなどの技術を使った方が反社会的行為を抑制する効力を発するのではないか?スタートアップや事業創造、投資などに関わるみなさんの意見が求められています。

【関連URL】
・[公式] パブリックコメント募集(2018年7月23日まで)
・[PDF] 法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて

蛇足:僕はこう思ったッス
昔、東証のトップに、上場するのに最も必要なことは何か?という質問をしたところ「ウソをつかないこと」と明言されていたのを思い出す。法人やNPOなどは反社会性力の隠れ蓑になることが非常に多いという話で、実際に自分自身もそういった事案を頻繁に耳にしていた。対策が必要なのは分かるが形骸化したものを制度化することは無意味だと思うし、そもそも公証の成果があがってないのではないか?と思う面もある。自分もパブコメ参入しようと思う。

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