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米出版業界専門サイトFolioは、Appleが米有力スポーツ誌Sports IllustratedのiPad向け電子雑誌アプリに定期購読の申し込み機能がついていることを理由に審査過程で同アプリを却下したと報じた。
米国では雑誌を店頭で購入するより定期購読する読者が多い。雑誌社にとっても、長期的な安定収入が確保できる上、マーケティングデータを入手できるメリットがある。Sports Illustratedを発行するTime incにとってみれば、紙の雑誌の商慣行をそのまま電子に移行したいところだ。
一方でAppleにとってみれば、AppStoreでのアプリ販売は単体ごとの販売が基本的な形。アプリごとに性的な表現などで問題がないかなどの審査を行い、審査や販売代行などの手数料としてアプリの売り上げの3割を徴収している。定期購読は、コンテンツ審査を受けていない電子雑誌の販売を出版社が読者に勝手に約束することになるわけで、Appleとしては認めるわけにはいかないということなのだろう。
とはいうものの、雑誌社にとってはこれまでのビジネスモデルの変換を迫られているわけで、頭の痛いところ。Wall Street JournalのブログAllThings Digitalは、Time Inc. iPad Problem is Trouble for Every Magazine Publisher(タイム社のiPad問題はすべての雑誌社にとっても問題)という記事の中で、米国の出版業界がiPadに大きな期待を寄せる一方で、Appleとの交渉に頭を痛めていると報じている。
さあ始まった。米出版業界は低迷する雑誌事業の救世主のようにiPadを発売を大喜びで迎えたんだけど、そう簡単に出版業界の思い通りにはことは運ばない。これからAppleと出版業界の綱引きが本格化するんだろうなあ。
Appleの言い分は理解できる。Appleは、iPhone、iPad上でコンテンツ配信する環境として2つあると、ことあるごとに指摘している。ブラウザで見ることのできるオープンなウェブ環境とAppleが管理するアプリの環境だ。ウェブ環境は、完全にオープンで自由な環境。HTML5という最新の記述言語に準拠しているので、アプリとほとんど変わらない表現が可能という。一方でアプリの環境は、Appleが機能やコンテンツが一定の基準に達していること保証するユーザーにとって安心、安全な環境だ。
Appleの審査基準が気に入らないのであれば、コンテンツ提供者はウェブ環境で自分の好きな形でコンテンツを出せばいい。アプリとして出したいのであれば、Appleの考えに従ってもらいますよ、ということだ。
それにSports Illustratedって、ときどき水着特集号を出すんだよね。もうスポーツ雑誌じゃないだろ、という感じの。あれはAppStoreの審査通らないんじゃないかなあ。
確かにウェブ環境でiPadに最適化したページをID、パスワードを入力した購読客しか見れないようにして、電子雑誌として販売することは可能。でもなぜかユーザーはウェブの情報に対してはなかなかお金を払わないんだよな。アプリには払うのに。なので出版社としては電子書籍をアプリとして出したいのだろう。
今後、GoogleのAndroidタブレットが広く普及してAndroid Marketで電子書籍アプリが販売できるようになれば出版社もAppleに対してもう少し強気で交渉できるのだろうけど、現時点ではAppleには逆らえないだろうなあ。
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