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アメリカの最新日本食事情~儲かっているのはどこ?【米国マーケティング新潮流を追う vol.11】

変化が著しく、かつ様々な分野において最先端の取り組みがなされるアメリカ。ここでは、在米30年で、これまで数々の日系企業の米国進出をサポートしてきた、VUELOO inc. COO&CMO の代表 岩瀬昌美氏による現地レポートをシリーズでお伝えします。売り場、現場の最前線で何が起きているのかはもちろん、いまなお米国に在住しているからこそ分かる生活者の反応や日本市場との対比なども交えてお届けします。
11回目は、米国の最新日本食事情について、実際に成功し、設けているのは誰なのかについて伝えます。

日本人がオーナーの日本食レストランは10%以下?

ここアメリカで「日本食ブーム」と言われて久しく、アメリカ人はウニや青魚を食べないと言うのは、もう10年ひと昔の話になりました。そしていま、アメリカでの日本食は、日本で独自の進化を遂げたバレンタインデーのように、大きな進化を遂げています。

現在アメリカには2万件を超える日本食レストランがありますが、その中でオーナーが日本人であるお店はわずか10%にも満たないのが現状なのです(ちなみに韓国レストランや中華系レストランは多分その逆のほとんどが自国人です)。なぜ、日本人以外のオーナーが日本食レストランをうんえいするのでしょうか? それは、ズバリ儲かるからなのです!

以前ニュージャージに住んでいた時のことです。中華料理のオーナーが隣に日本食のレストランをオープンさせました。しかも、キッチンは共通で! その中国人のオーナーは自慢気に「アメリカ人は中華のビーフ&ブロッコリーだとランチに5ドルしか払わないけど、日本食のテリヤキ ビーフにすると10ドルも払うんだ!」と話していました。なんと商魂たくましい!

その後、そのオーナーのお店は数十件のフランチャイズへと成長しています(なべ焼きうどんにカリフラワーが入っていますけどね!)。また、韓国系の焼肉料理店に寿司バーがあるのはもはやお決まりで、ロスアンゼルスのすしチェーンもその多くが韓国人オーナーだったりします。

その国の文化に対応することの意味とは?

そんな中、先日私のお気に入りの鮨屋さんがひっそりと店を閉じました。日本の頑固な職人という感じのオーナーシェフだったんですが、アメリカ人の大好きなスパイシーツナロールやてんぷらロールはメニューになく、オーダーがあると「それなら他所にいってくれ」と伝えていました。しかし、アメリカではスパイシーロールのない鮨屋はもはや鮨屋ではないです。その結果、残念ながら潰れてしまいました。

やはり「郷に入っては郷に従え」は重要ですよね。日本のバレンタインが、アメリカをはじめほかの国のバレンタインの風習とは全く様相が違いるように、よその国で流行するというはそういうものなのです。

さらにここアメリカは世界中で唯一、サッポロビールが日系ビール市場で不動のナンバーワンなのです(サッポロの生ビール自体はカナダで作られているのですが、アサヒの生ビールは日本から運んでくるため、サッポロより価格が高いんです)。日本ではサッポロビールは業界4位ですが、アメリカでは日本のビールと言えばサッポロ。サッポロビールに天ぷらロールが、アメリカ人の好きな寿司の食べ方なのです。

日本からアメリカ本土やハワイに進出しながらも、力及ばず撤退してしまうビジネスは本当に多いです。日本の良いものの真髄はキープしながらも、その土地のことをしっかりとリサーチしてローカライズしていかなければ、いくら「日本食ブーム」と言ったところで、実際に儲かるのは日本人オーナーではない上に、とんでもない日本食が世界中に広がっていくことになってしまうのです。

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