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まとめ LINE BOOT AWARDS 2018 ファイナル結果 #linebootawards

LINEは本日(2018年11月10日)、コミュニケーションアプリ「LINE」の拡張機能Messaging APIを使った企画開発コンテスト「LINE BOOT AWARDS 2018」のファイナルプレゼンイベントを東京都のLINE本社で開催しました。

前回開催のLINE BOT AWARDSと異なり、ボット以上の使い方を提案する場として「BOT→BOOT」と名を変え開催。日本全国で50を超えるイベントが開催、海外からは数百プロジェクトが立ち上がり、最終的にはこのイベントのために1125プロジェクトが立ち上がり、最終審査直前の展示審査は25企画に絞り込まれ、ファイナルプレゼンには13社が登壇しました。

LINEの月間アクティブ利用者数は7800万人。アジアトップ4地域では1億6500万人にまで達します。

これまで広告で収益を伸ばしてきたLINEは、FinTechや人工知能など新たな領域で収益を立てるべく様々な取り組みをする中で力を入れているのが、主力サービスであるLINEのボットとマートスピーカーを組み合わせたサービス開発という新たな流れを生むべく「LINE BOOT AWARDS 2018」は開催されています。

前回優勝した&HANDは、賞金1000万円を使い一般社団法人PLAYERSを設立。「LINEで席譲り」「スマホで手助け実験」など多数のプロジェクトを展開。現在は、点字ブロックとClova、LINEボットを組み合わせた誘導ソリューション「VIBLO」の開発を進めているとのことです。

グランプリは1000万円

企画は「Messaging APIを使用したLINEアカウント」もしくは「Clova Extensions Kitを使用したClova Skill」もしくはその両方を組み込んだサービスを対象としています。

審査員は、LINE砂金信一郎氏、Gatebox CEO 武地実氏、500Startups Japan 澤山陽平氏、増井雄一郎氏、LINE 取締役 CSMO 舛田淳氏。

賞金1000万円のLINE BOOT AWARDS 2018グランプリ賞に加え、各社協賛テーマ賞が授与されます。

また、LINEからは「ファミリー部門」「ビジネス・ワーク」「おうちハック」「暇つぶし」「グループ」「エンジニア学生」の部門賞が設けられ、こちらにもそれぞれ50万円の賞金が設定されています。

協賛賞ノミネート

先に協賛賞から。OMRON connect賞に参加したのは、OMRON connectデバイスの血圧計からデータを読み取り通知する「血圧くん」、健康測定機器の計測値をカメラで撮影するだけでデータの種類を判定し記録し通知する「オムロンらくらく健康管理」、おばあちゃんを見守る「まるもん」。

Xperia Ear Duo 賞に参加したのはハンズフリーでガイダンスを受けられる「らくらく移動ちゃん」(温泉BBA)、Beaconに反応して観光案内が流れる「くらちゃん」、ゴルフプレー中にBeaconでサポート情報獲得&スコア記録できる「My Caddie」(Groovers)。

鎌倉市SDGs未来都市 賞に候補として参加したのは、市民が簡単に投稿したり行政対応が確認できる「鎌倉投書箱BOT(メガマウス)」。行政にたいする意見を投稿しオープンに市民同士が議論できる「パブリック鎌倉」。わかりにくいゴミ出し方法を言葉と写真から調べられる「鎌倉ゴミ調べ」。

RIZAP 賞の候補に参加したのは、エクササイズ動画再生の「キノコエクササイズ」、血圧や体重などの数字を記録管理する「MY BODY~かんたんヘルスケア」、トレーニングビデオを提案してプランニングする「マイトレーニング」。

LINE主催のエンジニア賞候補として簡単なあいさつで起動し家族を識別して動作する「Clovaカメラ・おうちスキルボット」、obnizを使いオープンハードウェア&独自APIを使った動くClovaスーツ「動けフレンズロボットシステム」。

最終選考出場13チーム全まとめ

・1. Groovers 「My Caddie」
ゴルフ場にBeaconを設置しゴルフプレー中に適切なアドバイスを流したり、スコアを記録するなどのサービス。

蛇足)記録&ガイダンスツールとして、スポーツ全般に使えるスキームが描き切れていたらいいと思いました。

・2. つくるラボ「おもいでロール」
LINEトークをロール紙に印刷。時間の経過とともに変わっていくコミュニケーションを振り返ることができるサービス。オンデマンドに印刷して、LINEPayで決済するというもの。いつからいつまで、NGワードなどの設定も可能。紙の質にもこだわり、品質を差別化ポイントにしたい。LINE舛田氏からは「やばい!と思う人もいる」という指摘も。

蛇足)例えば年単位で続くトークの中から、トピックになりそうな項目をかいつまんでロール印刷してくれたらいいと思いました。

・3. インドネシアica ica「ica ica」
“イチャイチャ”と発音(インドネシアの友人の名前だとのこと)。カジュアルゲームとマッチングアプリを融合。ユーザーの15-20才が70%で、730万マッチに成功。すでに広告を主体に収益化に成功。有料オプションなども展開中。(LINEの利用規約は各国で違いがあり、インドネシアではデーティングアプリ提供は可能)

