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Imagine Cup 2018 結果速報、ビル・ゲイツ氏肝いり世界学生技術コンテスト日本予選

米Microsoft創業者ビル・ゲイツ氏の肝いりで15年前にスタートした世界規模の学生技術開発コンテスト「Imagine Cup」の日本予選「Imagine Cup 2018 japan」の最終選考会が開催されました。ここで残った上位チームは世界大会に進むことになります。世界大会の賞金は最大約1100万円とのこと。


ファイナリスト10チーム

高専から大学まで10チームが、7分間のプレゼンテーションに挑みます。ここでは簡単なレビューと共に各プロジェクトを紹介します。

Rein
プロジェクト名: 傘ほーだい
所属: 慶應義塾大学、横浜国立大学
傘を持たないでいい「傘のレンタルサービス」。スマホで登録、QRコードでステーションを開閉し、中にある傘を利用できる。盗難などは画像解析で防止。返却はどのステーションでもOK。1日50円(延滞50円)、月額300円で常に1本借りておけるプレミア利用プランもある。収益はステーションへの広告、プラミア利用料(年間3600円)や延滞料。また、行動データを用いた事業を検討。事業浸透が成功の鍵。クラウドでどこに、何本の傘があるか監視する。

CyberTech
プロジェクト名: CyberScope
所属: 筑波大学
脳神経外科医は非常に細かな手術を倍率の異なるルーペを使いわけて行う必要がある。このプロダクトは、ハンズフリーで視野を変えることができる。また、状況に応じて必要な画像をAIなどを使って自動提示する機能も開発中。Microsoft Hololensに独自のユニットを取り付け、顔面の筋肉を測定し手や足を動かすことなく操作することができる。収益はシステムとアプリケーションの提供またこれを通じて蓄積された映像などを再販する。

BLOODピッと!
プロジェクト名: BLOODピッと!
所属: 弓削商船高等専門学校
糖尿病患者は世界で4億2200万人(11人に1人)いる。さまざまな病気の原因になるなど恐い病気。そのためには血糖値を把握することが大切だが針を刺すのが恐い。そこで指を置くだけで放射熱と代謝熱から血糖値を計測計測できる独自開発の「SpO2&Gluco センサー」を開発。実際のデモでは数秒で完了。一般の血糖値計とほぼ同じ傾向が得られているという。また、トレーニング支援機能や、HbA1cを算出するカルテ傾向表示機能も搭載する。

Mediated Ear
プロジェクト名: Mediated Ear
所属: 東京大学
補聴器は人混みでは聞き取りが難しい。このプロダクトは、Deep Neural Network技術を使ったソフトウェアで、ノイズを抑制し、特定の人の声だけを抽出する。ノイズキャンセリング技術はノイズだけを回避するが、このプロダクトは複数音声の中から特定の人の音声のみを抽出することができる。処理時間は、音声入力1秒あたり0.06秒。ソフトウェアのサイズは1GB。補聴器は20-100万円だが、マイク一つで実装可能。特定個人を認識するためのデータは3分間の音声だけでいい。開発は2017年冬スタート。ソフトウェアは実装済みで、今後hearableデバイスとして発展させたい考え。

EDGE SPROUT
プロジェクト名:
「ANSHiN」 ブレーキアシストシステム
所属: 立命館大学
子どもの自転車事故を減らしたいという思いから考案。事故は7才から19才までが最も多い。時刻・加速度・位置情報をデータとして保管し、危険を察知し減速するブレーキ支援機能を提供する。このデータは路面危険情報として提供する。収益はシステムのライセンスで100万円で販売。収集したデータをさまざまな小型モビリティ向けに安全情報として提供する計画。

AIChef
プロジェクト名: Recipio(レキピオ)
所属: 大阪大学、京都大学、慶應義塾大学

冷蔵庫にある食材に応じた料理を教えてくれるサービス。食材を登録することで、作れる料理を提案。ユーザーの料理事例を学習し、より幅広い提案を計画中。今後、画像認識や音声認識で食材を登録したり、スマートスピーカー経由でハンズフリーで使えるようなプロダクトにアップグレード中。

Team Emergensor
プロジェクト名: Emergensor
所属: 東京大学
貧困層14億人に向け、非常事態が発声した際に、安全を確保する方法を提供する。スマートフォンのセンサー情報(マイクや加速度センサ)を元に、危険情報を自動生成する。まずはフィリピンミンダナオ島にフォーカスし、その後、横展開を計画。

Telewheelchair
プロジェクト名: Telewheelchair
所属: 筑波大学
介護者の負担を軽減をするための電動車椅子運用支援システム。VRを使い遠隔地からのリモート操作したり、画像認識AIによる操作補助を行ったり(YOLO活用)、S空間を認識し操作補助をする(SLAM活用)、複数台の車椅子と追従するといった、様々な操作支援スキームを総合的に提供しようとしている。

ezaki-lab
プロジェクト名: EFFECT
所属: 鳥羽商船高等専門学校
マダイやアジなどの漁師さんが困っている少子高齢化(60代が40%を超えている)や市場価格の変動といった問題を解決すべく、コストの80%となる給餌を最適化し、遠隔でも行えるようにした上で、人工知能で完全に自動給餌できるようなシステムを開発。1日あたりの給餌量や給餌タイミング、魚の活動をAIに学習させた上で、自動で給餌を行う。現在は95%の精度。

Team HARO
プロジェクト名: HARO
所属: 東京大学、電気通信大学
実際に髪を切ることなく髪型をテスト可能。趣味や嗜好、顔や輪郭から適切な髪型を提案。輪郭を抽出し髪型をマッピングすることでリアルなイメージで確認することが可能。髪型の試用によってマーケットを広げたい考え。

Imagin Cup 2018世界大会にいくチームは?

まずスポンサー賞としてLINE賞は「Mediated Ear」、プリファードネットワークス賞は「Cybertech」、オーディエンス賞は「Mediated Ear」となりました。

優秀賞は3社。

「ezaki-lab」
「Mediated Ear」
「Team Emergensor」

彼らは2018年7月末にシアトルで開催されるImagine Cup 2018の世界大会に進出します。

【関連URL】
・[公式] Imagine Cup 2018 – Microsoft Imagine

蛇足:僕はこう思ったッス
 市場での急成長を前提としたスタートアップコンテストの場合、かならず市場性と技術的革新の天秤に並べられるという宿命があるのだが、往々にしてそのバランスを意識しすぎることによってプロジェクトそのものが陳腐化してしまうという問題が横たわっている。その点、Imagine Cupのおもしろいのは「世界中の人と戦う」という前提があるため、技術コンテストとしてスタートした彼らのプロダクトそのものが市場性を踏まえたものへと進歩していくのである。プロセスは正しく、彼らの取り組みにおける意欲も高い。あとは、それをどうビジネス・研究方面で突出させていけるかどうかは、大人達の役目のように思える。

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