シリコンバレーで資金調達 成功の方程式【ブランドン・ヒル】

News, 寄稿

[読了時間:1分]

 米サンフランシスコに本社を置くビートラックス社のBrandon Hill (ブランドン ヒル)さんから、シリコンバレーでの資金調達のポイントを明瞭にまとめた寄稿をしてもらいました。
 彼は、サンフランシスコで開催されるSF New Tech Japan Nightのオーガナイザーも努めています。
 このイベントは、日本企業が自社サービスを地元の聴衆に英語でプレゼンするイベントで、第2回の開催は今月の28日。今回は6社が登場します。
 ブランドンさんは、日本人女性を母に持つ米国人で、札幌で生まれ育ったため、日本語は完璧です。
 TechWaveソーシャルアプリ部では、ブランドンさんを講師に迎え、起業家や起業家予備軍を対象にしたセミナーを来月開催する計画です。詳細は追ってお知らせします。(本田)

ブランドン ヒル
(@BrandonKHill)
sandhill

 先日シリコンバレーにてStartupDigestによるベンチャー起業家向けセミナーが開催された。数多くの著名スピーカーによる興味深いプレゼンテーションの中でも多くの起業家が目標としている、”シリコンバレーで有利に投資をうける” 為の心構えについてのポイントをお伝えする。

 こちらのプレゼンはVenture HacksのNaval Ravikantによるもので、Webベンチャーのひしめき合うサンフランシスコ・シリコンバレーのVCからのファンディングを希望されている方には必見の情報である。

資金調達に成功するための方程式

  • (実は方程式は無い)
    ユニークなケースが多いので、これと言った方程式は無いが、参考までに少しでも有利な方法が下記である。
  • 業界の中心地に存在している
    他の場所にいても良いが、その業界のメッカに存在してる方が相当投資を受け易い。この場合はサンフランシスコやシリコンバレー。
  • 良いCo-Founderを見つける
    会社を始める際に単純に仲の良い友達を誘うのは間違い。投資家は能力のある人材しか評価しない。
  • 知性、情熱、信念
    投資家から一番見られるポイント。ちなみにこれは投資の神、ウォーレン・バフェットの言葉。
  • 大きなマーケットを見つける
    アイディア先行型はもう古い。アイディアなんて言う物はプロジェクトを進めて行くうちにどうせ変わってしまう。マーケット狙いで行け。
  • 最小限の労力で達成でき、最大の情熱を傾けられる物を見つける
    今更全くユニークなビジネスモデルは生み出しにくい。考えられるあらゆるアイディアは出尽くしている。であれば、自分が一番熱くなれる物を見つけたらどうか。
  • 投資を受ける前にマーケットでの反応を見る
    商品やサービスに対して、マーケットの反応が得られるまで投資を受けるな。実は投資を受けるのは随分後からでも良い。
  • 信頼している人から投資を受ける
    ビジネスの世界でも、最終的には人と人とのつながりが重要である。まずは投資家との人同士の信頼関係を築くべし。
  • Scale!
    投資家が一番注目する点は、スケーラブルな商品・サービスであるかどうか。すなわち、急激な業績成長を期待している。

投資家から見る理想的なFounder像とは

  • 給料が支払われなくても働く
    たとえFounder / Co-founderと言えども、最初から給料を要求する場合は”Founder”とは言えない。お金が無いうちは自分に給料を出さないで働く覚悟が必要。
  • どんな仕事でもやる
    “Founder”の肩書きを名乗る以上、他の役職とは違い、決まった仕事内容など無い。その時々に応じて最も必要とされている仕事をするべき。
  • あきらめない
    成功する為の一番の秘訣はこれ。ファウンダーがあきらめたら一瞬にして会社が無くなる。諦めの良い人は会社をはじめてはいけない。
  • 自己管理が出来る
    会社のトップであるが故に、誰も何をするべきか教えてくれない。自分で仕事を見つけ、厳しい自己管理が出来ないのでは成功は望めない。
  • 知性、情熱、信念を持っている
    人間的資質の面で、ファウンダーとその他の従業員を分ける重要なポイント。この3点においては社内で誰よりも高い能力が必要とされる。また、投資家が最も注目する点である。
  • 長期的なコミットメントができる
    Founder, Co-founder共に辛抱強く長期間における会社に対してのコミットメントが必要。途中で辞めてしまったり、ストックオプション売却での金儲けだけを考えている人には向かない。