蛇足)暇つぶしとデーティングアプリの融合という若年層にささりまくる構成。4億の人口と若年層が多いインドネシアならではの企画か。

・4. 西村惟さん 「Toubans! LINEで設定通知する当番お知らせサービス」
大阪府立茨城高校2年生による作品。高校での掃除当番を決める方法や当番表に疑問を感じ、手間や時間を改善。実際71名にテストを行い、LINE Messagin APIのLIFFを使い、グループ追加と通知を設定するシンプルな流れにした。複数当番などにも対応。

蛇足)LINE使用率が高い高校生ならではの発想。シンプルだけど追求すればどんどん深掘りできる感じ。プレゼンテーションも洗練されていて素晴らしかった。

・5. いもうとBOT開発チーム「いもうとBOT」
日々の単調な作業を仮想キャラ「いもうと」にお願いするもの。時刻表や天気予報などを「いもうと」にお願いすると答えてくれる。翻訳やゲーム、リマインダー、目覚ましコール、割り勘機能(顔で年連を判別し傾斜を付ける)。さまざまな機能を「いもうと」とのコミュニケーションで起動する。内部に好感度値をもっていて態度を変化させるなどのアイディアもあるという。

蛇足)筆者の隣でGateboxの武地CEOが「おおっ!」と反応してた。というか、ほとんどGateboxクローンのような気が。

・6. チーム家族便「家族のお手伝い帳」
お手伝いしたらポイントがたまる、その仕組みをコミュニケーションを通じて継続させるアイディア。子供はClovaと話しお手伝いをこなし、親はLINEでお願いする。溜まったポイントは、Clova連携の紙プリンターで印刷して使うことができる。将来は横展開も。

蛇足)昔あったお手伝いポイントエコシステムの刷り直し。ただ、VUIだからこそのフレンドリーさやスムースさがあることで違う価値が生まれている。自分の子供もClovaに話かけることが多いので利用イメージが浮かぶ。

・7. ブレイブテクノロジー「LINEで順番待ち」
2017年3月にスタート。店頭で順番待ちリストに名前を記載するフローをLINE化。位置情報から対応店舗を選択でき、現在の待機人数や待機登録などを行うことができる。禁煙喫煙やカウンター席などの選択も可能。順番が来るとLINE通知。入店後、アンケートの回答率が38%と上がる。店舗側はタブレットなどから待機客に連絡可能。店頭にタブレットがない場合のフローにも対応。

蛇足)待機列が長い場合に有効か。LINEアカウントである以外、EPARKなどチケッティングサービスとどう差別化できるかが気になる。

・8. ソーシャルデータバンク「LINE@登録すると使えるフリーWi-Fi」
手続きが面倒なことが多い無料のWi-Fiスポットを、LINE@アカウントの友達になれば使えるようにするというサービス。

蛇足)古いビジネスモデルのLINEでの置き換え。Town Wi-Fiヘビーユーザーの筆者としては魅力を感じなかったのだが、LINE@と深く紐付いた展開ができるのであればプラスの展開もあると思った。

・9. タイTeam NILA「Naturally InLINE Agile」
Jira、Asana、Trelloといったチームワークマネジメントで使用するサービスをLINEで使用できるようにするチャットボット。チャットの流れを解析し、それぞれのサービスの橋渡しをしてくれる。

蛇足)これは素晴らしい。変な記号を使わなくても、自然文だけでうまく解析してくれるようになったら便利この上ない。日本だとSlackだけ入れたらOKみたいな変な風潮があるように感じるけど、こうしたボットによってアジャイル開発ツール導入の正しい発展へとつながるんじゃないかと思った。

・10. Laf「Laf先生」
中学生向け家庭教師ボット。分からない問題を写真で撮影して送信すると、ボットのLaf先生が3分間の指導方法動画を5秒で返す。教科書をベースに、問題に対する指導を動画としてどんどん作成。データベースに入ってない問題は逐次スタッフが対応。問題と回答のペアがおかしい場合、ユーザーが指摘することも可能。データが増えた場合はAIマッチング度合いを向上させる。

蛇足)問題に対するショート動画を返すスタイルがボットという形式にハマった印象。これは横展開も可能

・11. ニシカワシンスケ「育児日記」
3才のお子さんがいるニシカワさんが、育児任せっきりの奥さんとのコミュニケーションを変えたいという思いで開発。24時間どういう育児をしているのかを記録し共有するボット。

蛇足)筆者が乳児の育児をやっている時、紙のフォームで意思疎通を図っていた。ただ、おむつやミルク、お風呂や体温など決まり切ったデータに限定された。これと基本構造は同じだが、アップグレードの可能性がいろいろありそう。お父さんも育児しよう。

・12. 限界集落大学院 「宅配xテック「うけトリ」」
宅配や郵便スタッフが来たときに玄関先に設置したカメラ付きロボットを使って受け渡しを完了してしまうというもの。宅配ボックスがあり荷受けだけなく送品も対応。支払いはLINE Pay。Beaconを使って荷着も知らせる仕組みも。郵便の場合、重要書類を判別して通知する。

