在宅勤務を検討する全ての人たちへ 【増田(@maskin)真樹】

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[読了時間:2分]

 東日本大震災を受け多くの企業が自宅待機状態となりました。大企業を中心に多くの企業が自宅勤務支援を実施するという報道もあります。果たして自宅で仕事はできるのでしょうか?

 結論から言いますと、自ら考えたり生み出す職種でしたら可能などころか、より良いワーキングスタイルが確立できます。障壁となるのはマインドの切り替えです。逆に言えば、自分はもちろん、職場、そして家族のマインドの切り替えさえできれば、効率の良い、かつ快適な仕事環境を確立することができるのです。


 まず前提として、実際に自宅で勤務すると決めた際、障壁となる問題点をあげていこうと思います。これは筆者が実際に20年前にフリーとして開始してから現在に至るまでに経験したことであり、現在も課題となっていることでもあります。

在宅オフィスで困ったこと、困るであろうこと





・プライベートと仕事の境目
・近所の目
・家族の不満
・取引先とのコミュニケーション
・運動不足

 自宅で仕事をするようになるということは、寝たり食事をしたり、リラックスしたりプライベートの場所と仕事の場所との境目が無くなる、もしくはかなり薄くなるということです。これだけは回避できないことです。

 これにより、“あそこのお父さん会社いってないのかしら”的な固定観念による風評が立つ可能性もありますし、自宅の一角でいつもキリキリされていたら、同室にいなくとも家族にかなりの負担がかかります。

 こういった問題と対峙するにはそれなりの覚悟が必要です。これらの問題は“固定観念”が基本になっています。労働者は会社に出勤しないといけない、住宅街では足並みを併せて似たりよったりの生活をしなければならない。「〜ねばならない」という念仏で、自らを束縛しているだけに過ぎません。

 実際、在宅オフィスで素晴らしい仕事をしている人達は北米や世界のみならず日本にも沢山います。どちらかというとより優秀な仕事をしようとする人たちはフリーランスとして在宅で活動しているような印象を受けます。筆者自身、月間数億PVのサイト等の運営メンバーとして世界中の在宅スタッフとオンラインでコラボしながら仕事をしています。

固定観念からの脱却

 ただし、固定観念を抜け出すのには並大抵の努力では実現できません。発想そのものの転換も必要です。筆者の場合は、あらゆるルーティンワークから離れることを優先しました。たとえば、なるべく市街地に住むようにしましたが、なぜかというと店舗などが至近にあるとゴミが毎日出せるからです。“通勤前にゴミ!”みたいにルーティンで拘束されることは非効率以外の何者でもありません。その代わりという言い方は変ですが、育児も家事もかなりの比率でやります。自宅にいる以上当然の仕事だからです。

 このように考えると非常識な発想かもしれませんが、日常を変えるわけですから、それくらいの心構えでいたほうがいいと思います。プライベートと仕事を同化させることで、“家族のためにどんな仕事をしているかを共感してもらいやすい”、“何かあったらいつでもそばにいる”などメリットを享受することができます。

 簡単にいかないのは、取引先のルールに対応することです。「電話で話をしないと仕事した気になれない」タイプや「打ち合わせは対面じゃないと無理」タイプなどと付きあう場合などがそうです。基本的にコミュニケーションスキルが低いのが原因になるわけで、そういう場合は仕事を受けないという決断も必要ですが、大企業内の在宅オプションで動いているとなるとそうもいかないでしょう。この点は自分の中で“打ち合わせは第2、4水曜日”などとルールを設けるなどの工夫が必要です。

 理想を言えばテレカンファレンス(電話会議)のスキルは日頃から鍛錬しておいたほうがいいと思います。米国就労時、日本にいようが決定事項は必ずテレカンファレンスの全員参加で決定していました。日本でこれをやろうとすると、必ず「会って話さないと」という人がかなり出てきますが、基本的に仕事の能力が無い証明をしているようなもので、ちょっとでも議論が必要になると「会って話を」が始まり最終的にごり押しされるだけだったりします。日本的もなにも、ゴリ押しに付きあうほどこの社会は暇ではないと思います。

