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アドテク企業の「Frige81」が上場後に仕掛ける事業は “HR(人的資源)” の領域でした。 「Unipos」は、従業員同士が成果給を送り合うピアボーナスを実現するものです。(参考「同僚にボーナスを送る新しい成果給「Unipos」、Fringe81が提供へ」)
Fringe81代表取締役社長 田中弦氏は「これが新世代の組織を元気にする新しい給与の“再発明”」だと強く主張します。
「みなさんはおそらく人や組織に対して何らかの課題をお持ちだと思います。人や組織について課題をもっていない会社なんてあまり存在してないじゃないかと思うんです。
そもそも、人事制度や給与制度といのは、組織を強くするためにあるものだと思うんですね。いい評価をされた、いいフィードバックをしてくれた、とするとこの会社にもっとコミットしようと考えると思うんです。給与制度に関しても、いい評価をもらえたら、家族を養っていいものを食べさせることができる。
ところが、ある調査によれば、なんと従業員の51%の人はこういった評価面談を嫌がり、53%の人はモチベーションが上がらないと答えているんです。
こんな気持ちにになるのは、なんでじゃー!と思うわけですよ。いい形にするためにやっているのになんでこうなってしまうのか?と思うんですね。
そもそも人事制度や給与制度というのは、やはりフェアネスを高めるためにやっている。つまり人事制度や給与制度にとって重要になるのは、公平性や納得性があるかどうかだと思うんですね。
ただし、僕自身の12年の会社経営経験の中で、いろいろな人事制度を試してフェアネスを追求して公正明大にみんなが納得できるもので頑張っていきましょう、ポイント制にしましょう、厳密にやっていこうと、そんな風にやればやるほどなぜかコストがあがっていってしまったんです。新しい制度を入れて、みんなに元気に働いてもらいたいし、会社にコミットしてもらいたいし、なのにいつも新しい人事・給与制度でフェアネスを追求すればするほどコストが上がっていってしまうんです。
今までFringe81がずっと素晴らしい会社だったというつもりはありません。これまで苦労してきました。エンジニアや営業がすぐに辞めてしまう。今や新卒は30%くらいが3年で辞めてしまうという統計もでていますが、私たちもそんなに変わりませんでした。非常に悩みました。Fringe81は、営業とエンジニアという2種類の人間がいる会社でとても悩んでいました。
リアルタイムに認め称えあい、組織が強くなる仕組み
いろいろな打開策があると思うのですが、それをこんなマトリックスにまとめてみました。
普通年次査定というのは上司と部下が、密室で1時間話しで決めます。それを役員に「この社員はこれくらいの給与であるべきだ」という話しを持って行く。これが厳密ですし、会社によっては3か月毎に実施するところもあると思いますが、結構大変な作業です。
カジュアルなところでは普段の仕事をする中での雑談があるわけですが、これは気軽にアドバイスを受けられるものの蓄積はされるものではないんです。
360度評価は私も導入したこともありますし、別の会社に所属していた時にコンサルを受けたこともあります。いい制度だと思いますが、結構重いというのが難点です。人事部がちゃんと運用しないとなかなか回らない。サンクスカードのように、従業員に感謝の気持ちを伝えましょうといったものも、やる人とやらない人がハッキリ分かれてしまう。
カジュアルでかつ公開されるもの(マトリックスの右上)じゃないと定着しない。ここに正解があるんじゃないかと思ったんですね。従業員同士でリアルタイムにカジュアルにフィードバックとインセンティブが送れたらいいよね、従業員全員がそれをみて互いの貢献を認め合い称えあったら自ずと組織は強くなるんじゃないかと思ったんです。
自ずと強くなるというポイントはすごく大事で、経営者や人事部長の思いはみんな受け取ってくれると思うんですが、なかなか自ずと変わるということにはならないんです。