理想のCo-Founder(共同創業者)とは

  • 既に知っている人
    見知らぬ人とデートをして即日結婚しないのと同じで、Co-Founderを見つける際にも、どの様な人間かを理解した上で選ぶべし。
  • Founder + Co-Founder は 2人まで
    共同創業者は自分以外に1人しかいらない。複数の人間が関わってくると、会社の方向性が危うくなり、経営のスピードも遅くなる。
  • 会社のエクイティ (保有資産)は折半
    会社のシェアは50%/50%で分けるべき。45%/55%とセコく得をしようとすると、自分と同じレベルの献身は求められなくなる。あくまでフェアに行け。
  • 互いの不得意分野を補える
    Co-Founderを見つけるのであれば、なるべく自分と違う分野に長けている人をお勧めする。例えば、自分が営業・マーケティングに強いのであれば、技術が得意なエンジニア上がりの人間など。
  • 専門知識を過信するな
    シリコンバレーでのファウンダーの人材探しをする際に見られる間違いの一つとして、専門知識を重要視しすぎる点がある。詳しい知識も必要だが、リーダーシップや人間的魅力の方が重要。

シリコンバレーの投資家とはどんな人?

  • 以前に投資した人からの紹介を重要視する
    投資家といえども人間であり、非論理的な程に以前に投資した人を信用している。従って、同じ投資家から投資してもらった人からの紹介を受けるのが近道。
  • 最初の10分間で投資するかどうかを決める
    驚くべきことに実に多くの投資家が、たとえ1時間のミーティングをセットアップしていても、起業家に会った最初の10分間でどうするかを決めていまる。
  • 社外取締役はマイナス要素
    多くの投資家は社外からのビッグネームには興味が無い。むしろ、ファウンダーがCEOであるべきだと思っている。
  • 評価額は売り上げや実績には比例しない
    会社の評価額や投資額はどれだけの投資家が興味を持っているかによって左右され、実際の数字にはあまり関係ない。
  • わずかな成功者の影に多くの敗者あり
    有望だと思われるベンチャーには多くの投資家が惜しみなく投資をしたがる。その一方で、ほとんどのベンチャーは相手にされない。大きな格差が生まれている。

投資家が興味をもつのは?

  • 可能な限り大きなマーケットを狙っている
    投資家が興味があるのは、大きなマーケットをつかめるタイプのもの。gmailが好例。Webmail業界ではかなりの後発だったが、マーケットが大きかった為に、大成功を収めた。
  • 一行で説明できる内容
    長々とした説明を必要としている内は、絞りきれていない。名刺の裏にさりげなく書けるぐらいの説明が良い。上記の例だと、”使えるWebmail”の一言で完結できる。YouTubeの場合は”ビデオ版Flickr。”
  • 秘密保持契約を必要とするアイディアには興味ない
    アイディア先行型のモデルには興味が無いため、NDAにサインを求められた時点で一気に萎える。アイディアはマーケットに合わせて変えて行くべき。
  • 万人受けしない商品・サービス
    多くの人が良いと思うモデル=熱狂的ファンを生み出さない。従って、すぐに忘れ去られる。多くの成功モデル、例えばTwitter一つを取ってみても、未だに大部分の人はその良さを理解できていない。そこが良いのだ。
  • とにかく極限までシンプル
    “完成とはこれ以上足す事の出来ない状態ではなく、これ以上削る事の出来ない状態の事を指す。”の一言に尽きる。

投資家が注目するポイントは(文字サイズ=重要度)

