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新しいAIファッションリコメンデーション「デクワス.VISION」、MAGASEEK(マガシーク)に導入

ECなどで商品ページを閲覧する際、“こちらもオススメ” などと関連する商品もチェックするのはもはや当然の流れ。しかし、付属品などの併せ買いならともかく、ファッションアイテムのような似て非なるもの、色やカテゴリーを超えて最適なものを発掘するようなことは未だできていないと言ってもいいでしょう。

しかし、サイジニアが2017年9月27日に提供を開始した画像解析レコメンデーションエンジン「デクワス.VISION」は、色や形、カテゴリーが異なれど、共通する着こなしのファッションアイテムを探し出すことが可能です。先行して導入されたレディースファッション通販サイト「MAGASEEK(マガシーク)」を観れば一目瞭然。ブランドやジャンル、色などを超えて似ているアイテムを横断的に探し出してくれるのです。

商品画像からアイテムを識別

「デクワス.VISION」は、サイジニアが開発したビッグデータ解析エンジン「デクワス」を画像解析に特化したもので、最大の特徴は写真さえあればメタデータ(商品カテゴリーやブランド名や色などの付随情報)なくとも商品を検索できるというものです。

例えば、以下のような秋に合いそうなロングニットの写真があるとします。

「デクワス.VISION」のエンジンでは、以下のような結果を導き出します。共通するのは丈の長さと着こなし感くらいで、色や材質はもちろん商品ジャンルさえ違うものが似ている商品としてリコメンドされます。

ECなどに導入されている商品リコメンデーション機能では “他のユーザーが何を買っているか” という行動履歴データを蓄積しそれに基づき提案を行っていました。冒頭で述べたような、付属品など明らかに関連すると分かっている商品はリコメンドされても、良質ながらそれほど関連して購入されていない商品がリコメンドされることはありませんでした。

例えば、この秋、流行しそうなアイテムが大量にリリースされていたとしても、従来型のリコメンデーションエンジンではそれらが提案される確立は高いとは言いがたいのです。

一方で「デクワス.VISION」は、デザインの類似性で似ている商品をリコメンドする仕組みです。一つこの季節のトレンド商品を閲覧すれば、それに似たさまざまなブランドのアイテムを横断的にチェックできるというわけです。

加えて、ユーザーの行動履歴からのリコメンデーションも併せて行われます。

リコメンデーションAIのゆく先

この「デクワス.VISION」は、ビッグデータ解析エンジン「デクワス」シリーズの画像解析エンジンと複雑ネットワーク理論を活用したパーソナライズエンジンを活用した技術です。

MAGASEEKの事例の場合は商品画像を解析にしていますが、インスタグラムなどの写真からファッションアイテムを判別し、購入できるようにするような技術の確立を目指しています。

これをサイジニア社は “ビジュアルコマース” として社運を賭ける意気込みです(参考「人工知能でコーデ写真から商品を探してくれるアプリ「PASHALY(パシャリィ)」公開、サイジニアがビジュアルコマースに賭けるその理由とは」)。

【関連URL】
・サイジニア株式会社
http://www.scigineer.com/

蛇足:僕はこう思ったッス
 ファッションテックが熱い。画像によるアイテム分析とクリックなどユーザー行動という2つの軸でリコメンデーションする「デクワス.VISION」。人工知能でいえばAIでスタイル提案をする「SENSY」、スタイリストが着こなしをパーソナライズする仕組みをベースとした「AirCloset」、ファッションアイテムのサイズ情報を活用する「unisize」などファッションリコメンデーションに関する動きが活発化している。サイジニアによれば「デクワス.VISION」は “クリック率や回遊率アップに寄与する” ということだが、その成果はどこまで明確になるか。EC大手での効果発揮になるか注目される。
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