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「TOYOTA NEXT」協業5社が確定、トヨタのオープンイノベーション

トヨタ自動車は2017年8月31日、外部の企業や研究機関などと連携して多様なサービスを実現するオープン・イノベーション・プロジェクト「TOYOTA NEXT」において、協業先の選定が完了したと発表しました。採択されたのは「カウリス」・「giftee」・「シェアのり」・「ナイトレイ」・「エイチーム」の5社。

プログラムは2016年12月にスタート。およそ500社からの応募があり、アイディアや技術・開発力・両者にとっての事業発展可能性などを踏まえて選定したとのことです。この5社はトヨタが持つビッグデータやディーラーネットワークといったアセットを活用し、共同で事業を開発していくことになります。

トヨタ常務役員の村上秀一 氏は発表文で「新たな仲間が出来た」と述べていくなど、スタートアップなどにとって大きな事業創造機会を得られると注目されています。

「TOYOTA NEXT」採択5社

「TOYOTA NEXT」は、激変するモビリティ環境において、外部企業などが持つアセットと組み合わせることでさまざまな課題を解決することを目的としたアクセラレーションプログラムです。自動車に乗車中、もしくは乗車していない時にも限らず、様々なサービスの実現を目指すというもの。このプログラム運営にはデジタルガレージグループが関与しており、トヨタ自動車およびデジタルガレージグループより、協業を決定した企業に対する株式出資の可能性があるとのことです。

株式会社カウリス
代表取締役 島津敦好
所在地 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル4F FINOLAB内
設立年月日 2015年12月
資本金 45,500千円(資本準備金含む)
会社サイト https://caulis.jp/
協業の方向性 カウリス社の保有する「リスク検知サービス」を活用したコネクティッドカーを中心としたモビリティーサービスへの応用、セキュリティー強化

株式会社ギフティ
代表取締役 太田睦
所在地 東京都品川区東五反田5-10-25 斎征池田山5F
設立年月日 2010年8月
資本金 195,005千円
会社サイト https://giftee.co.jp/
協業の方向性 ギフティ社の保有する「eギフトを提供するプラットフォーム eGift System」を活用したオーナー向けサービスの開発

社名 株式会社シェアのり
代表取締役 田平誠人
所在地 東京都新宿区西新宿7-7-26 ワコーレ新宿第一ビル11F
設立年月日 2015年1月
資本金 51,000千円
会社サイト https://sharenori.com/
協業の方向性 クルマの移動をもっと自由にもっと手軽にし、クルマの利用機会を増やすためにシェアのり社が提供しているサービスを活用した新しいモビリティーサービスの研究・開発

株式会社ナイトレイ
代表取締役 石川豊
所在地 東京都渋谷区南平台町15-11 南平台野坂ビル4F
設立年月日 2011年1月
資本金 140,255千円
会社サイト http://nightley.jp/
協業の方向性 ナイトレイ社のデータ分析解析技術と、モビリティーデータを活用したエリアマーケティングにおけるデータ提供サービスの開発

株式会社エイチーム
代表取締役 林高生
所在地 愛知県名古屋市中村区名駅三丁目28番12号 大名古屋ビルヂング32F
設立年月日 2000年2月
資本金 535,000千円
会社サイト http://www.a-tm.co.jp/
協業の方向性 エイチーム社のWEBマーケティング技術と自動車関連サービスを活用した、中古車ビジネス全般におけるお客様の利便性・安心感を高めるサービスの開発

トヨタのオープンイノベーション

トヨタ社本体が標榜するオープンイノベーションでは「ビッグデータ」「タッチポイント」「オウンドメディア」「スマートキーボックス」「トランスログ」「パーソナルモビリティ」「ナビをつかった通信サービス」「スマホナビ」という7つのアセット活用が期待されています。

ビッグデータ
位置情報、走行距離、速度情報、車両状態(部品劣化・故障ウォーニング)、車両利用状況(安全装備・ワイパー作動等)、エンジン回転数、アクセル開度 など

今後提供予定されるコネクティッドカーから取得可能な情報を活用するというもの。データは匿名化されているものの、どれくらいの車がワイパーが動いているかを判断するなどの活用が可能になります。

タッチポイント(ディーラーネットワーク)
全国各地にある5000店舗のディーラーネットワークの活用

トヨタの新車・中古車の販売拠点、整備メンテナンスの拠点としてお客様とのリアルな接点。都市部・観光地に集中するトヨタレンタリース店の約1200店舗もあります。FACE TO FACEでのサービス提供拠点となり得るとのことです。

オウンドメディア
toyota.jp / LINE公式アカウント / メルマガ等

ホームページ(toyota.jp)は月間約1000万ユニークユーザー。LINEアカウントは約2500万人の友だち登録。

スマートキーボックス
スマートフォンで鍵の開閉等ができる装置

個人での利用からカーシェアリング事業まで連携が期待されます。

トランスログ
法人のお客様向け車両運行管理サービス

企業が持つ車両の稼働状況や燃費・安全運転の状況を視える化し、企業の抱える課題を解決するソリューションサービスです。異なる用途での活用の他、アイデアを新たに付加することなどに期待したいとのことです。

パーソナルモビリティ(i-ROAD)
リチウムイオン電池搭載の超小型モビリティパーソナルモビリティ。1回の充電で約50km走行が可能。

既に、東京、神奈川などの首都圏でのモニター調査を実施済み。サービス連携で活用の幅を拡大したい考えです。

T-Connectナビ等を利用した通信サービス
ヘルプネット・オペレーター・マイカーセキュリティ等、様々なサービスを提供

協業会社のアプリを追加することが可能。

TCスマホナビアプリを利用したナビサービス
トヨタ独自のリアルタイム交通情報などを活用したナビアプリの活用

応募企業のアセットと組み合わせることでさらなる機能の拡張を実現したい考え。

以上ですが、トヨタのカーアクセサリーを活用したアイディアも歓迎するとのこと。

【関連URL】
・オープンイノベーションプログラム『TOYOTA NEXT』
-サービスを共同開発する協業企業、選定結果のお知らせ-
http://newsroom.toyota.co.jp/en/detail/18327954#

蛇足:僕はこう思ったッス
 TechWaveが日本で初めてオープンイノベーションをテーマにした大規模イベントを開催したのが2012年11月(企業 x スタートアップの接点を模索する「Penta Tech Meeting (ペンタテックミーティング)」11月27日開催決定 【増田 @maskin 】)でした。IT業界ではまだ、言葉自体もあまり知られていない雰囲気だったが、蓋をあけてみると大企業の方の知識と意欲に圧倒されたというのが4年前の状況。方法論的な成熟や、実際のスタートアップや研究者がいるかどうかという環境要因が整備されるまでに時間を要するのだと思うのだけど、こうした超大手起業が一歩踏み込んだ形でスタートアップ連携で一歩前進したことは評価したい。ただ、大切なのは成果。ただの課題解決だけではなく、次なる時代への突破口をあける限りになるかどうか注目したい。
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