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モバイルアプリの実機を使った自動テストが注目されている。リモート操作&テストプラットフォーム「HeadSpin」の日本正規代理店であり、日本唯一のテクニカルパートナーであるCO-WELL(コウェル)社は2021年3月27日(土)、モバイルアプリのテスト自動化ツール「Appium」と「HeadSpin」を使ったスマートフォン実機テストの最新情報を伝えるオンラインイベント「【CO-WELL】Global Tech Meet #01 モバイルテストの最前線 〜Appiumの今とこれから、急成長HeadSpinとは?」を開催した。
イベントのレポートの後編は、テスト自動化ツール「Appium」のアーキテクトでありメインテナーであり、モバイル実機テストプラットフォーム「HeadSpin」の教育プログラムのディレクターであるJonathan Lipp氏の講演内容をお伝えする。
イベント情報「モバイルテストの最前線 〜Appiumの今とこれから、急成長HeadSpinとは?」
Appium アーキテクト・HeadSpin社ディレクター Jonathan Lipps氏
Jonathan氏は、Appiumプロジェクトの初期から8年以上に渡り開発に携わり、現在もアーキテクト・メインテナーとして活動している。HeadSpinではディレクターとして自動化テストを学ぶための「HeadSpin University」というラーニング・教育プログラムを担当。また、ウェブマガジン「Appium pro」ではcreator & authorとして記事の執筆も行っている。
Appiumとは何か?
まず、Appiumとはどんなツールなのか? Jonathan氏の言葉で簡潔に説明する。
・モバイルに特化したアプリ・デバイスの自動化ツール
・完全なオープンソース(GitHubで開発され、OpenJS Foundationが運営している)
・大勢のユーザー、ユーザーコミュニティがあり、学びあうことが可能
・プラットフォームの下にウェブドライバーインターフェイスがありそれをラップし自動化する仕組み
・自動化スクリプトや自動化テストをほぼ全てのプログラムミング言語で実行
・さまざまなプラットフォームのAPIに対応(Android・iOSでもほぼ同じコードで記述できる) Seleniumでも似たようなコードが使われているのはご存じの通り
次期バージョンAppium 2.0とアプリ自動化の未来のビジョンについて
現在、10番目のバージョンとなる「Appium 2.0」がリリース目前に迫っている。これまでのAppiumとどう違うのか、どういった目的でアップデートされるのかJonathan氏は既存のバージョンの課題を次期バージョンにおけるその解決策について語る。
・[従来] さまざまドライバー&プラットフォームが一つのAppiumサーバーに乗っておりAppiumと共にリリースされてきた → [Ver2.0]すべてのドライバーが分離・分割される
・[従来] Android/iOS以外のプラットフォームにも対応したい →[Ver2.0] 誰でも簡単にドライバーを書き共有できるプラグイン形式を採用。
・[従来] 大きなアプリで複雑 → [Ver2.0]ドライバーをプラグインを分割することで要件のみにフォーカス
・[従来] 一貫性のない挙動・非推奨の挙動を認めている → [Ver2.0]標準化していく
ドライバーエコシステム
Appiumの大きなビジョンである、マルチプラットフォーム対応をする鍵となるのがドライバーエコシステムだ。これにより、Mac/Windows/Raspberry Piなどでの自動化が可能になる。Seleniumはマルチプラットフォームだったがウェブブラウザに限定されていたが、Appiumはより幅広く対応する。
誰でもドライバーを開発できるようになることで、そのドライバーのソースコードをGitHub、NPM、zipファイルなどで無償・有償で共有できる。コマンドラインのインターフェイスでドライバーを自由に導入することができる。Version2.0ではスマートTVプラットフォーム「Roku」やKaiOS、ChromeOSなどのドライバーが開発中。
プラグイン
Appium 2.0のプラグインではこのようなものが導入される予定
・画像マッチングや画像要素の検索
・画像内に含まれた文字のテキスト化
・AndroidとiOSのページソースをXML標準化することでクロスプラットフォームの互換性を高める
・コマンドにテレメトリーやメトリックトラッキングを追加して観測可能に
・外部ツールを試用せずpass/failといったテストを実装するプラグインもある
・これらの導入はドライバーと同じコマンドラインインターフェイスで行える
画期的な変更
・automationNameにcapabilityが必要になる→どのドライバーを使うのかがわかるようになる
・W3C-standard以外ではprefix指定が必要になる
・ドライバーとプラグインがインストール形式になる。
・古いドライバーなどは削除される
教育プログラム「HeadSpin University」について
Jonathan氏率いる「HeadSpin University」は、テスト自動化における深い理解と確かなスキルを持つ専門家を育てる使命を持ち、ソフトウェアテスト自動化業界向けの高品質で詳細な指導を行う教育プラットフォームを提供している。
コースはビデオで行われ無償・有償10時間にわたる自習型コースが用意されている。ウェビナーや導入ワークショップなど、基礎からプロも学べる構成になっている。
・ゆっくりとした分かりやすい説明で、自分のペースで学べるビデオコースです。
・全くの初心者でも安心して受講できる(途中でPythonのプログラミングも学べる)。
・高度なトピックを含む(テストスイートの設計、ページオブジェクトモデル、マルチプラットフォームのスイート)
・他の受講者や講師とのリアルタイムのチャットグループへのアクセス権付き
・HeadSpinデバイスを使った実践的な演習による評価
・コースのすべての課題に合格すると、認定UIオートメーション・エンジニアになれる
日本のモバイル技術者に対して
オックスフォード大で言語学を学んでいたJonathan Lipp氏は、ウェブブラウザのテストプラットフォームを開発する「Sauce Lab」に入社し、バックエンドからフロントエンドまで関わった後、Appiumの開発に関わるようになった。なぜ、テスト業界に関心を持ったのか、その最大の理由は「ソフトウェアの何がいいのか悪いのか、それがどうやって分かるのか、ここを改善することで何よりも大きな恩恵を享受できるようになると思っている」とJonathan氏は語る。
「テスティングを重要ではないと思っている人が多いが開発フェーズの中でこれほど重要なものはないと思う。きちんと動画が読み込まれいるか、バッテリー消費はどうか?スクリーンロックが機能しているか、どうすればよりよいユーザーエクスペリエンスが得られるか認識して欲しい。AppiumとHeadSpinならユーザー側のさまざまなシナリオを、SDKなしで内部から分析できるわけだから。
日本のモバイル開発者コミュニティは素晴らしい技術を持っていると認識している。高品質なアプリケーションを開発していく場合、最初から品質を担保していくほうが投資効率も適切になると提言したい」(Jonathan Lipps氏)
最新ウェブセミナーが2021年6月26日に開催
コウェル社によるHeadSpinを使った最新セミナー「スマホ実機でのテスト自動化と、継続的品質モニタリングによるUX向上」が6月23日(水)に開催される。
スマホテストの自動化に関心がある人は是非参加を検討していただければと思う(コウェルHPのセミナー一覧ページはこちら)
【関連リンク】
・コウェル
www.co-well.jp/