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先月末、雑誌や新聞のiPadアプリの広告枠が、iPad発売前に既に完売しているという内容の記事を書きました。新たにわかった情報で、ニューヨークタイムズのiPadアプリにはチェース銀行がスポンサーにつき、その3-6ヶ月の独占契約の金額は100万ドルだそうです。その他、”The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)”のiPadアプリは、4ヶ月間の広告パッケージが40万ドルで販売されるなど、出版社・広告主ともにiPadへの期待を感じさせる内容でした。実際にこれらのiPadアプリが世にお披露目された今、その使い勝手、また広告はどのようになっているのか気になるところ。そこで、新聞のiPadアプリを中心にまとめてみました。
まだデバイスがでたばかりのiPadアプリに正しいデザインやレイアウトはありません。しばらくトライ&エラーが繰り返されるでしょうが、多くのアプリが紙やウェブの作りを引き継いでいるよう。そんな中、iPadならではの新聞の読み方を提案しているのが、ウォール・ストリート・ジャーナル、BBC、USA Todayなどです。普段私たちがウェブで記事を読むときは、一覧になった見出しから記事を選んで読み、また一覧に戻るを繰り返しますよね。でもiPadアプリでは、アプリを起動すると同時に、その日のトップニュースの記事を表示することで読者を掴む作りが主流のよう。記事から記事への移動も、スワイプやタップすることで流れるようにできる。興味がない記事は次に飛ばせばいい。ウェブだと機械的になってしまいがちな「新聞を読む」という行為が、新聞をひとつのストーリーとして「体感すること」に変えてくれる気がします。必要な情報だけをうまく取捨選択し、情報収集に使う時間を必要最小限に抑えようとする習慣を、朝の移動時間はその新聞に捧げる、と逆に思えるかもしれません。
では次に広告はどうなっているのでしょうか。広告に関しても、紙やウェブの広告のスタイルをそのまま当てはめたものが目立ちます。スクリーン後方にバナー広告が配置されていたり、個別記事のページには少し大きめの広告が挿入されていたり。 広告の挿入頻度にも媒体によって違いがあります。そんな中、全記事にオラクルやフェデックスといった広告が入ったウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は特徴的。紙の新聞の全面広告と同じように、読むページと読むページの間の「中間ページ」をうまく活用しているんです。例えばトースターの広告。まず記事の最初のページの左下隅に、小さなトースターの広告が表示されています。ページをめくると、トースターの広告がポップアップしてバナー広告的なものが表示される。さらに記事の最後まで行くと、先ほどの全面広告的な「中間ページ」が表示され、フルスクリーンでその広告主の情報が得られるというもの。アプリの中で短いコマーシャルを見ることもでき、さらに詳細を知りたければ、広告主のコンテンツに進むこともできます。ウェブで同じことをやられたら嫌悪感すら覚えるかもしれませんが、全面広告はただめくればいいと感じるこの辺りの感覚は、紙の新聞に近いものがあるかもしれないですね。
WSJの広告の比較対象になるのがニューヨークタイムズ(NYT)。どうもNYTのアプリは、既存の紙もしくはウェブのレプリカという印象を強く受けます。NYTのiPadアプリの全面広告は、「この広告をスキップする」のボタンをクリックさせる仕組み。ウェブで面倒に思っているのと同じクリックして広告を閉じるという動作をそのままiPadに持ってきています。すごく感覚的なことですが、WSJのようにスワイプにするだけで読者が感じる負担はずいぶん減るように思います。ひとまず初期段階ではコストを抑え様子を見ようという判断なのでしょうが、もうひと頑張りしてほしい気がします。
comScoreが、「iPadをどんな風に使いたいか」のアンケートをとったところ、その利用目的で最も多かったのは「インターネットの閲覧」でした。確かに余計なコストがかからないという点では、ウェブを見ることが多いのかもしれません。でも、今回の新聞のアプリを見ても、iPadではむしろ、デバイスの特徴を活かし、それ専用に用意されたアプリを使うことがすごく自然に感じます。仮にアプリが有料だったとしても、アプリの使い勝手次第で読者は価値を感じてくれるのではないでしょうか。
肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。ツイッターIDは”yukari77“。
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