新しい給与制度と評価制度。ちゃんと頑張ったらちゃんともらえるんだという給与。ちゃんとフェアに査定や評価されるもの。リアルタイムに同僚からフィードバックされ蓄積されるようになったらクールになると思うんです。これらをすべて合わせたものが今回スタートすることになった「Unipos(ユニポス)」なんです。
給与の再発明
「Unipos(ユニポス)は、これら3つのポイントをSaaS型のサービスにしたものです。フェアネスが追求され、公開され、軽くてスピードがあり、従業員に負担をかけずに導入できるもの。これは新しい組織を元気にする給与の再発明になると思っています。
・ポイント1 従業員が成果を送る: 従業員が「誰に」「いくら」送るかを決める
・ポイント2 感謝の言葉を一緒に: 感謝の言葉と共に成果給を送る
・ポイント3 リアルタイム: 組織に貢献したタイミングで成果給と感謝の言葉が贈られる
これは実際に7月10日に、内定をもらっている大学生の松山くるみちゃんが、エンジニアのsato takutoくんに送られたものです。
これは内定者向けのイベントの主催者だったtakutoくんに対する「これがよかった」「うれしかった」という感謝の気持ちです。ただ、単なるありがとうではなく「こういう努力をしてくれた」ということを評価してくれています。ここで注目していただきたいのは、こうした投稿がなければ、経営者ではある私はTakutoくんがこんなに隠れて努力をして会社に貢献してくれていることを知ることはなかったということです。
こうした感謝に対し1ポイント3円で、成果給が付与される仕組みです。中には給与になるなんて嫌らしいと感じる人もいるかもしれませんが、サンキュー=39ポイントで117円はあくまで感謝の証に過ぎません。
また、よい投稿をみた他の人が、賞賛する意味で“拍手”という形でポイントを送ることもできるようになっています。この場合、感謝された人も、感謝した人にもポイントが送られます。そうすることで、組織にとってよい行動と思われることが、自然と盛り上がる仕組みになっています。
この仕組みはアツいです。暑苦しいです。けど、これくらいのアツさが日々飛び交う会社って素敵じゃないですか?」
アツい人を発見、さらに次へ
実際にどんな活動が行われているのか分析する機能も提供されます。誰が送っていて、褒めているか。褒めているのに下手な部長は誰か?とか、こうしたデータによって。社内を元気にする政策も打てるようになります。
最近、Unipos導入後に始めたことがあります。僕は創業以来、給料袋を一人一人配ることにしているんですが、大概の人はもらうとスッと机の引き出しにしまってしまうだけなんです。そこで、Uniposの中からポイントが集まった投稿を印刷して給料袋に貼り付けることにしたんです。
すると「おお、なんかすごいものがきたぞ」となり、さらに今度はその月にUniposでもらったコメントとポイントの一覧を袋の中にいれたんです。それで、今月自分は何をして、何が評価されたかを振り返るようになります。
このような取り組みで、Fringe81の従業員のトップ10%は、平均で月に1万5000円ほどがもらえるようになっています。ランチ代が浮く感じですね。月給と取って代わろうという話ではなく、別のモノとして今までの制度に加えて実施すると効果が発揮できるものかなと思いますし、これまでの経営ではわからなかったデータが得られるようになるんです。
私がやりたいのは、いろいろなビジネスパーソンがいますが、そもそも灯が当たらない人とか、頑張っているのに理解されないとか、そういった人たちをエンパワーメントすることです。リアルタイムフィードバックでみんなが分かってくれ、それが蓄積され、上司のみならず同僚も理解し褒められ、組織や会社もどんどん元気になっていく、そんな姿を実現したいと思っているんです。
戦後70年間、給与の形は変わってきませんでした。私はこれをムーブメントにしたいと考えているんです」(Fringe81 代表取締役社長 田中弦 氏)
【関連URL】
・同僚にボーナスを送る新しい成果給「Unipos」、Fringe81が提供へ
http://techwave.jp/archives/introducing-unipos-from-fringe81.html
・Fringe81
http://www.fringe81.com