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RisingExpo前夜、ジャカルタでPricebook辻氏と話す【@itmsc】


[読了時間: 3分]

バリ島からジャカルタへ

6月17日に開催されるRising Expo (South East Asia Round)を取材するためにバリ島からジャカルタへ渡った。ほぼ毎月日本へ出張しているのでデンパサールの国際線ロビーは慣れ親しんだものだが、国内線のロビーは初めての経験だ。外国人観光客がスーツケースをお行儀よく引いている国際線とはひと味違って、より混沌としていて『東南アジア』の雰囲気を色濃く感じる空間だった。


今回利用したライオンエアーは昨年、デンパサールの空港で事故を起こしている。死者はでなかった小さな事故だったけれど、着陸後にオーバーランして機体が海に乗り入れてしまったのだ。そのような事故を心配していたのか、離陸をして機体が空へ飛び立つと機内では歓声があがった。もしかすると初めて『島の外』と飛び立つ団体がいたのかもしれない。思わずこちらの気持ちも楽しくなる出来事だった。

ジャカルタに到着すると恒例のタクシー客引きおよび都心の大渋滞を経て、ホテルに到着。余裕を持ってスケジュールを組んだつもりがPricebook辻氏と会う時刻まで全く余裕がない。すぐにタクシーをひろって辻氏のオフィスへ向かう。

Pricebookの近況

辻 友徳さんとはインターネットを介したインタビューを行ったことがあるだけで、実際に会うのははじめてだった。会う前の印象通り、知性を感じる好青年である。

彼がPricebookというインドネシア国内向けの価格比較サービスを立ち上げたのは2013年12月3日で、それからほぼ半年の間、利用者数は毎週増加していて、今は月間で数十万人が訪れるまでに成長しているという。この半年間は使い勝手の良いサービスを『作る』ことに集中していたが、これからはユーザーにとって良い情報を『集める』段階にきていて、オンライン上の価格情報を集めるだけではなく『オフラインの情報』つまり有象無象の個人商店から足をつかって情報を収集していくつもりなのだという。

「海外から大手が参入してきたときに何を武器に戦うつもりですか?」という問いに対しては「この国は”当たり前”が通用しない国。泥臭いオペレーションを現地でしっかりやらないと、質の良い情報を集められない。大手や競合が”この国で勝つ秘訣”に気がついたときには自分たちは対応を終えているはず。イレギュラーであるほど先に対応した方が強い。それは現地にいないとできない」という答えをくれた。

東南アジアの”多様性”という壁

スタートアップのエコシステムには『スタートアップ卒業生』である投資家たちが必要であるとはよく聞く話だ。シリコンバレーには卒業生である投資家たちと彼らの作った『成功事例』がある。日本でもシリコンバレーほどではないものの環境が整いつつある段階だろう。しかし東南アジアにはまだ『スタートアップ卒業生』も『成功事例』も揃っていない。少なくともインドネシアの学生が自国内でスタートアップを立ち上げるという風潮はまだないようだ。そこへ『未来』から投資家と起業家が乗り込んでくる、これが東南アジアの現在なのかもしれない。

中国では経済やインターネットが国家の管理下にある影響で海外からの参入が難しく、アリババなどの国産ベンチャーが順当に勝つことができた。東南アジアではこの地域の”多様性”つまりイレギュラーであることが未来からきた起業家の前に立ちはだかるのではないだろうか。この壁を乗り越えるのはインドネシア国内のスタートアップなのか、はたまた海外勢なのか。

Rising Expo @ジャカルタではそのヒントを垣間みる機会になりそうだ。

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