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2018年11月スタート、なぜ日本郵便はドローンで郵便局間輸送を開始したのか

飛行に使われた自律制御システム研究所が支援する機体

日本郵便は本日(2018年11月7日)、福島県の「小高郵便局」から「浪江郵便局」までの9Kmの区間で、荷物のドローン輸送を開始しました。補助者を配置しない目視外飛行として国内初の承認だということです。

積載するのは2kg以下の荷物に限定されており、これまでトラックなどで25分程度かかっていた道のりを、ドローン輸送により15分前後に短縮できるとしています。

ドローンは地上から60m以下の高度を維持し、時速約54km/h以下で飛行するとのことです。今回のドローン輸送は、2019年3月までの第2・3週の火・水・木に最大4便(2往復)行われるとのことです。

過疎地支援と技術振興

国土交通省は2018年10月26日に「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」を一部訂正し、補助者を配置せず
にドローンを目視外飛行させる方法を承認した事業に認めています。

今回、千葉大発ベンチャー「自律制御システム研究所」が提供する物流ソリューションPF1-Deliveryをベースにしていると見られます。当プロダクトは国内で独自開発した完全自律飛行技術と高速飛行技術を融合し、その上で「キャッチャー」と呼ばれる運搬機構を搭載しています。同社によると最大3kgの荷物で、天候に左右することなく片道12kmの運搬に成功しているとのこと。

当技術は、GPSなくとも三次元空間で完全自律飛行を実現させることが可能で、僻地などへの輸送も可能とのこと。

東日本大震災および原発事故の被災地域である福島は「福島ロボットテストフィールド」や「福島浜通りロボット実証区域」が整備されるなど、被災地復興や過疎地域の支援技術の育成のための取り組みが進んでいます。今回のドローン輸送においては、CO2排出量削減の調査も兼ねており、技術による地域振興の一つの形として成立するか注目されます。

【関連URL】
・[公式] 小型無人航空機を用いた郵便局間輸送の開始

蛇足:僕はこう思ったッス
日本郵便は全国62の配送拠点を一日当たり3000便の輸送網(自動車・JRコンテナ・船舶・飛行機)によりネットワーク化することが輸送における最大の焦点となっている。今回は郵便局同士の連携で、過疎地域の労働力不足などのカバーする意図もあるように思う。ただ、これが完全な自動化が可能となると、個宅集荷配送も視野に入れることができるようになり、莫大な労力削減(CO2削減も)となるだろう。小さいけれど大きな一歩。

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