個人情報は公開が当たり前の時代へ移行するのだろうか=Facebookが新プライバシーポリシー

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 Twitterがウェブにもたらした変化にはリアルタイム性とかいろいろあるんだけど、中でも自分の現在の状況という個人情報の発信を原則オープンにしたということは大きい。だってそれまではSNSとかで日記はクローズドというのが常識だったんだから。SNS内の情報ってマーケターにとっては宝の山なんだけど、どのようにしてこの情報に絡んでいけばいいのか、みんな悩んでいた。でも悩むことなんてなかった。消費者がTwitterで自ら情報を公開してくれるようになったんだから。
 これがいいことなのか悪いことなのかは議論が分かれるところなんだけど、とりあえずコンセンサスができる前に多くの人が「いいよ、この程度の情報ならオープンでも」ってどんどん公開しちゃってるわけだ。
 今回Facebookがこの「公開当たり前」の方向に舵を切った。3億5000万ユーザーというお化けSNSがこの方向に進むんだから影響はTwitterどころじゃない。さてウェブはどうなっていくんだろう。


 

Facebookの発表文によると、これまでのFacebookのプライバシーポリシーは複雑でややこしかったので、それをシンプルにするという。
 Twitterでいうところのつぶやきや日記、写真など情報をアップするごとに1つ1つの公開レベルを設定できるようになるらしい。
 それにNetworkという名称で、コミュニティ、フォーラム的なグループ機能があるんだけど、「日本」というNetworkになっちゃうと「いったい何人おんねん!」ていうぐらい巨大になってしまって、オープンな場とほとんど変わりなくなってしまう。意味ないじゃんそれ、って感じだったんだけど、それをFriends(友達限定)、Friends of Friends(友達の友達まで)、Everyone(全員に公開)、Customized(公開グループを自由に作成)の4つの公開レベルに変更するんだそうだ。で、これはどういうことを意味するのかっていうと、Facebookの見解は次のようになっている。

Facebook will be rolling out easy-to-use tools to empower people to personalize control over their information

 簡単なツールで、自分の情報を自分なりにコントロールできるようになります、って感じで主張している。個人のエンパワーメントになりますって言っている。

 これってどうなのよ、って聞く相手として最適なのは、ネット上の個人の自由や権利を守ろうとしている弁護士を中心とした非営利団体Electronic Frontier Foundation。早速この「個人をエンパワーする新プライバシーポリシー」に関する見解をFacebook’s New Privacy Changes: The Good, The Bad, and The Uglyという文章にまとめているので、読んでみた。EFFはいい点、悪い点、ひどい点としてリストアップしている。

  • The Good: Simpler Privacy Settings and Per-Post Privacy Options
  • いい点は、設定がシンプルなところ。1つ1つの情報で公開レベルを設定できるところ。
  • The Bad: EFF Doesn’t Recommend Facebook’s "Recommended" Privacy Settings
  • 悪い点は、Facebookの推奨するプライバシー設定がかなりオープンなほうに偏っているということ、という見解だ。
  • The Ugly: Information That You Used to Control Is Now Treated as "Publicly Available," and You Can’t Opt Out of The "Sharing" of Your Information with Facebook Apps
  • ひどい点は、一部の個人情報の公開がデファクトになっているところ。ユーザー自身が設定できないところがひどいとしている。
    例えば、名前、写真、住んでいる町、性別、所属しているネットワークなどの情報が全体に公開されるのだそうだ。

 以上がEFFのスタンスなんだけど、興味があるのはユーザーがこうしたポリシーの変化にどう反応するかってこと。以前なら猛反発が予想されるんだけど、最初に書いたようにTwitterの普及以来、人々のプライバシーに関する考え方って微妙に変化しているんじゃないかと思う。

 今回、デファクトで公開になるのはいかがなものかとEFFが指摘する名前、写真、町、性別などのプロフィールは、Twitterではもともと全公開。アメリカではみんなずるずるに公開している。

 日本ではそこまでオープンじゃないけど、Mixiよりはオープンな感じ。それにTwitterでもそうしているように、実名や顔写真を出すのがいやならFacebookでもハンドル名やアイコン、アバターを使えばいいんだと思う。

 Twitterを経験したので反発が出ないのか、それともTwitterとは規模が違うってことで大騒ぎになるのか。注意深く見守りたい。

【個人的感想、疑問。個人情報公開って本当に問題なのか?どういう意味で?】

 僕もこれまでふつーに「プライバシー侵害はけしからん!」って感じで思っていたんだけど、どこかで「プライバシーの概念が確立されたのは近代になってから。それ以前はプライバシーという概念がなかった」というような記述を読んだことがある。これ、本当なんだろうか。ちょっと調べてみたい。だれかこの辺のことに詳しい人がいらっしゃったら、どんな本を読めばいいのか教えてもらえませんでしょうか。

 確かに今でもプライバシー侵害はけしからん!ってムードがあるのは都会とか、マンションとかって感じがする。下町や田舎のほうだと、どこの娘が出戻りで、どこの夫婦が昨日の夜に殴り合いの喧嘩していて、なんてことが公開情報扱いになっている。それって嫌なもんだけど、一方でコミュニティ全体が家族のような一体感、つながりがあるのも事実。

 それと僕はネット上でかなりの個人情報を公開しているほうなんだけど、特に不都合を感じたことはない。それどころか初対面の人でも事前に僕の情報を持っているので、こちらのことをすぐに理解してもらえたりしてかなり便利。ながらく会っていない友人と再会してもひさしぶり感がなく、すぐに話の核心に入っていける。恐らくネットがなかった時代の10倍から100倍以上の人たちと友人関係を維持できる。などなどのメリットのほうが多い。

 「個人情報を公開していると、ネット上でだれかと喧嘩になったときに、自宅や職場にこられたり、嫌がらせを受けることになるよ」とアドバイスしてくれる人もいるけど、性格的にあまり好んで人と喧嘩するタイプでもないので、そういう心配はないような気がする。

 僕はそうだけど、一方で隠しておいたほうがいい場合もあるだろうということは容易に想像できる。例えばネット上でだれかを攻撃する場合。確かに相手をやり込めたいと考えている人は、自分の情報を隠すべきかもしれないね。(できるだけ自分の情報を隠して、ネット上でいろんな人を攻撃している人も以前多く見かけたんだけど、どうしているだろう、そういう人たち。最近あまり見かけないなあ)

 性格が悪い人のことだけを言ってるんじゃなくて、社会悪を告発する場合も匿名でやる必要があるだろうし、同じような意味でジャーナリスティックな活動をする場合も匿名のほうがいいと思う。

 あと女性なんかは、ストーカーに遭う可能性もあるんで、プライバシーは公開しないほうがいいという場合もあるだろうなあ。

 自分の中でまだ考えがまとまらないので、いい本があれば教えてください。

 ただ今回の件で思うことは、プライバシーに関する概念って、もう一度考え直す時期に来ているんじゃないかっていうこと。「プライバシー侵害はけしからん!」って頭ごなしに批判する時代から、次の時代に移行しつつあるんじゃないか、ということだ。

 これからのテーマの1つとしてじっくり考えたい。
 

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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