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(更新)結果速報 LAUNCHPAD SEED #IVS2023 #IVS #IVS @IVS_Official

スタートアップカンファレンスを複数展開するIVSは2023年3月9日、シードスタートアップにフォーカスしたピッチイベント「IVS2023 LAUNCHPAD SEED(以下、LAUNCHPAD SEED)」を開催した。

どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?登壇企業計10社による6分間のプレゼンテーションのサマリーとレビューをお伝えする。

審査は、以下16名に加え、150名を超えるオーディエンス審査員が加わる。

グリーベンチャーズ 相川真太郎 氏、インキュベイトファンド 赤浦徹 氏、松竹ベンチャーズ 井上貴弘 氏、Kenjiro Private Office Akira Ushioda 氏、Skyland Ventures 木下慶彦 氏、NTTドコモベンチャーズ 笹原優子 氏、iSGS 佐藤真希子 氏、W Fund 新和博 氏、Paidy 杉江陸 氏、キープレイヤーズ 高野秀敏 氏、大和証券 鳥居真太郎 氏、Xtech Ventures 西條晋一 氏、ANOBAKA 萩谷聡 氏、Z Vetnures Capital 堀新一郎 氏、フリークアウト・ホールディングス 本田謙 氏、宮本邦久 氏。

なお、スポンサーである「東急不動産」・「HERP」・「住友不動産」・「CORNER」・「マネーフォワード Kessai」・「AWS」・「INITIAL」・「Uniforce」・「Notion」・「paild」・「SHIBUYA QWS」・「IVRy」・「OKABE」・「FUJIEI」・「buddycom」から総額1億円超の各種副賞が授与される。

「LAUNCHPAD SEED」 出場10社

  1. ウェブ自習室「ヤルッキャ」
  2. アプリのサブスク解析ツール「subgrow」
  3. アフリカのスモールビジネス金融インフラ「Linda Pesa」
  4. 不動産取引向け電子契約サービス「PICKFORM」
  5. スマホにかざすだけのデジタル名刺「プレーリーカード」
  6. フリーランス向けAIマネージャー「Qcolor(コッカラー)」
  7. LINEで使える一時保育検索・予約サービス「あすいく」
  8. メタバース用3Dアバター作成アプリ「モルツ Kawaii Avatar Collection」
  9. AIによるライティング支援ツール「Xaris(カリス)」
  10. こどもを守るAIアプリ「コドマモ」

「LAUNCHPAD SEED」 10社のレビュー&コメント

以下登壇順

  1. 株式会社Herazika
    ウェブ自習室「ヤルッキャ」

    https://lp.yarukya.com

    子どもの自発性=好きがやる気につながる。そこに重要なのは環境。自宅で自然と机に向かい、集中できる仕組みを作ることで学力向上につなげる仕組みを提供。基本はインセンティブで、相互監視の仕組みなどさまざまな仕掛けで自学習を支援する。社会人の学習市場5440億円まで狙う。

    蛇足)続ける学習は近代社会の永遠の課題となっているといっても過言ではない。時代に則したさまざまな仕組みが常に出てきているが、今、確実にいえるのはスマートフォンなどのデバイスが浸透し、ネイティブユーザーがほとんどになっているというところ。これまで試されていた行動支援の仮説がワークする可能性もある。

  2. 株式会社Bogunov
    アプリのサブスク解析ツール「subgrow」
     
    https://bogunov.co.jp

    ユーザーの月間離脱率が15%を超えるとサービスの成長は頭打ちになるといわれている。50以上のアプリ開発を受託した経験から、サブスク解約を申し込まれた際、その理由を即時AI解析し解約を回避するプロモーションを自動で生成する。解約手続き前の施策もAI解析し適時オファーする仕組みもある。

