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「漫画の新聞」を運営するカバネット株式会社への取材は、ツイッターがきっかけで実現しました。編集部の方が、以前2回に渡って書いたDECOLOGの記事を読んでくださって、うちにも来てください!というリクエストをくださったのです。国内からの注目はもちろんのこと、サービスをリリースして間もなく著名な”WIRED“に取り上げられるなど、海外からの問い合わせも多いそう。編集部のお2人にいろいろ伺ってきました。
「漫画の新聞」について
「漫画の新聞」はウェブでも楽しむことができますが、iPhoneとAndroidアプリも提供されています。アクセスの大半がモバイル経由。iPhoneアプリは、アップストアのニュースカテゴリで常に上位をキープしてます。アプリがリリースされたのが昨年10月くらい、約1年経っても尚その人気は続いているようです。「マンガで読むニュース」というキャッチコピーを掲げ、世界のニュースをわかりやすく2ページのマンガにして伝えるのが「漫画の新聞」です。
ネットが普及し情報が溢れる中で、ニュースを見ない、新聞を見ないという人は決して珍しくありません。別のアプローチでニュースを読んでもらう方法はないか?と考えた上でたどり着いたのが「漫画」だったそう。漫画は、主要なニュースを取り上げるヘッドライン・政治/国際・経済・社会・芸能・スポーツ・家電/IT・エンタメ・レジャーといったカテゴリに分かれており、1日平均5~10本のニュースが新たに追加されます。
最新ニュースが漫画に生まれ変わるまで
編集部は毎日、その日のニュースに目を通します。その中から面白いものをピックアップして、それを押さえてほしいポイントやコンセプトとともにマンガ家さんに依頼。早い人だと、午前中に投げた題材が夕方にはネイム(下書き)として提出されるそう。さらに、それに対して編集部がフィードバックをし、夜のうちにサイトに掲載というのが基本の流れ。現在定期的にお願いしているマンガ家の数は約50名。「漫画の新聞」のほかにも商業漫画を描くような仕事もあり、トータルで100-150名ほどの登録マンガ家さんがいらっしゃるそうです。サイトでは、常にマンガ家さんを募集しています。
さまざまな漫画コンテンツ
「漫画の新聞」のメインコンテンツは、速報ニュースをマンガにしたもの。その他に、漫画によるプレスリリースや、インタビューコンテンツなどの特集も楽しめます。また、「漫画の新聞」のコンテンツのほかに、携帯用の漫画コンテンツを受託制作したり、企業のパンフレットの難しいトリセツをわかりやすく漫画化するといった仕事も受けているそう。現在ほとんどのリソースが「漫画の新聞」に注力されている状態ですが、サイトの評判も定着してきた今、今後漫画という軸で幅広く事業をしていきたいとのこと。ちなみに今の主な収益源はネットの広告収入だそうです。
ユニークなコラボ企画も多数あります。例えば、テクノロジー系ではギズモードとタイアップ。「iPod世代の子どもがウォークマンを体験したら」という1000文字くらいの記事を漫画に変身させました。最近では、東京国際映画祭の様子も何本かに渡って漫画にしています。特集のインタビューコンテンツでは、堀江貴文さん、田原総一朗さん、倉田真由美さんなどにインタビュー。倉田真由美さんを選んだ理由のひとつに、女性へのリーチがあります。月間のユニークユーザ数10万人の男女比率は7:3と、女性が圧倒的に少ない。今後、もっと女性向けコンテンツを増やしていくことで女性読者を増やしていきたいと話してくれました。
世界に羽ばたく「漫画の新聞」
「漫画の新聞 -北米版-」のアプリを出す準備が進んでいます。サイトのアクセスの8割が国内、残り2割は海外からのアクセスで、つい先日もドイツのメディアが日本に取材しにきたんだとか。これまでも、小学校の教科書や雑誌、新聞など、情報を漫画という形で見せることは行われてきました。でも、日々のニュースを漫画にして提供しているサイトは「漫画の新聞」が世界初。海外にもファンが多い日本の”MANGA”でニュースが楽しめる。将来的には、さまざまな言語に対応していくことで、ひとつのニュースに対して世界のユーザがコメントしたり議論を交わすような場にしたいそう。
マンガ家をサポート
特定のマンガ家さんのニュース一覧を見ることも可能。コメント機能も活用されているようですが、あくまでニュースに対するコメントに留まっていて、マンガ家さんとのコミュニケーションや評価などに使われることは少ないよう。とはいえ、「漫画の新聞」がマンガ家の自己表現の場であることに違いはない。描いてくれているマンガ家さんの多くは、本業を別に持っていると言います。今後は、優秀なマンガ家さんをプロデュース・バックアップするような仕組みも考えていきたいそう。
最後に
次回のアップデートでは、iPhoneアプリがツイッターと連携。アプリから、ニュースを直接つぶやけるようになります。これから外部のSNSとの連携を図って、ウェブ・アプリともにソーシャルな要素を増やしていく予定です。ちなみに「漫画の新聞」のツイッターアカウントは@newsmanga、新しい漫画のニュースが追加されるとつぶやきで教えてくれます。
文字で埋め尽くされたニュース記事より、情報が絵で表現された漫画の方がとっつきやすい。そもそもニュースを摂取しないユーザが増えている中で、親しみのある漫画という形が、離れていったユーザを取り戻すきっかけになるかもしれません。「菅直人首相」より、菅直人首相の似顔絵の方がわかりやすいこともある。日々テキストに埋もれている中で、漫画によって表現された情報はむしろより記憶に鮮明に残るかもしれませんね。海外のコンテンツサイトが日本に上陸することはあっても、その逆は例がないように思います。そんな「初」を、誕生からわずか1年の「漫画の新聞」が実現してくれるかも。
肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。ツイッターIDは”yukari77“。
個人で運営している【TechDoll.jp】というサイトで、海外のテクノロジー、ソーシャルメディア、出版、マーケティングなどの情報を発信しています。目指せタイムリーな情報発信!
これまで雑誌のECで→UIデザインのコンサル→ウェブ制作会社などを渡り歩いてきました。そこで得たスキル、人、全部かけがえのない財産。幸せの方程式は、テクノロジー(UI, IA..)×マーケ×クロスカルチャー×書く・編集。いま一番夢に近いとこにいる。
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