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離れた場所にあるパソコンを遠隔操作をするリモートデスクトップ機能。これまでマイクロソフトが提供する「Windowsリモートデスクトップ」やオープンソースの「VNC」などが存在したが、それらを凌駕するほど高速かつ軽快に動作するとして脚光を浴びたソフトウェア「TrueRemote」が2年ぶりにメジャーバージョンアップを行う。
「TrueRemote」は企業ユーザーを含む多くのユーザーが利用しているが、このリリースで「Brynhildr」と名称を変更し、TrueRemoteユーザーから要望の多かった暗号化通信や音声伝送などを多くの機能追加を行った新生アプリとなる。対応するのはWindows 7以降、Windows 8 コンスーマープレビューも動作を確認している。TrueRemoteと同様無償でダウンロード可能となる予定だ。
「極めてシンプルな構造」が最大の強み
「Brynhildr」はクライアント側・サーバー側とも同じソフトを起動して使用する。インターネット経由で接続するとクライアント側にサーバー側のデスクトップが表示され、あたかも目の前のパソコンを操作しているかのように使用することができるというもの。他のリモート系ソフトウェアを寄せ付けない軽快さと動作スピード、設定もシンプルで初めて使用する際もまず困ることはない。
「TrueRemote」は極めてシンプルな構造を追求したプログラムで、その考えは「Brynhildr」にも引き継がれている。これがこのシリーズの強みであり最大の特徴であると作者のIchiGeki氏は語る。
「Brynhildr」の特徴は、TrueRemoteと変わらず極めてシンプルな構造で処理が高速であることになるでしょうか。ただ、ユーザー側から見た場合、TrueRemoteにはなかった「音声伝送」と「暗号化通信」の2つが追加されています。
「音が鳴らなかったTrueRemote」と比較すると、「まるで違和感なくリモートで操作できるBrynhildr」といった違いがあります。
機能的な特徴についてですが、「遅延の少なさ」と「音質の良さ」に秀でているという事があげられると思ます。まず、映像についてですが、これはTrueRemoteのものを引き継ぐ形でH.264などで利用されている高度な映像圧縮技術といったものが一切ありません。比較すると圧縮率は低いのですが、シンプル故に処理速度は高速であると思います。音声については映像と比較すると情報量が少ないため圧縮処理を行っておらず、遅延防止と音質向上に特化させています。
暗号化についてはBlowfishというちょっと前の暗号化アルゴリズムを採用しています。現在ですとAESが標準かと思いますが、比較したところBlowfishの方が処理速度が高速でさらにシンプルであるため、Blowfishを採用致しました。暗号強度に関しましては、Blowfishの後継であるTwofishがAES選考のファイナリストにも残っておりますし、それほど心配は無いと考えております。
IchiGeki氏のスタンスは明確でわかりやすい。実際アプリケーションを使用してみると、その意味を理解することができるだろう。しかし、最近リモート操作ソフトではMicrosoftのリモートデスクトッププロトコル(RDP)の脆弱性のニュースがあったり、PCAnywhereのコードがハッカー集団によって公開されるなどの問題があった。
デスクトップをそのままリモート操作できるという利便性は、時と場合によっては脅威となる面もあり、そういった側面からみたIchiGekiさんの考えや施策はどうだろう?
まずセキュリティに絶対は無いというのが自分の考えです。技術的や人為的など色んな方向からみて完全な防御はありえません。それらを踏まえてセキュリティを考えると、シンプルでコンパクトなものほど脆弱性の可能性は低いと思います。
極端な例を言いますと、同重量の「自動車」と「鉄の玉」を比較した場合、どちらが故障率が高いかといいますと答えは明白です。
ソフトウェアも同じで、複雑な処理を行い、膨大なソースになるほど脆弱性は生まれやすいと考えます。
Brynhildrは、中身の構造もかなりシンプルで、ソースコードの量はVNCと比較すると約1/100と小さいです。
「シンプル&コンパクト」は私がいつも開発コンセプトで掲げているもので、これが「=脆弱性の低さ」というものに
つながるものではないかと考えています。
フリープログラマーIchiGeki氏が個人で開発
「TrueRemote」は非常に高い完成度ながらフリープログラマーIchiGeki氏が勤務しながら個人で開発したことで話題となった。IchiGeki氏は、過去高い技術力が必要とされる高速可逆圧縮動画コーデックなどを無償で公開してきた。それらの経験の集大成としてアセンブラとC言語を使用するなどして高速処理を実現したソフトが「TrueRemote」だった。
現在IchiGeki氏は映像・音声系の開発を中心にフリーで活動しており、「TrueRemote」そして「Brynhildr」
は開発成果の場として考え、それ自体で収益化を考えていない。フリーソフトの場合、有償のものと比較すると格段にユーザーが増加するのでその質さえ良ければネームバリューが発生するため、それをきっかけに開発案件が発生するといった効果もあり、IchiGeki氏は「その辺は、フリーランスという小規模だからこそ循環させる事ができるのかもしれないのですが。自分が納得できるソフトウェアを作るという一点に思いを込めています」と語る。
自分が納得できるソフトウェアであれば結果として、より多くの人がご利用するという結果につながりやすく、そこから広告や開発などのビジネスが生まれるという事になるかと思います。
ちなみに、私が思う「納得できる」とは、リモートデスクトップに当てはめると「自然なもの」という風に考えてます。
まだまだ力不足で達成には程遠いのですが、遠隔地にあるパソコンを今手元にあるかのように「自然に」使えるものが最初の到達点なのでは無いかと考えています。なので同意語である「違和感の無い」というのはとても嬉しい言葉なのです。
今後、3月中に「Brynhildr」のリリースを予定。当面は、Windows版のみの安定化に時間を費やす事になるとのこと。バージョンは「0.9.0.0」とβ版でスタートし、しばらくはβ版でリリースしていくとのことだ。
【関連URL】
・TrueRemoteを開発したIchiGekiの新しいブログ。
http://blog.x-row.net/
年々ITスタートアップの敷居が低くなっている。誰もがソフトやハードを理解することは、IT業界全体の底上げになるのは間違いないだろう。アイディアだけでお金が動き、ユーザーが増えることもあると思う。しかし、やはりイノベーションには常に技術が介在していることも忘れてはいけないと思う。そんな中でIchiGeki氏は、フリーランス=個人事務所というスタイルで、技術に対する優位性のあるスタンスを構築し世界で通用するプロダクトを提供しているわけで、個人的にとても共感している。
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 DJ、emacs使い。大手携帯キャリア公式ニュースサイト編集デスク。TechWaveでは各種イベント、創出支援、スタートアップ支援に注力。メール等お待ちしております!