2017年、デジタルがついに野党から与党へ。マーケターの次の一手とは?【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.1】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo アドバイザリーボード40名のインタビュー特集始まります
編集長のmaskinです。日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載していきます(特集一覧はこちら)。インタビュワーは、すでにマーケティングセクションで活動(1億6600万再生のハッピー・チューバッカ事例から考える、Facebook Liveの問題)しているComexposium所属の古市優子 氏です。お楽しみに!

2017年、デジタルがついに野党から与党へ。マーケターの次の一手とは?

先月開かれたad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member会議では「働き方」の話題が多くを占めました。業界の関心事項として強い高まりを感じます。Audi Japan マーケティング本部 デジタル&CRMマネージャー 井上大輔氏の取り組みの紹介は、その会議でも一石を投じていました。今回は、井上氏に詳しく、お話を伺います。

Audi Japan マーケティング本部 デジタル&CRMマネージャー 井上大輔氏

——まず、Audi Japanが取り組んでいる、広告主の新しいビジネスの形について教えてください。

特徴的なのは、デジタルメディアに関しては、我々がオリエンをメディアに直接行っている点です。各メディアの担当者に同時に集まってもらい、目的や全体予算などを伝え、それぞれから提案をいただいています。新車Audi Q2のティザーキャンペーン(https://q2-katayaburu.jp/)では、クリエイティブに関しても同様のチャレンジを行い、複数のクリエイティブエージェンシーに同時にオリエンして提案してもらいました。結果、3つの競合関係にあるエージェンシーからのアイデアが、一つのサイトに同居するようなクリエイティブが出来上がりました。このように、デジタルに関しては、オリエンからアイデア選定、予算組みまですべて広告主主導で行っています。

——そこまで広告主側で行うとなると、エージェンシーのかかわり方、あり方はどうなりますか?

現在のところ、パートナーである総合代理店のAEさんとは、全体のプロデュースを二人三脚で進めており、全体の進め方に対する総合的なコンサルテーションをしてもらっている、というイメージです。また、デジタル以外のメディアバイイングは従来通りの進め方をしているので、総合代理店さんの存在は必要不可欠です。今後、広告主側が直接メディアとやり取りすることが増えると考えていますが、やはり企画の実現に向けて複数のメディアや制作チームを取り仕切る部分では、実行力のあるエージェンシーの担当者がとても頼りになります。すごく長い目でみれば、今後はプロジェクトマネジメント能力がある人がいれば、必ずしも総合広告代理店である必要はないかもしれません。

——そうした取り組みを通じて実感した、広告主側の変化はありますか?

まだ始まったばかりですが、メディアの部分、特に透明性の問題についてはとてもうまく機能していると思います。広告は「広告主→エージェンシー→メディア→消費者」という流れで4者がかかわります。この4者の接点一つひとつで透明性の是非が問われ、問題を解決しなければならないわけですから、実は「透明性」の問題はとても根が深く、解決は至難の技なのです。そうなると、広告主ができるのは「我々はちゃんと見ていますよ」という“抑止力”を効かせること。今回、広告主とメディアが直接つながったことで、ひとつ前進できたと考えています。

——業界では、デジタル分野の人材不足・採用難が言われていますが、それについてはいかがでしょうか?

日本国内だけに目を向けているからそう思うのであって、海外を含めれば人材はたくさんいます。たとえば、東欧の優秀な若者は欧米の大学で学んでいますが、彼らは母国に働き先がないので、グローバルで就職先を探しています。漫画やアニメなどを通じて日本に興味を持っている人は世界中に一定数いるので、やり方次第では人気の就職先になりえるのです。しかし、大半の日本企業は、人が足りないと騒ぎながらも、海外のマーケットで人材を探していないのです。また仮に、採用できたとしても、グローバル人材をマネジメントできる管理職がいないのは大きな課題です。

——お話し頂いたように、働き方、透明性、ad fraudなど、立ち止まって振り返るべき課題が昨年から今年にかけて出てきています。最後に、2017年の業界への期待を教えてください。

デジタル部門はほんの最近まで、施策の中心になることはなく、どちらかといえば隅に追いやられていました。ある意味、万年野党だったわけです。それが去年くらいからデジタルは施策の中心になり、急に与党となりました。すると、オリエンの仕方ひとつにしても、与党としてどう振る舞うべきか“お作法”が未だわかっていない状況にあると思います。しかし、ほとんどの会社で、もうデジタルは施策の中心になっています。「上司がデジタルをわかっていないから、どう説得するか」。そんなことを考える時代はもう終わりました。逆に、メインストリームとしてどう舵をとっていくのか、今後は問われてくると思います。与党としてのデジタルの躍進が、この1年一気に起きると思っているので、とても楽しみです。

——ありがとうございました。

【ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member (ABM) Interview Vol.1】(特集一覧はこちら

井上 大輔 氏 アウディジャパン株式会社 マーケティング本部 デジタル&CRMマネージャー
Yahoo! Japanプロデューサー、ニュージーランド航空オンラインセールス部長、LUX/Dove/Liptonなどを手がけるグローバルFMCG企業ユニリーバでのEC&デジタルマーケティングマネージャーを経て現職。業種や業界、企業の国籍をまたいだマーケティングの実務経験をもとに、IMC・ブランディング・ダイレクトレスポンスと幅広い領域を守備範囲とする。

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日-18日
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

Interview & Text: 古市優子

古市 優子

古市 優子

慶應義塾大学法学部法律学科卒、University of Utah演劇学科への交換留学を経て、在学中は電子手形の研究。サイバーエージェント新卒入社と同時に、スマートフォン黎明期のCyberZへ出向、MVP通算6回、通期新人賞受賞。退職後はサンフランシスコへ渡米、翻訳などフリーで活動。2013年よりdmg::events(現Comexposium)に入社、iMedia News Summitなど新イベントの立ち上げ、ad:tech tokyoではコンテンツを担当。最近の趣味は新居のスマートホーム化とワイン。じっとしていられないのが悩み。
古市 優子

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