コミュニケーションを一元管理するGistに見る「ソーシャルの次」【湯川】

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[読了時間:4分]
 時代の流れとどう歩調を合わせるのかは、業種によって異なっていいと思う。メディア関係者は今Facebookに大騒ぎしているが、これはこれでいい。でもマーケターならこの事態を1年前に読めていないようではだめだし、起業家なら2~3年前に読めていないようではだめだろう。そこで起業家を応援するTechWaveとしては、そろそろ「ソーシャルの次」「Facebook覇権時代の次」に照準を当てて、記事を書いていきたいと思っている。

 いろいろヒントになるような動きが出ているのだが、そのうちの1つが洗練された統合コミュニケーションツールの領域だと思う。Facebookもいわば洗練されたコミュニケーションツールなのだが、もっと便利に友人とつながることのできる方法があるのではないだろうか。「他人の近況などに興味がない。Facebookは流行らない」という人がいるが、人間は社会的動物なので親しい友人、家族、旧友、学生時代の仲間、会社の同僚、取引先の近況にまったく興味がない人などいない。「興味がない」という表現は、「近況を知るツールが使いづらい。忙しくて使っているヒマがない」と言っているのに過ぎない。

 そこで僕自身いろいろなツールを試しているのだが、そのうちの1つGistをBlackBerry端末で有名なResearch In Motionが買収したというニュースが流れたので、Gistのことを少し書きたい。(関連記事:Research In Motion Acquires Professional Contact Manager Gist:TechCrunch

 Gistは統合コミュニケーションツールで、Gistのウェブサイト上でサービスを利用できるほか、gmailの右コラムとしても利用できる。Outlookの中でも利用できるそうだ。僕は主にgmail内で使っている。

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 利用するには、まずGistに対してgmailやFacebook、Twitterなどのサービスとのデータ連携を許可しなければいけない。この3つのサービスとのデータ連携を許可するということは、Gistが僕のほとんどすべてのデータを取得することになるわけで、少々抵抗がある。でもまあ使ってみなければ分からないのでデータ連携を許可することにした。

 この状態でgmailのメールの1つを開くと、右コラムにメールの差出人のデータが表示される。TwitterやFacebookで顔写真を公開している人ならば、その写真が表示されるし、最新のTweetやFacebookの「近況」が表示される。プロフィールも表示される。GistがGmail上のメールアドレスやデジタル署名内のTwitterアカウントなどを自動的に認識し、それを基に検索しウェブ上から公開情報を集めてくる仕組みになっているようだ。

 これは非常に便利である。知らない人からメールが来ても、gmailの右コラムに表示されるその人のプロフィールやTweetを読むとその人のひととなりをなんとなくつかむことができて、親近感を覚えることがある。反対にネット上でまったく活動していない人は、右コラムに何のデータも表示されないので少々不気味。どんな人か分からないので、返事もビジネスライクに短く味気ないものにするしかない。

 友人の近況やTweetをいちいち確認する時間がないときも、友人から来たメールを開ければ最新の近況、Tweetが表示されるので、非常に便利だ。

 ただ問題点もある。メールの中には「cc」に多くの人を含むものがある。こうしたメールの場合、右コラムに多数の顔写真と「近況」が表示されるので、読み込みに時間がかかる。この問題点があるので、TechWave読者にGistを勧める気にはなれなかった。

 Gistはまた、メールのやり取りの頻度などから、友人、知人との親しさを自動的に判断し、Gistのウェブサイト上やiPhoneアプリ上では、親しい友人のTweetや近況を中心に表示してくれるようだ。僕自身この機能はそれほど使っていない。Facebookは友人を200人以下に限定しているし、600人以上をフォローしているTwitterでは「友人」リスト、「同僚」リスト、「知人」リスト、というようにリストを作り、親しい人の情報だけを入手できるよう既に自分で工夫しているからだ。(関連記事:Facebookの友人は上限150人ぐらいがお勧め【湯川】 : TechWave)でも、Gistならこうした面倒なリスト分けをする必要がない。使えば使うほど、Gistが相手との距離感を自動的に認識し、情報を仕分けしてくれるわけだ。

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 さてResearch In Motionは、Gistを買収してどのように活用するつもりなのだろうか。iPhone、Android端末に押され気味のBlackBerry復活の切り札として、他のスマートフォンとの差別化に使うつもりだろうか。でもそんなことをしてもiPhone、Androidには勝てないだろうから、Gistの機能を強化し、「ソーシャルの次」を狙ったほうがいいのではないだろうか。

 日本の場合、ウェブサービスには2000万人の壁がある、と言われる。どんなに普及しているサービスでもユーザー数は2000万人程度。それ以上に普及できるサービスがなかなか登場しないという説だ。しかしこれは考えて見れば当たり前の話。PCを自由に操作できる母数が一気に増加することはない。おじいちゃん、おばあちゃんまでキーボードを扱える欧米と同じようにはいかないのは当然だ。

 しかし日本でもケータイは1億人に普及している。メールを使う高齢者も増えてきた。僕の周りでも、iPadに興味を示す高齢者は多い。こうしたモバイル機器向けの次世代コミュニケーションサービスが「Facebook時代の次」を築く可能性があるのではないだろうか。特に、複数のSNSによって分断された状態がしばらく続く日本においては、複数のサービスを統合、横断できるようなサービスのほうが断然有利だと思う。Research in Motionが日本企業なら、Gistをそういう方向で活かし「Facebookの次」を目指すのかもしれないが、Research in Motionが日本人にとって使いやすいサービスにGistをすぐに改良することはないだろう。

 ということは日本のベンチャー企業にとってはビジネスチャンス。ほかにもいろいろ「ソーシャルの次」のビジネスチャンスはあるとは思うが、日本という世界でも最もモバイルアプリケーションが進んでいる環境を活かして、次世代統合コミュニケーションサービスの領域でも日本のベンチャーに頑張ってもらいたいものだ。


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