勢い・急成長の可能性ファウンダーの資質
他の投資家や周りからの評価
商品・サービス
対象マーケット
コンセプトピッチ
エレベーターピッチ
プレゼンテーション

これは”無い”と思われてしまうポイント

  • アイディア勝負のビジネス
    NDAにサインを求めたり、パテント・特許頼りのビジネスはダメ。自分のアイディアが凄い、と思っている時点で周りが見えてないと言える。何をやるかより、どうやるかが重要。
  • 重役はたくさんいるが、ファウンダー不在のチーム
    Chief 何とかや、VP of 何とかなど、たいそうな肩書きの人間は多いのに、最終的に中心となる責任者がいないチームは信用出来ない。会社ごっこはご免。
  • 理論・知識は得意だが、実行力に欠けるチーム
    MBA出身やコンサル出身に多い、理論先行型のタイプしかいない会社には興味無し。実行力が全て。オツムが大きいのは良いが、誰が作るの?
  • フォーカスが絞れていない、もしくはニッチすぎるアイディア
    何をしたいかをはっきりと絞り込んでいない場合は、うまく行かない。また、絞られすぎていて世界中で10人ぐらいしか使わないものもダメ。
  • アイディア・理論・機能だけでビジュアルがしょぼい
    どんな人間でも目に見える要素から受ける説得力は絶大。ピッチの際には機能の説明より、むしろデザインやUI/UXの方がよっぽど重要。

VCから投資を受けるデメリット

  • Cコーポレーション登記が必要
    アメリカで法人登記をする際は、税制的に有利なSコーポレーション形式があるが、それでは優先株が発行出来ないので、投資を受けたい場合は自ずとCコーポレーション登記が必要になる。その分、少々税金面で損をする。
  • エクジットは投資を受けるよりも何倍も難しい
    投資を受けた以上、必然的にエクジットを求められる。しかしながら、それは投資を受けるよりも何倍も難しい。投資を受ける事を目的とするのは大間違い。ちなみにキャッシュベースのビジネスはエクジットがほぼ不可能と考えた方が良い。
  • 戦略立案・実行するには毎回お伺いを立てる必要あり
    VCが一番求めるのは会社のコントロール。些細な経営判断等に関しても必ず認証が必要になる事が多い。必然的に、その分何をするにも多くの時間と労働力が割かれる。
  • 人材獲得へのプレッシャー
    投資を受けた=資本金がある、と言う事なので、その有効な使い道としての優秀な人材確保へ多大なるプレッシャーを受ける。サンフランシスコやシリコンバレーのベンチャーがしょっちゅう”We are hiring!”と叫んでいるのは、投資家に正しい資本金の使い道を示す為もある。
  • 一度投資を受けたら最後、永遠にコントロールされる
    軽い気持ちでVCから投資を受けたいと思っている人は要注意。そこには罠がある。投資を受けたら、会社が続くまで一生コントロールされる覚悟をしておいた方が良い。

 ちなみに僕自身の友人で、シリコンバレーにある某有名VCファームで働いている友人曰く、”悪い事は言わない、投資は極力受けるな”との事。
 

他の方法もあり

  • エンジェルから投資を受ける
    一言に投資家と言っても、VCが全てではない。個人投資家、所謂エンジェルと呼ばれる人たちから受ける方法もある。彼らは往々にしてVCよりも緩いタームで良い場合がある。個人的に知っていないとなかなか知り合うきっかけが少ないが、VentureHacks提供の、Angel Listと言う投資する気満々のエンジェルのリストが実名で記載されているサイトもあるので、活用すると良い。
  • マイクロ投資兼インキュベーションセンターを活用する
    最近最も話題になっているのがこの方法。厳しい審査に合格した起業家に対して一定期間小額の投資と活動場所と起業家精神を育てるカリキュラムを提供するシステム。有名どころは、YCombinator, Founder institute, AngelPad, I/O Ventures
  • 日本から海外向けのサービスを展開してしまう
    そもそも大きく海外展開を希望するが故に、シリコンバレーに進出し投資を希望する人が多い。しかしながら、ネットサービス等はボーダレスのこの時代、日本 から展開してもある程度は行ける。ハードルとなるのは、サイトのコンテンツ、UI/UXに関するチューニング、カスタマーサポート、そして海外に対してのプロモ・マーケティングであろう。その辺は一括して、海外進出企業向けWebコンサルティング会社の弊社ビートラックスで請け負う、もしくは、パートナーシップ形式で展開する事も可能。
著者プロフィール:Brandon Hill (ブランドン ヒル)

北海道札幌市で生まれ育った日米ハーフ。アイディアとクリエイティビティ、パッションをもって、2004年に米国・アジア間ビジネスの架け橋となる会社・btraxを米サンフランシスコに設立。

会社のウェブサイト:http://www.btrax.com/
ブログ:http://blog.btrax.com/

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