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子供は未来そのもの…「Connect!仕事と子育ての両立のコツを聞いてみよう!」イベントレポート【河原あず/@as_kwhr】@maskin

[読了時間: 4分]

東京ミートアップ委員会さんのイベントレポート
TechWave編集チョのmaskinこと増田真樹です。「つながることで輝ける!」をテーマにキャリアやライフプランについて考えるイベント「Connect!」の第二回イベント「仕事と子育ての両立のコツを聞いてみよう!」のレポートを投稿して頂きました。イベントには僕自身も参加しています。普段話さないことも結構話しましたのでお楽しみに!

「Connect!仕事と子育ての両立のコツを聞いてみよう!」イベントレポート 【河原あず/@as_kwhr】

 「仕事と育児」と単語を並べてみたとき、多くの人はどのような印象を持つでしょうか?

 難しいこと、あるいは「無理」と言い切ってしまう人もいるかもしれません。少なくとも「簡単なこと」ではないと感じる方が大半だと思います。しかし、苦労しながらも、仕事と育児を両立している魅力的な方もにいらっしゃいます。

 去る3月23日、そのような方々に実際お話を聞いてみようという趣旨のパネルトークイベントを、銀座のリクルートメディアテクノロジーラボで開催しました。

 主催したのは東京ミートアップ委員会。東京ミートアップ委員会とは、ニフティ株式会社公認の課外活動グループで、参加メンバーそれぞれが自分なりのテーマをもって、独自のイベントやミートアップの開催に取り組んでいます。

 「育児と仕事を両立している人の講演会などをみると、まるで誰もできないことを実践しているスーパーマンのような人ばかり。そうではなくて、現場目線の泥くさい育児の話を共有できる場を作りたい」というのが、このイベントのコンセプト。実際に仕事と育児を両立して頑張っている4人のパネラーをお招きし、「両立」ができるコツはなんなのか、ここでしか聞けない実体験談をお話頂きました。

 パネラーは、大沢香織さん(株式会社トーキョーストーム/LIVING ROOOM Inc. CEO)、阿部愛さん(株式会社サムライインキュベート)、橋本謙太郎さん(コンテンツワンCTO 兼 マルチメディアスクールWAVE CTO 兼 大栄紙工東京営業所所長)、そしてTechWave編集長の増田真樹さん(maskin)です。

 テックコミュニティの中では一目おかれるキャリアを持つ4名の、4者4様の体験談を中心に、パネルトークは進められました。


大沢さん「タスク化してそのタスクを自分と夫に振ろう!」

 大沢さんは、5歳になる一女の母。子供が2歳の時に起業しましたが、今回は会社員時代の子育てについて主に話して頂きました。

 「出産のときは、IT系の会社で経理の事務職をやっていました。続けるつもりでしたが、つわりがひどくなってやむなく仕事を休みました。」

 子育ての環境をどう整えたかという問いに、大沢さんは「夫と自分にタスクを分けて、それをお互い感情を交えずにこなしていくことです」と回答。

 「子育てに関しては感情論と実務をきっぱり分けた。どっちがやっているとかやってないとかそういう話になりがちだけど、とにかくやってほしいことをタスク化して、それを自分と夫に振るべきです。

 また、大沢さんは「会社の制度があるなら使い倒す事」を育児のコツのひとつとして挙げていました。「フレックスや育休が夫の当時勤めていた会社にあったので、使い倒してもらいました。周りの目を気にせず使い倒すべきだと思います。」


3人の子持ち・阿部さん「フレキシブルな時間配分ができる勤務体系に」

 阿部さんは一男二女(9歳女、7歳男、4歳女)の母。3人の子どもの育児と仕事を両立してきました。ちなみにこの日は3人とも会場に来ていました。「イベントには子どもを連れて来ることにしてるんです。」とのこと。

 最初に子どもができたときはシステム会社でSEをしていたそう。

 「子どもができたときに勤めてた会社の社長に相談したら、直属の上司と相談の場を作れたんです。上司も見通しをつけてくれた。」

 夫も仕事が大変なので、最初は自分1人でなんとかこなそうとしたそう。しかし、直に難しさを痛感することになります。「本当に大変だった。けど、2人目3人目は、いろいろとやりかたが分かってくるので、だいぶ回せるようになりましたね。」

 3人もの子どもを育てられたコツを伺うと「両親が助けてくれたのが大きかったです」とのこと。また今の仕事はあえて業務委託という契約体系で関わっているとのこと。

 「社員になって育児がみんなの負担になるのはイヤだなと思ったんです。時間もフレキシブルにしてる。仕事と生活の時間配分は子の成長にあわせ半年スパンで変わりますね。今は、私は子どもと寝て、朝早くに起きて仕事してます。」


