アテンション・エコノミーからエンゲージメント・エコノミーへ【湯川】

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 バズワード乱発の状況ってあまり好きじゃないんだけど、これからの社会の課題を考えるきっかけになるかなと思って最近読んだ英語の書籍の中に出てきた「エンゲージメント・エコノミー」という言葉を紹介したい。

 ちょっと前までアテンション・エコノミーという言葉がバズワードだった。情報は無限に溢れ出したけど人間が気にかけることのできる情報量って昔と変わっていない。なのでどの情報に注意、アテンションを向けるべきか、ユーザーの注意、アテンションをどうすればひきつけられるか、ということがテーマになる。

 資源には限りがあるのでそれをどう分配するのか、というのが経済学の考え方だけど、同様に人間のアテンションも有限なので、どう分配すべきか、どう取得すべきかって話だ。


 一方でエンゲージメント・エコノミーは、「アテンション」ではなく「エンゲージメント」に限りがあるという話。つまり自分が関わることができる物事って数量に限界があるよね、ということ。

 これはGoogleがインターネットを「巨大な図書館」にしたあとFacebookがネットを「巨大な公民館」にする中で、「図書館」の情報へのアテンションより、「公民館」での活動へのエンゲージメントをどう高めるかが重要になってきている、ということなんだろう。

 具体的に自分の体験で言うと、「最近あまりソーシャルメディア上で発言していないですね」と言われたりするけど、そんなことはなくて非公開グループなんかで非常に頻繁に発言している。非公開なので、外からは見えないだけだ。やはりリアルでクローズドな使い方のほうがネット利用の主流になりつつあるんだと思う。

 ところが最近はこの非公開グループへの招待をたくさんいただくようになった。イベントへの招待の数も半端ない。恐らく僕だけじゃなく多くの人がそういう状況になってきているんだと思う。とてもすべてのグループで活発に発言できそうもない。すべてに均等にエンゲージメントできるわけがない。

 この状況は今後ますます悪化してくるんじゃないだろうか。

 その一方でこれから日本人も会社への帰属意識が薄れ、複数のコミュニティへの帰属意識が自分のアイデンティティになる、と言われている。どのコミュニティにどれくらいエンゲージメントを分配すべきかが重要になるし、コミュニティ運営者にしてみればどのようにしてユーザーのエンゲージメントを高めるかが重要になるだろう。エンゲージメントの奪い合い、エンゲージメント・エコノミーの時代が来るわけだ。

 その辺りのノウハウもいろいろ考え出されるようになるんだろうけど、ヒントの1つはゲーミフィケーションだと思う。今はウェブサイトのエンゲージメントを高める手法として研究されているけど、これからは会社に代わって精神的支柱になるコミュニティ間、社会活動間でのエンゲージメントを高める方法にゲーミフィケーションが用いられるようになるんじゃないだろうか。

 なぜならお金儲けより、自分らしく楽しく生きたいという人が増えてきているから。そういう人たちにとって、楽しくやりがいのある仕事、活動にするにはゲーミフィケーションが最も適しているんじゃないかと思う。具体的には、目標があって、自分の権限で状況を変化させることが可能で、目標を一つひとつクリアしていくことが可視化される状況。ワクワクドキドキの高揚感を維持できる状況。これを作るノウハウを持つことが、これからの事業者、社会起業家、ビジネスマンにとって重要になるように思う。

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