    蛇足)ほとんどのアプリ&サービス提供企業が、解約をさせないような嫌がらせとも思われるようなUXに陥っている。解約ボタンがみつからない、解約は電話だけでしか受け付けない、あきれんばかりだ。ただ、申し込み以上に解約にはさまざまな課題が含まれているため、そこを細やかにフォローアップすることでチャーンレート悪化回避だけでなくサービスの改善につながる可能性もある。

  3. LINDA PESA株式会社
    アフリカのスモールビジネス金融インフラ「Linda Pesa」
     
    https://www.lindapesa-ltd.com

    タンザニア初、アフリカのスモールビジネス経営者向け金融サービスを提供。アフリカでは、紙ベースの書類手続きなど、経営管理の課題が山ほど残っている。そこでスマートフォンを使って、会計や在庫管理などを簡単に行えるようにすることで、不正回避や効率化に貢献する。アフリカ中小企業は4400万社以上、しかし金融サービスが利用できるのはごく一部。経営サービスを提供しながら、与信やローンサービスなどを提供するという。

    蛇足)例えばアフリカには住所がなかったり、さまざまなビジネル慣習がなかったり、多様な課題があるが、それをスマホを使って解決するトレンドが続いている。経営管理のスマホDXという文脈は可能性があると思うが、現地の競合環境はどうなの気になる。

  4. 株式会社PICK
    不動産取引向け電子契約サービス「PICKFORM」

    https://www.pick-form.com

    不動産取引のやりとりは未だ紙とファックス。営業マンが契約手続きにかける時間は約30%。1契約で平均177枚の紙の資料を印刷するという。宅地建物取引業法が壁となり、一般的な電子契約は使えず、PICKFORMではそれを実現した。代表の不動産取引は全国1位の実績がある。国内唯一、国土交通大臣に認可されたサービスとなる。マーケットサイズは1兆円以上。取引プラットフォーマーのポジションを狙うという。

    蛇足)IT系サービスは幅広いカバレッジがあるものの、結局、縦軸に掘り下げようとすると現場の壁にぶちあたる。これを乗り越えるには現場の中で課題感を感じている人の力が重要になる。このサービスの誕生はまさにその典型例だろう。

  5. 株式会社スタジオプレーリー
    スマホにかざすだけのデジタル名刺「プレーリーカード」

    https://prairie.cards

    多くのスマホがRFID非接触ICを読み取れるようになり、こうしたICカードを軸とした事業チャンスが広がっている。プレーリーカードの場合、RFIDのICカードを名刺交換用に使用する。専用のアプリをインストールしたNFC機能搭載スマホでかざせば、カードに紐付けられた名刺情報やSNSアカウントなどが交換できる仕組み。C向けには個人用カード制作、B向けにはスキャン履歴解析などいわゆるデジタル名刺サービス同様のデータ活用サービスを提供する。

    蛇足)日本ではYentaなども展開。グローバルをみると競合が多数。デザインが自由に作れる点はいいとしても、配布するわけではないしその意味はあるのか?また、そもそもICスキャンはQRコードと同様、行動様態として習慣化しなくてはならないというリスクがある。この2点、どう乗り越えられるか注目される。

  6. Color in Life株式会社
    フリーランス向けAIマネージャー「Qcolor(コッカラー)」

    https://qocolor.jp/

    フリーランスという労働形態は世界で拡大しているが、フリーランスのセルフマネジメントは大きな課題。スケジュール管理を含め独りで十分な売り上げを立て続けるのは至難の業。このサービスは平均稼働時間や案件の種類や納期などをいれると、AIが自動でマイルストーンを作成してくれるほか、複数案件との帳尻あわせをしてくれる。空き時間でスキル向上の学習セミナーや別の案件展開も提供してくれる。フリーランス市場100兆円のほか、副業や企業内案件にも拡大する考え。