離婚した前妻と育児を分担する橋本さん「実質的には共同親権なんです」

 株式会社コニットを起業し、現在はコンテンツワン社のCTOを勤める橋本さんは、二男の父親。離婚しており、親権は橋本さんが持っている父子家庭の父です。

 「離婚して2年です。平日は妻といて、土日は私といます。もともと共同親権に興味があったんですが、日本では認められてない。彼女のほうが長い時間一緒にいるので、親権はあえて僕が持つことにしたんです。実質はふたりが持っています。」

 子どもが産まれたのは学校を卒業し就職してすぐ後のこと。

 「とにかく経済的に大変でしたね。収入がない中、関東でアパートを借りて生活するのは大変です。妻の実家が近かったのでかなり協力してもらった。」それから一時期は元妻の実家で同居をしたものの、紆余曲折があり、離婚する事に。

 「土日に自分の時間はないです。自分ひとりに子ども2人なので。子どもが行ける場所じゃないと土日はいかないし、そうじゃないといけないですね。土日まで別れた妻に育児を頼むと「平日は妻、土日は私」というルールが変わってしまうから。」


増田さん「仕事を選ぶというよりは、自分の状況を受け入れてくれる環境を選んだ」

 増田さん(以下マスキンさん)の育児は、詳細はTechWaveでも記事になっているので是非とも
参照いただきたい。(記事へのリンク)

 第一子の出産直後より奥さんが体調を崩し、0歳児を抱えながらの仕事と育児の両立がスタート。「託児所に子どもを預けて、会社に行き、託児所に迎えにいき、家内の親に預け、そのまま会社に戻るという日々でした。」

 結局、複数のスタートアップの掛け持ちと育児の両立が厳しくなり、宇都宮へのUターンを決断したマスキンさん。次女が産まれたときには奥さんの複雑骨折が発覚し、再び育児と仕事の両立がスタートしました。

 「宇都宮に戻ってからはプライベートも仕事も子ども中心に置き換えたんです。ゆとりなんて、全然ないです。いろんな人に聞きながら、どうにかこうにか、その仕組みを作ってきました。仕事を選ぶというよりは、自分の状況を受け入れてくれる環境を選んだんです。イベントに子連れで参加したり、仕事の打ち合わせに子どもを連れていったり。会社の給湯室に粉ミルク置いたりしてましたね。」

 大変ではないですか?と聞くとマスキンさんは答えます。「大変だけど、子どもって未来だと思うし、生きる力が本当にあるんです。
もみくちゃになりながら、子どもの生きる力を感じて仕事するのも、いいのかもなと思いますね。」


子どもと大人が混ざり合う意味

 この日は大人だけではなく小さなお客さんもたくさん来場してくれました。

 ステージでパネルトークが繰り広げられる間、ステージの脇では、子どもがずっと遊んでいて、スタッフが子どもの相手をしていました。

 スタッフは、実は大沢さんの会社の共同経営者でCTOの上松大輝さん。「こういう環境を作りたかった」と大沢さんはステージで語ります。

 「私はあの状況(イベント会場の隅で大沢さんの会社の社員が子どもが遊んでる状況)を作りたかったんです。旦那は子どもができてから柔和な性格になったし、若い人が大沢さんができるなら子育て自分にもできるかなって感じて、子どもに抵抗なくなったりしてきている。少子化というけれど、今の日本社会に若い人と子どもが接する機会を作ることが重要と思う」

 子どもをイベントに連れてきた阿部さんはその理由を次のように語ってくれました。

 「イベントってオススメなんですよ。何を教えても受けとるのは子どもであって、そこの判断は押し付けないんですけど、私自分の興味あることを数多く経験させてどこかで子どもの中にひっかかってくれればと思うんですよね。例えば、去年花テックというイベントでkinectを使ったゲームアプリで遊ばせたんですけど、ものすごく興味を持ってたんです。『あれを作ったのは何者なの?』って質問されたり。そういう経験を持たせるのが大事だと思うんです」

 子どもと大人が混じり合うことで、子どもも成長するし、大人もたくさんのことに気づけるのです。大沢さんの今の野望は「親子で働けるコワーキングスペースを作る」ことだそうです。「できたら、日本はもっと変わると思います」大沢さんは笑顔でそう語ってくれました。


