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DtoCビジネス成功の秘訣はAmazonの真逆戦略にあり【米国マーケティング新潮流を追う vol.8】

変化が著しく、かつ様々な分野において最先端の取り組みがなされるアメリカ。ここでは、在米30年で、これまで数々の日系企業の米国進出をサポートしてきた、MIW Marketing & Consulting Group,Inc. の代表 岩瀬昌美氏による現地レポートをシリーズでお伝えします。売り場、現場の最前線で何が起きているのかはもちろん、いまなお米国に在住しているからこそ分かる生活者の反応や日本市場との対比なども交えてお届けします。
8回目は、ここ数年で日本でも注目されるプレイヤーが増えているDtoC(Direct to Consumer)ビジネスについて、米国で成功している企業のビジネスモデルとその背景をお伝えします。

一点集中こそが強み

オンライン・セールと言えばAmazonが代名詞。Amazonsといえば何から何までネットで買えることが強みですが、今アメリカで成功している D to C(Direct to Consumer)企業は、Amazonと真逆の戦略で成功しているところなんです。例えば、マットレスのCasper(キャスパー)。 日本ではなじみが薄い会社ですが、たった2年で1億ドルの売り上げにまで急成長しています。

調査サイト「CB INSIGHTS」によると、急成長の秘密は、ずばり“販売するマットレスは1種類!”です。これは在庫を抱えないというメリットという会社側のメリットもありますが、当社の“BEST”をお届けする、というセールスモデルが忙しい現代人に合っているのだと思います。硬いベッドが自分に合っているのか、横向きで寝る人に合わせたものがいいのかなど、アメリカはベッド文化のため、既存ブランドの中には数十種類ものマットレスがあることも。さらに、ブランドごとに商品特性も違いますから、それらを比較するのはとても大変な作業なのです。つまり1つしか売らないというのは、「選ぶ時間はないけど、間違ったマットレスは選びたくない」というミレニアル世代にずばり突き刺さった戦略だったのです。それが、販売開始から1カ月で100万ドルを売り上げ、2018年には6億ドルドルにまでなった秘訣です。

これは偶然でなく、BONOBONOSというメンズアパレルも、たった1種類のコーデュロイメンズパンツだけで1年950万ドル、3年で7000万ドルもの驚異的な数字を売り上げました。ここも、多くの男性、特にコーデュロイパンツを愛用する男性はお店で色々と試着するのが面倒だだと思っている、という点を上手くついています。

ただしこの「1点BEST戦略」は女性のアパレルや化粧品には向きませんので悪しからず。

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