 さて、あとはメールやチャットを基本とすれば効率が良いのですが、突然の電話をどうするかが意外と難関です。決まりきった挨拶やらでとにかく効率が悪く、確実に時間を拘束されてしまうので、横で家族があれこれやっている中では難しい。とはいえ、「仕事してるんだら、静かに!」が頻発してしまっては在宅勤務は長続きしません。

 在宅勤務専用の別室があればいいですが、無い場合、筆者は携帯を持って外を散歩する時期もありました。それはそれで問題です。家が狭い日本ならではの難関といえそうです。

 それと、契約内容によっては勤務場所や建物の確認を求められる場合もあります。その場合、プライベートとオフィシャルとの分割具合をどうするか、また家族にそれをどう伝えるかが求められます。

在宅で仕事はできるのか

 色々な難関があるとお伝えしましたが、あまり大袈裟に考えないことも大切です。たとえば設備。在宅だからと椅子を購入したり、個室を確保したり、色々購入したくなりますが、オフィスっぽくせず、最小限で済ますことがとても大切です。(そもそも、なんで日本のオフィス家具はあんなに窮屈で、気分が落ち込むようなやつばかりなのでしょう)。頭でっかちになると思います。欲を張ればキリがありません。当然高級な椅子やらテーブルを使用すれば快適ですが、増えれば増えるほどプライベートの感覚が削られ家族の精神的負担が増加します。つまり「オフィスっぽくしないと仕事にならない」という固定観念を払拭することを常に頭に置くことが必要です。

 もちろん家庭であればノイズもいっぱい。そんな中で仕事はできるのでしょうか? 筆者の場合、家事も育児も仕事も同時にやることで、集中力がかなり増加しました。最近、再びノマドという言葉が流行になりつつあり、「カフェで仕事してみました、はかどるー」というコメントを見ますが、ノイズが一杯の中でいかに仕事をするかという集中力はそれに近いと思います。

 ただ、カフェについては、あくまで気分転換と思ったほうがいいと思います。ノイズの中で集中できる時間の単位は短いため、わざわざカフェに入って席を探して、とやるのは時間の無駄になりやすく、意外と効率が悪いことが多いのです。もちろん、移動途中とかであればいいと思いますが、そもそも200円を切るコーヒーで何時間もいるようなことは、お店のためにも止めたいところです。

 では具体的にどんなソフトを使って、どのように時間配分をすればいいのかという話ですが、まずソフトはいろいろなものを試行錯誤すればいいと思います。会社内ローカルルールはないので、その辺は経験を詰みながら改善していけばいいでしょう。スケジューリングについてですが、かなり柔軟にかつ細かく管理するのがいいと思います。筆者は、作業開始から終了までログを取っていたりします。そうすることで、自分の能力が発揮できるポイントや効率の悪い作業が明確になります。

 思いついたことをつらつら書き綴りましたが、筆者の働き方は20年前に出会ったあるアメリカ人がモデルになっています。場所を問わず朝からバリバリ働き、外出先にいたとしても自宅で何かあれば直ぐに戻ります。仕事仲間もそれを理解していました。在宅勤務は一人の努力ではなく、取引先を含めた仕事をする仲間との関係で成り立ちます。

 もちろん家族や子供、近所との関係もそうです。子供達がいる家庭では、いつでも話ができるようにしましょう。子供達の成長と一緒に自信をもって仕事ができるというのが在宅勤務の最大のメリットではないかと思います。

【関連URL】
「メールの時代は終了しました」 非常識な企業による非常識なコミュニケーションサービス「チャットワーク」が登場【増田(@maskin)真樹】
http://techwave.jp/archives/51608103.html

蛇足:僕はこう思ったッス

筆者は個人事務所を軸に、企業の中に入ってプロジェクトの立ち上げをし、またフリーに戻る、ということを繰り返してきました。会社だからこそできる、ということもありますが、「会社だから」といって無用な拘束があったり、無駄や非効率なことが多過ぎるとも感じます。業種職種に依存する働き方でもありますが、よりストレスを少なく、高効率な就労スタイルの一例だと思います。ワーキングスタイルの展開を多くの人に勧めたいと思います。
著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 コードも書けるジャーナリスト。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスの起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。フリーで関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。“IT業界なら地方で成功すべき”という信念で宇都宮市から子育てしながら全国・世界で活動中。 / ソーシャルアプリ部主宰。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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