クラウドコンピューティングの未来はこうなるのね、なるほど(IVSにて)

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 って思った、ホスティングサービスの米Rackspace Hostingのアジア代表Jim Faganさんと話していて。名前からしてホスティングの会社で、いわゆる今はやりのクラウドコンピューティングからはほど遠そう。で、やっぱり「すべての業務をクラウド上でやろうって会社なんていないよ」という。
 ここでちょっとおさらい。ホスティングやら、ASPやら、クラウドやら、SaaSやら、同じような意味の言葉ってどう違うの?
 「同じ意味だよ」と言う人もいる。「以前からあるサービスと差別化するため、ちょっとカッコつけて新しい呼び名をつけただけだよ」って。
 でもSaaS、クラウドの代表格のようにいわれるSalesforce.comの幹部によると、大きな違いはsingle tenancyかmilti tenancyかというところにあるという。一社しかテナントを入れないビルか、複数のテナントを入れるビルかって違いのようなもの。
 ASPは、原則テナント1社。顧客企業1社のために専属サーバーを設ける。SaaSは、複数テナント。1つのサーバーを他社と共有する。
 何かと安心できそうなのが単独テナントのASP。他社とサーバーを共有するのってセキュリティ上どうよ、って不安がつきまとう。でもその半面、一社でサーバーを独占するのって、コスト的に社内にサーバーを置くのとそう違わないような気がする。
 一方で複数テナントのSaaSの事業者に言わせると、「複数の社でサーバーを共有しても、データが混ざり合うなんてバカな状態になるわけないじゃん」ってことになる。「そんな低レベルのセキュリティさえ実施できないなら、こんなサービス(SaaS)なんてやんないよ」。まあそれはそうかもしんないけど・・・。
 それでメリットとしては、無駄なくサーバーを共有するので、安くなりそう。それにSaaS事業者にいわせると、セキュリティ、リライアビリティなどの基礎部分を共有するので、最高峰のセキュリティ、リライアビリティを提供できるという。
 まあ長短あるんだけど、日本企業ってシステムを全部ホスティングに任せるってことはありえないんじゃないかな、って思っていたので、Jimさんにそう話したら、「そうなんだよ!すべてホスティングする会社なんてない。それでいいんだよ」という意外な返事。
 もう既に社内にシステムを構築している社や、基幹業務のシステムは絶対に社内に置いておきたい社はそうすればいい。でも少しはコストを安くしたい場合はASP、徹底的にコストを下げたい場合、CRMのような特定のアプリケーションを利用したい場合はSaaS、というように使い分ければいい、と言う。
 Rackspaceの場合は、single tenancyでもmulti tenancyでも、顧客の要望に応じて提供できるのが強みという。さらには自社のmulti tenancyの仕組みより、グーグルやamazon、salesforceなどのクラウドのほうがより安価で優れたアプリケーションを提供するのであれば、それを顧客に勧めていくという。つまりホスティング事業者というより、システムコンサルティング事業者を志向しているのだというわけだ。「5年後は分からない。でも今は、自社内にサーバーを置く一方で、ホスティングを利用して専用サーバーを借り、さらにはmulti tenantのクラウドを利用する。この3つのシステムのあり方を組み合わせるのが一般的で、われわれは顧客企業がどのような組み合わせを希望しても対応できるサービスを提供していく」と言う。
 でも傾向しては、よりコストが低く特定のアプリケーションに強みを持つmulti tenancyのクラウドコンピューティングが主流になっていくのは間違いないと言う。システムやセキュリティの問題に労力を使わなくても、サービス開発に専念すればいい。オンライン系のベンチャー企業の立ち上げが、より安価にできる時代になろうとしているのだという。
 今のところ、amazonのクラウドは、基本的に演算処理のコストパフォーマンスが高く、salesforceはCRM周辺の機能を利用できるという強みがある。グーグルもどちらかといえばコストパフォーマンスより、追加機能で差別化しようとしているようで、医療に特化したクラウドなど、いろいろな分野に出ようとしているそうだ。

 ということでInfinity Venture Summitの取材で、札幌にきている。今回のIVSは通算10回目ということで気合が入っているな、と思う。mixiの笠原さんや、元ドコモの夏野さん、グリーの田中さん、モバゲー(DeNA)の南場さん、守安さんなども登壇する予定。弊社のニュースサイト、時事ドットコムも今回からメディアスポンサーになったので、IVSの様子は時事ドットコムのほうで正式に取り上げることになります。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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