Appleタブレットで新聞、雑誌が生き返る?BusinessWeekの予測

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 米BusinessWeekが「5つの領域でAppleタブレットが世界を変える」というような記事を書いている。考え方が分からないでもないけど、ちょっと外しているような気が・・・。

Magazine and newspaper publishing will bounce back as consumers rediscover paid subscriptions

 Appleタブレット上で新聞、雑誌の有料購読がある程度成功するという予測だ。

 Sorry, Chris Anderson, but not everything will revert to free
 ごめんね、クリス。情報がすべて無料になるわけじゃないんだ

 なんだか、同じ雑誌ジャーナリストとしてフリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略が大ベストセラーになったワーヤード誌のクリス・アンダーソンへのライバル心が丸出しのような表現でおもしろい。

 それはそうとして、有料化が本当に成功するのかどうか。パソコン向けウェブではありえない話だとは思うけれど、iPhoneのAppStoreでは確かに電子書籍がそれなりに売れている。簡単に支払いができること、iPhoneの画面サイズや使い勝手に最適化されたコンテンツがほかでは入手できないから、という2点から有料化が成立するのだと思う。
 僕はコンテンツ有料化の前提として(1)簡単な支払いシステム(2)同様のコンテンツが無料で入手できないクローズドな環境(3)人間関係の中で必要となるコンテンツであること、の3つ条件のうち、幾つかが揃う必要がある、というように考えている。(3)は、ゲームの中で「あいつに勝ちたいから」と有料の武器を購入したり、議論が活発になる中で自分の主張の裏付けとなる記事が簡単に持ってこれるのなら有料で購入したり、というような話だ。
 AppleタブレットはiPod
Touchの大画面版みたいなもんだから、確かに有料化は可能かも。ただ新聞、雑誌業界が復活するほどお金を取れるのかどうかというと、ちょっと微妙。コンテンツを単純に表示するのではなく、パソコン向けウェブでは入手できないようなタブレットに合った使い勝手を提供したり、人間関係の中で情報が流れる仕組みをうまく提供できるようにしないといけないだろうなとは思う。

Television and radio ratings will continue to fall

 BusinessWeekの記事は、テレビやラジオにはあまりいい影響がない、としている。Appleタブレット上ではテレビをみないだろうから、というのがその理由だ。どちらかと言えば、テレビを見ながらタブレットを操作することになりそうなんで、かえってコマーシャルを注意深くみなくなってよくないかも、というのがBusinessWeekの読み。
 んーこれもよく分からない。

 確かに電子書籍リーダーとして利用されるような気がするんだけど、でも実はAppleタブレットが力を入れているのはそこではなく、ビデオ、音楽の楽しみ方を変えるというところなんだという話がある。どこで読んだのか忘れたけど(思い出したらリンクを追加するね)、Appleがそれぞれの業界を分析したところ、新聞、出版業界はいろいろとややこしくて、大きな変革を期待できない。その一方で、ビデオ、音楽業界はいろいろと革新を起こせそうなので、そこに注力していく、とかいう話があった。それでタブレット向けにも、音楽業界を巻き込んで今までとはことなる音楽アルバムの楽しみ方を提案する、とかいうことだった。このトライアルに参加する音楽業界関係者も、音楽の楽しみ方が劇的に変わるって、興奮気味に話していたという引用を読んだように思う。
 Appleタブレットに関しては「画面のサイズが何インチで、ビデオカメラが搭載されていて・・・」なんていうハードの部分ばかりが今のところ注目を集めているが、僕は本当に大事なのは、アプリケーション部分、ソフトの部分だと思っている。そしてハード、ソフト全体で、どのようなライフスタイルを提案するのかが、重要なんだと思う。
 だってiPhoneだってカメラや画面などの個々のスペック面では日本の最先端ケータイにかなわなかったじゃん。でもライフスタイル提案というトータルな部分では、ダントツに優れていたわけでしょ。
 だから、タブレットが音楽、動画、テレビ、ラジオの領域でどのような影響を与えるのかは、発売されて、普及するまでは分からないと思う。

Augmented-reality views of the world will increase.

 AR(拡張現実)が大きく躍進する、という話。大きな画面でARのアプリを使えば、もっとすごいことになるんじゃないか、っていう予測だ。
 でもタブレットを町に持ち出すってことが、あまりないんじゃないかなあ。画面を通して前方を見ながら歩いていると、ころんじゃうよ。それに絶対、変な人だと思われるぞ。今でもiPhoneでARしていると盗撮しようとしているんじゃないかって疑いの目を向けられることがあるもん。

Two-way video on tablets will push communication costs even lower

 ビデオチャットがもっと盛んになるんじゃないかって話。まあそうかもしれないけど。それならタブレットよりも、iPhoneやiPod Touchのスクリーン側にもう1つカメラがついたほうが、すごくないだろうか。ケータイやモバイル機器が無線LAN経由で実質無料でビデオチャットが可能になるほうが、社会へのインパクトは大きいと思う。やっぱ、問題は通信コスト。追加コストがなくて、しかもモバイル機器で手軽に利用できて、綺麗な画面で見ることができれば、ビデオチャットってもっと普及すると思うよ。

Telecommuting may finally take off

 在宅勤務が多くなる。4つ目のビデオチャットの普及の先には、在宅勤務の増加がある、という読みなんだろうけど。
 これも??だなあ。MacBook Airを購入してからビデオチャットを比較的よくするようになったけど、やっぱり「電話している」っていう感覚が抜けない。相手の顔を見ながら話するメリットってそれほど感じない。回線が混雑してとぎれたりするんで、会話の途中から音声に切り替えることもある。
 もっと通信環境がよくなって目の前にいるのと何ら変わらないような感じで話ができて、パソコン画面の共有が簡単でサクサク動作するようにならないと・・・。Appleタブレットだけの話じゃないと思う。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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