子どもは大人の価値観でははかれない。子どもは、未来そのもの

 橋本さんは、子どもには「やりたいことは、普通ならやらせないこともやらせます」と語ります。「上の子が幼稚園の年少のときに『iPhoneのゲームが作りたい』と言っていて。それで小学校に入ったときに、MacとiPhoneをあげて、子ども向けの教室にいれてゲームを実際に作らせたんです。プログラミングを子どもが勉強すると、英語で書かれてるからまずそこの壁にぶつかるんです。次は算数。そして文法だから国語ですね。

 その重要性に子どもが気づいて、勉強に対する態度が、俄然、変わったんですよ。子どもだから~ができないというのは親の価値観でしかない。やらせると勝手に自分でやるべきことに気付くんです。」

 増田さんの持論は「子どもは未来そのもの」というもの。

 「彼らは、そんなに僕らとかわらないんです。だけど、彼らは何事も本能で判断できる。いろんな物事を、彼らの考え方で見てみると、スジが通って来たりするんです。

 オトナになると、色々くっつけて考えちゃったりするけど、子どもはもっとシンプル。子どもの価値観にあわせることで、シームレスに未来を考えようとしています。」

 ふたりの言葉で気づくのは、子どもの持つ力強さです。子どもは大人が思う以上に可能性を秘めているし、それをつぶさずに、育てる、そして同じ視点で物事を見てみることが大事だと気づかされます。「子どもは未来そのもの」。大人と子どもが交じり合うこの空間で、肌身にその事実を感じました。


育児は、支え合う気持ちと、生命力を感じさせてくれるから素晴らしい

 会を主催した東京ミートアップ委員会・栗林真由美のコメントです。

 「実は最初の企画段階において、子育て未経験の私がこのイベントを開くことに少なからず抵抗がありました。けれど『仕事』と『子育て』は人生の一部。どちらかを選んでも両方選んでも、その人自身の生き方であり人生そのもの。

 なのに、『両立』となると『ツライ、キツい、苦しい』といったネガティブなイメージが多いことに疑問を感じていました。
そんな矢先にパネラーの皆さんに出会い、自分らしく仕事も子育ても両立できる!楽しめるんだ!と感じ、同時に『もっと多くの人にこういう生き方もあることを知ってもらいたい』『色んな価値観でこの仕事と子育ての両立のテーマを考える機会を作りたい!』と思い、今回のイベントを企画しました。

 当日は夫婦、学生、未婚、シングルマザー、妊婦、お子様の方々など実に色々な方々にご来場いただき、このテーマについて真剣に考える場にすることができました」。

 私たちが何より印象的だったのは、子どもと大人、そして初対面の来場者たちが真剣にその場を楽しんでした姿でした。交流を楽しみ、知恵を分かち合い、悩みを共有し、そして何よりも、その場の「楽しさ」を分かち合っていました。

 イベントタイトルにもなった「育児と仕事の両立のコツ」という問いへの答えは、正直、あまりはっきりとは見えなかったかもしれません。

 ただ、きっと、このような場を持ち続けることで、参加してくれた皆さんが色々な事に気づき、その気付きを共有できることが、
よりよい「育児と仕事の両立」につながっていくのではないか……そのような確信を持つことができました。

 「子どもを育てる事で、人は支え合って生きてること、そして人間の生命力を感じる。それを感じて生きれる育児はとてもいいことなんですよ」

 マスキンさんはこんな風に語ってくれました。そしてその言葉は、このイベントの有り様をそのまま言い表してたようにも思えるのです。

【関連URL】
・(第2回)Connect!仕事と子育ての両立のコツを聞いてみよう! on everevo
http://everevo.com/event/4406
・イベント「Connect!仕事と子育ての両立のコツを聞いてみよう!」のつぶやきまとめ – Togetter
http://togetter.com/li/476378
・東京ミートアップ委員会のブログ
http://tokyomeetup.cocolog-nifty.com/blog/

著者プロフィール:河原あず/@as_kwhr
ニフティ株式会社 東京ミートアップ委員会世話役
1980年12月生まれ。2007年1月にニフティ株式会社入社。音楽サイト編集職の後、2008年4月より、ニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」担当に。運営スタッフとして年間平均200本以上のイベント運営に関わる。2011年11月より、3ヶ月にわたりシリコンバレーに出張し、アメリカのミートアップ文化を現地取材。帰国後の2012年4月に東京カルチャーカルチャーを「卒業」し、以後は有志と共にニフティ公認のイベント活動サークル「東京ミートアップ委員会」を立ち上げ、社内外にて数多くのイベントを運営している。NPO法人「シブヤ大学」の授業コーディネーターとしても活動中。
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