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Hale Orb 始動-元ソニーの開発者が生んだファミリー・コネクティビティの課題を解決する球体インターフェイス

SONYでVaioノートPCG-C1やClie(クリエ)といった人気デバイスの商品企画を担当してきた三浦謙太郎 氏が新たなプロジェクトをスタートしています。その名も「Hale Orb」、本日より米クラウドファンディングサイトIndiegogoで資金調達プロジェクトがスタートしています。

見た目は単なる球体。これをテレビと接続することでデジタルコンテンツを操作するインタラクションの入り口にしようと三浦氏は考えています。

「ファミリー・コネクティビティ、つまり家族同士をつなげるという発想がコンセプトにあります。スマホのアプリで写真や動画をシェアする文化は浸透しつつありますが、それも一部の人に限られてしまう側面があります」(三浦氏)

「しかし、Hale Orbに触れると自動的にテレビがONになり、アプリケーションを選択したり起動することも必要がなくなります。このボール型インターフェイスを回転させたり振ったりといった操作するだけで、数千枚もの写真や動画をブラウズすることができるようになるんです。

バックエンドでは複数のソーシャルメディアや写真共有サイトに自動でログインしてデータを収集する仕組みもあり、分散された思い出の写真をシンプルなインターフェイスで利用できるようにすることをハードウェアとソフトウェア両方から形にしていきたいと考えています」(三浦氏)。

ポストスマホ時代のインターフェイス

「Hale Orb」は、中・高・大学とアメリカで過ごし、日本とアメリカに家族と別れて過ごしてきたという体験が原点にあります。SNSやメールでのコミュニケーションは可能だとしても、サービスが分断されていたり、万人向けでなかったり「これをどうにかできないか」(三浦氏)と考えていました。

そこで浮かんだのがポストスマホ時代のユーザーインターフェイスです。1990年代後半にPDA「Clie」の開発を共にした共同発起人Julian氏がMITメディアラボ在籍中に「キネティックズームなどスマホ時代に当たり前になったユーザーインターフェイスをポストスマホ時代のインターフェイスとして洗練させることはできないか?」という発想が生まれ、家族間のコミュニケーションの入り口として「Hale Orb」のビジョンが生まれたといいます。

プロトタイプとアプリを掲げる三浦氏

「Hale Orbは音声によるコントロールを当初から組み込んでおり、ゆくゆくは音声と球体の操作でコミュニケーションをしていくビジョンがあります。現時点では非同期で写真が動画を集約してブラウズできる部分にフォーカスしていますが、最終的には同期にも対応し、家族間のコミュニケーションの入り口となることを狙っています。

リビングなどに自然に置かれることが重要です。AVリモコンのような堅いものと差別化すべくさまざまな形状を検討してきましたが、やはり球体が美しくかつ素材にこだわりました。本体には24個のLEDが搭載されており、反応もあくまで生命体のような自然な動きなものになっています。これらを通じてファミリー・コネクティビティの核として受け入れてもらえるような工夫をハード・ソフト両方で突き詰めていきたいと考えています」(三浦氏)

【関連URL】
・Hale Orb: A fun new way to share photos and videos
https://igg.me/at/haleorb
・Douzen,Inc.
http://douzen.com
・ヒトメディアと東新住建が投資育成会社設立、第一号案件で次世代ユーザーインターフェースの「DouZen」に出資
http://techwave.jp/archives/post-26669.html

蛇足:僕はこう思ったッス
 三浦さんはVAIOノート PCG-C1のカメラを使ったMotionEyeという画像認識ソフトの命名者。ソニー黄金時代の一端でソフトウェアとインターフェイスの世界に夢中になってきた一人です。Hale Orbの球体という形状はいろいろなイメージを彷彿をさせる力があり、三浦氏本人も「意味もなく回転させたりしたくなる」と言います。ただ、マウスやトラックボールと同じ周辺機器ではなく、あくまでハードとソフト、クラウドが連携することでファミリー・コネクティビティの課題を解決することに集中しようとしています。今後の展開としてはまずは写真と動画、その後はビデオチャットや各種サービスを切り替えながらブラウズするような機能も計画されているとのことです。
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