APACからみた日本のマーケットと注目の業界動向ーフェイスブック ジャパン 井上 英樹氏【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.15】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら



今回は、SMB(中小企業)事業を担当している、フェイスブック ジャパン 井上 英樹 氏にインタビュー。APACからみた日本のマーケット、いま注目の業界動向などについて聞きました。

フェイスブックジャパン 井上英樹 氏

——最近感じている業界課題はどのようなことでしょうか。
大企業中心、また東京の一極集中を課題に感じます。もともと、Facebookに入った理由は、デジタルの力を使って、日本のマーケットを活性化させたい夢があったからです。今もそのパッションで動いていますし、私の一番のミッションでもあります。
そのような中で、日本全国各地の中小企業を対象としたFacebook Marketing Boot Camp (海外名称:Boost Your Business)は、強いやりがいを感じているアクションの一つです。

——アドテック東京でも「デジタルを駆使した、スモール・ビジネス活性化」をテーマに、ご登壇いただきましたね。
はい。アドテック東京は、業界の最先端で、個性的かつ優秀な方々が集まっています。ですが、大手ブランド企業、最新テクノロジー企業、勢いあるスタートアップが中心で、地方や中小企業について着目したセッションが圧倒的に少ないように感じます。日本の企業数の99%以上、就業者の7割以上が、中小企業に属しています。今後の日本を考えると、最先端のデジタルマーケティング技術が、いかにして中小企業を含めた日本全体に浸透していくのか、そこに強く興味がありますね。

——大半の時間をシンガポール中心にAPAC各地で過ごされています。その観点で、日本をみると、どうでしょうか。
経営者の方が、マーケティングを、まだ自分ゴト化されていないように感じます。もちろん、販路拡大、営業、採用、財務などは、必要なタスクとして熱心に取り組まれています。その一方で、「販路拡大のための方法論としてのマーケティング」「自社の強みを理解してそれを広げていく活動」という観点となると、あまり率先して意識されていないように感じます。たとえばオーストラリアでは、趣味が高じて家族ではじめられたようなビジネスでも、当たり前のように、あらゆる手段を使ってマーケティング活動を行われています。マーケティング、デジタルへ取り組むことへのハードルが低く、ベースの考え方、土壌が違うな、と感じます。

——そこまでの土壌の差が、どうして生まれてしまうのでしょうか。
そもそも「マーケティング」って、外来語で、それが横文字のままになっている時点で、自分とはあまり関係のないこと、もしくは専門家に頼んでやってもらうもののように感じ、自分ごと化されにくくなってしまうのだと思います。中小企業にとっても販路拡大のためには、いわゆるマーケティング活動は必須なのですが、日本は、そこは広告を打つから代理店さんに任せようと、人に頼る発想が根強いのではないでしょうか。
確かに、ひと昔前は、専門家に頼らないとできない施策が多かったです。ですが、今はデジタルテクノロジーの発展で、小さい企業でも個人でも、いつでもどこにでも気軽に自社商品のアピール、広告の制作・出稿することもできます。こんな素晴らしいせっかくの機会にもかかわらず、中小企業の担当者は、なかなか手を出さない傾向にあると思います。
一方で、APACの、例えばインドネシアやタイなどでは、スマホから始まったデジタルネイティブの人々がどんどん増えており、スモールビジネスにおいても情報は自分でどこへでも取りに行き、ビジネスに使えると分かればトップ自らすぐ手を動かし、集客し、販売する、といった様な動きが当たり前になっています。日本にもそういうバイタリティ溢れる方はもちろんいらっしゃりますが、規模と熱量が違いますね。
また、最近は、海外の人のほうが日本のよさに気づいているケースがよく見られます。観光地や、商品など、日本人が自分の強みとして気づいていない部分に、海外に住む外国人の方が先に目をつけるのです。私のタイ人の知り合いは京都の抹茶を仕入れてオンラインで海外市場へ向けて商売をやっています。海外の方が日本の良い部分を率先して発掘し、デジタルマーケティングを駆使してビジネスとして成長させていく、それが当たり前になる時代が来るかもしれません。

——英語という言語の問題が大きいのでしょうか。
たしかに「もったいない」とは感じますが、英語自体はあくまで手段なので、精神の問題が強いと思います。これまでの日本の国内マーケットが素晴らしすぎて、危機意識が芽生えていないと感じます。
ちなみに、私のチームでも、英語日本語が両方堪能かつ日本のマーケットを理解している人の採用となると、正直簡単ではありません。一方で、お隣の韓国チームの同僚と話すと、彼らはその様な人材の採用にそこまで苦労していないようです。韓国は、もともと市場全体が日本ほど大きくないので、グローバルマーケットで戦わなければ、もしくはグローバル人材にならなければ、という意識が強いのです。コスメをはじめとする越境ECも非常に勢いを感じます。

——語学というスキルの問題ではなく、日々の考え方の問題ですね。
はい。グローバルを見据えている人と、日本の中のみをみている人、その差がすごく顕著であると感じます。
また、この二極化は業界の課題にもあてはまります。一部の専門性で突き抜けている人と、それ以外の、自分は関係ないからと放置している人の二極化です。専門家に頼るという方法も全く悪いことではないですが、差が開き続けると問題です。日本経済全体の活性化のためには両者のブリッジが、今後は最も重要だと思います。

——ありがとうございました。

フェイスブックジャパン 井上英樹 氏

井上 英樹
フェイスブック ジャパン
執行役員 SMB事業担当(Head of Small and Medium Business)

SMB(中小企業)事業担当として、Facebook及びInstagramのビジネス活用や広告出稿をサポートするチームを統括。Facebook入社以前は米国デルの日本法人及びデル・アジアパシフィックにて、広告宣伝本部長、ダイレクト営業本部長、リテール営業本部長などの要職を歴任。一人でも多くの方々に Facebook及びInstagramのビジネス利用への可能性と価値を伝え、日本の企業・個人事業主・スタートアップ企業の事業成長に貢献すべく、日々チームと共に邁進中。

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日(火)-18日(水)
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

古市 優子

古市 優子

Content Manager - ad:tech / iMedia at Comexposium Japan
慶應義塾大学法学部法律学科卒、University of Utah演劇学科への交換留学を経て、在学中は電子手形の研究。サイバーエージェント新卒入社と同時に、スマートフォン黎明期のCyberZへ出向、MVP通算6回、通期新人賞受賞。退職後はサンフランシスコへ渡米、翻訳などフリーで活動。2013年よりdmg::events(現Comexposium)に入社、iMedia News Summitなど新イベントの立ち上げ、ad:tech tokyoではコンテンツを担当。最近の趣味は新居のスマートホーム化とワイン。じっとしていられないのが悩み。
古市 優子

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