蛇足)再配達は日に230万件あるとのこと。これが完全に変えられたら大きいだろう。スマートロッカーecboの発想に通ずるものもある。さて、このロボット、いくらで手に入れられるんだろう。

・13. Voice App Lab「謎解きサウンドホラーゲームゾンビのまち」
声を使った謎解きアドベンチャーゲーム。いきなり、Clovaスピーカーが偶然知らない人に電話がつながったり、ヒントがLINEでスマホに届いたりする、時間軸とリンクした臨場感溢れる新しい形のゲーム。

蛇足)1980年代に米国などで流行したテーブルトーク・アドベンチャーゲームを思い出す。彼らは米国などで一定の市場があるサウンドノベルの発展した先に、この音声ゲームがしっかり根付いていると見ているようだ。デモをみる限りおもしろそう。新しいエンタメが生まれるかもしれない。

API賞・部門賞・そしてグランプリは?

6時間超に渡り開催されたコンテストもついに結果発表。
まずはAPIパートナー賞から(最終ピッチに登壇していないチームも含まれます)。

・PayPal賞「鎌倉なビーコン」(Team One)
・IBM Watson賞「鎌倉ごみ調べ」(e-Craftsman)
・VAL「駅すぱあと」賞さん「頭いたくない散歩+ジャーニー」(ビズリーチAPI部)
・サイボウズ賞(Kintone・チームワークで賞)「受付嬢サリー」
・Twillio賞「FAXVIファクシヴィ」
・メタデータ人工知能API賞「anna(あんな)」(チームannna)
・ウフル・enebular賞「Care Thing」(GIF)
・センドグリッド賞「読みの紙SKill&BOT」(吉田顕一)
・ソフトバンクロボティクス・Pepperで楽しんだで賞「ClovaとPepperで一夏の思い出を作ってみた」(Forex Robotics)
・obniz賞「Heartbeat Music Recommender」
・インフィニオン賞「ホームセキュリティボット」(めごまこ)・「頭痛くない散歩+ジャーニー」(ビズリーチAPI部)
・Gyazo賞「ClovaとPepperで一夏の思い出を作ってみた」(Forex Roboticx)・「ファクシヴィ」・「嬉しい言葉の達人」(5T)
・NTTコミュニケーションズ・Cotohaアシスタント賞「飲み会アシスタント」
・エーアイ賞「Clova & LINEで絵本読み聞かせ」(himanago)
・SmartHacks賞「まるもん」(システムズ)
・岩手県滝沢市賞「育児日記」(ニシカワシンスケ)
・ジーズアカデミー賞「宅配xテックうけトリ」(限界集落大学院)
・COMP賞「LINE@登録すると使えるフリーWi-Fi」
・Qiita賞「らくらく移動ちゃん」(温泉BBA)
・ロボスタ賞「家族のお手伝い帳」(チーム家族愛)

次は協賛テーマ賞 各賞。

・RIZAP 賞「MY BODY~かんたんヘルスケア」
・OMRON connect賞は「まるもん」
・Xperia Ear Duo 賞は「My Caddie」(Groovers)
・鎌倉市SDGs未来都市 賞は「鎌倉市「投書箱」BOT」「鎌倉ごみ調べ」

次はLINE社が設けた部門賞

・エンジニア部門賞「動け!フレンズロボットシステム」(rino products)・「CLova カメラとおうちSkill & BOT」
・おうちハック部門賞 (該当なし)
・学生部門賞「Toubans!」(西村惟さん)
・グループ部門賞「おもいでロール」(つくるラボ)
・ビジネス/ワーク部門賞「Narurally InLINE Agile(NILA)」(タイ)
・ファミリー部門賞「家族のお手伝い帳」(チーム家族愛)
・暇つぶし部門賞「謎解きサウンドホラーゲーム ゾンビのまち」(Voice App Lab)

そして突如発表された

・Gatebox賞「いもうとBOT」

・・・・・・・・・

・・・・1125プロジェクトの中から選ばれたグランプリ作品は・・・



インドネシアのマッチングBOT「ica ica」

高校生が作った「Toubans!」

おめでとうございます!

優勝2チームとLINE舛田氏、審査員のみなさん

(公式には授与できませんでしたが、TechWave MASKIN賞は「Taf先生」に授与する予定でした)

【関連URL】
・[公式] LINE BOT AWARD 2018

超蛇足:僕はこう思ったッス
欧米のエッジの効いたボットコンテストとは違った空気感。VUI(ボイス・ユーザー・インターフェイス)という自然にネットやコンピューティングの力を使える方法をどう使い、LINEアカウントとどう組み合わせるかを描くコンテスト。欲をいえば、もっと突き抜けたものに出会いたかったが、PCなどを使わない人でも誰でも使える形を模索していたのがよかった。既存のサービスの置き換えが多かったが、システム構成の構想などはおもしろいものがあったし、特にClovaとLINE、そしてハードが連携すると一気に面白くなることを証明してくれた。休日の長丁場イベントは苦行だが、ハッ!とするようなアイディアに出会うと心身共にリフレッシュできた。LINEユーザー7800万人の母数に響くものはありそう。

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