    蛇足)これは使ってみたい。筆者もフリーランスとして、また企業の外部契約社員として複数の案件を同時に走らせている。それがどう効率化されるか見てみたいと思う。

  7. 株式会社grow^partners
    LINEで使える一時保育検索・予約サービス「あすいく」

    https://parent.asuiku.net

    子どもが育てにくい日本。出産した途端、労働の自由が奪われてしまう。ベビーシッターや保育園、一時保育などがあるが、いずれも申し込みするだけでもかなりの負担となり、疲弊の原因となる。このサービスは比較的手軽に短時間で使える一時保育にフォーカスし、その手続きを簡便化し習い事の要素も追加するというもの。保育士側の負担の大きさもしばしば問題になるが、効率化を果たすだけで無く、保育園の余った枠をマーケット化する取り組みなどもある。

    蛇足)子どもが生まれた瞬間に仕事は諦めなくちゃいけない。未だに日本に浸透する悪習だ。保育園に通わせるのはワケありとまでいわれる。育児は重要だが、夫婦だけでこなすにはあまりにも重すぎる。これを子育て層のサービスとみず、社会課題に不可欠なものだとみる流れが生まれてほしいと思う。

  8. 株式会社DENDOH
    メタバース用3Dアバター作成アプリ「モルツ Kawaii Avatar Collection」
     
    https://dcaj-techbiz.com/dendoh/

    さまざまなメタバースなどで使用できるアバターを作成できる。メタバースユーザーは10億人ほどとのこと。デジタルファッションに課金するユーザーは多く、既存ファッションブランドを超える市場規模があるという。しかしながら、アバター作成には技術ハードルが高く、つくるのはかなりの金額が必要になる。そこで簡便にアバターを作成し、それを複数プラットフォーム向けにコンバートできる機能を提供する。マーケットプレースもあり1アイテム1250円~で販売する。

    蛇足)メタバースで過ごしたことがある方にとってアバターとファッションは最重要領域。オープンなマルチメタバース時代に不可欠なサービスといえるのだろう?

  9. 株式会社スタジオユリグラフ
    AIによるライティング支援ツール「Xaris(カリス)」

    https://xaris.ai

    ChatGPTのように内容の概要を入力するとAIが台割りや読みやすい記事本文を作成してくれる。作成された内容には追記や変更も可能。現在はSEOなどウェブメディアをターゲットにしているが、一般的な記事や取材内容、小説・エッセイなどにも対応。ChatGPTとの違いは、利用者の好みを学習してくれる点。価格は個人向け5記事1280円。380名以上のベータテスターが「実用レベル」と評価するケースもあるという。2023年4月リリース予定。

    蛇足)日本のライターの平均収入は極めて低い。かなりの記事本数を効率良くさばかないと生活していくのは難しい。このツールが浸透したとき、ライターという仕事はその本質がどこまで変わるのか気になるところ。また、審査員のグリーベンチャーズ相川さんも指摘されていたが、ChatGPTしかり、あまりにも言葉が巧みで、噓が含まれていても真実味を帯びるテキストが散見されるのが気になる点。

  10. スマートブックス株式会社
    こどもを守るAIアプリ「コドマモ」
     
    https://www.kodomamo.com

    スマホやタブレットを手荷物子ども達は多い。操作を覚え勝手に決済したり、チャイルドポルノなどの脅威にさらされることもある。それを回避するのがこのサービス。親子のスマホにインストールすることで、子どものSNSコミュニケーションの中から不適切なモノをAIが判断し、その場合は親御さんに通知する。使用時間やGPS情報などから異常検知なども行ってくれる。既存のフィルタリングアプリの不足点に対応する多数の機能がある。家庭向けと学校向けがある。リリースは2023年3月、性犯罪の多いインドから。ペアレンタルコントロールの市場規模は1兆円を超えるという。

    蛇足)一時は「スマホに子育てやらせて・・」などと揶揄した時期もあったが、今となればスマホネイティブとして新しい世代として着実に成長しているように思う。ただ、無防備で無力な子ども達を着実に守る力は不足しており、悩みに明け暮れる家庭は放置されている。

【関連URL】
・[記事] IVS LAUNCHPAD

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