世界に通用する京都企業の強み、それらを繋げて強いエコシステムに― ad:tech kansai 特集(4)Aalto International Group福井麻里子氏

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関西地域3拠点を舞台に繰り広げられる「ad:tech kansai」のボードメンバーの方々のインタビューを連載形式でお伝えします(特集一覧はこちら)。

Aalto International Group / Mynewsdesk Japan CEO, Managing Director 福井麻里子氏

BtoB企業のグローバル向け発信のコンサルティングを得意とするAalto International Groupを率いるCEOの福井麻里子氏。京都で長く過ごしてきた彼女が海外との行き来のなかで見つけた京都企業の強みと弱み、そしていま「京都に必要な人材」についてお話を伺いました。

—ご自身が起業をされるにあたって、京都の地を選んだのはなぜでしょうか

海外市場に目を向けているBtoB企業が多かったのが理由です。もちろん自分が京都に住んでいてこの土地が好きだというのも大きいです。ただ実際には月の半分くらいは海外で活動をしていて、海外の政府関係者などと仕事をしていることが多いです。

—愛着ある京都の企業を海外のターゲット側からの視点で見ると感じることはありますか

情報発信がまだできていないな、というのが一番ですね。なんとなく「遅れているかも」という意識を持っている方は少なくありませんが、思っている以上に日本企業からのメッセージはまだグローバルには到達していません。発信が十分にできていないと何が起きるか。

—十分に発信できていなければ、情報の受け手側としても、何もアクションできるわけもなく…

存在にすら気づいてもらえていない状態がほとんどです。例えば海外の政府や自治体が街を使って技術の実証実験をしたいと思っていて、その実験に有効なソリューションを日本の会社が持っていたとします。でも日本の会社が情報発信をうまくできておらず存在を知られていないので、政府は声をかけることができない。そうなってくると新しい分野に京都、そして日本の企業が入っていくのがどんどん遅れていってしまいます。多大な機会損失です。

ここ数年、どの企業も海外売上比率のアップを掲げるようになりましたよね。「既存のものを拡販する」か「新分野に進出する」の2つの方法がありますが、特に新分野への進出ができていません。向こうで新しいビジネスを始めていかないとビジョンに対する実行にはならないのですが、何かしなければという危機感が募るばかりで、実際には海外にセールス拠点を置く程度にとどまってしまっています。その拡販も今までの国内取引先とは違うのですから、ビジネスのやり方を変えてゼロベースからやっていくつもりが必要です。

—そこに今回のad:tech kyotoですが、開催にあたりどんな効果を期待されますか

京都の企業や人が外と交流する機会になればいいと思っています。京都の企業の皆さんってなかなか表に出る機会がありません。だからロームさんや村田製作所さんをはじめとする方が自分たちの取り組みをお話されて交流ができるad:tech kyotoはとても貴重な機会だと思います。企業の担当者さんレベルだと意外と交流があって皆さん顔見知り同士も多いのですが、一歩外に出て広告関係やマーケティング関係の人たちと関わるっていうことが少ないんですよね。ましてデジタルの人材は関西にとても少なくてすぐ東京に行っちゃう。足りてないんです。

—では今の京都ではデジタル人材は引く手あまたなんでしょうか

デジタルに強い人ももちろんですが、グローバルな視点を持っている人は求められているんじゃないでしょうか。京都のものづくり企業が持っている技術を十分に理解し、その強みを新しいビジネスに変えて世界で戦うための橋渡しができるような人が一番求められていると思います。このソフトの力が京都の苦手なところです。海外のスタートアップと繋がりを作る、なんていう大掛かりなことだけでなく、京都の中でもきちんと繋がりを作る必要があるんです。

今、私自身は、京都で技術ビジネスのエコシステムを作りたいと考えているんですが、京都にはいろんな企業、歴史ある企業があり、大学もある、京都にネットワークを張る銀行や信用金庫だって協力的なのにそれぞれが分断されてしまっている現状があります。この3つと、さらに私たちが取り組んでいる技術の人材や海外とのネットワークを繋げることができればとても強いエコシステムが完成できると思っています。私たちもその繋ぎ役になりたいと思っていますし、同じ思いの人が協力していけると嬉しいですね。

—確かに企業と教育と金融がチームになるととても強いですね。

さらに多くの大学が京都にあるということは、優秀な海外からの留学生も多くいるということです。彼らの中で「京都に残りたい!」と思ってくれた人に対してどうやって残ってもらい、どんなチームを組むのかも考えなければいけません。先ほどお話ししたように海外売上比率を上げていきたい企業にとってはチャンスでもあり、課題でもあります。マネジメントや評価の仕組みから変えていく必要もあるかもしれません。

でも、多国籍なチームってとても面白いんですよ。私たちも外国籍のメンバーを抱えていますし、ドイツに支社も置いています。ドイツ人はきっちりした性格の人が多くて日本の人とも相性がいいみたいです。情報発信を日本人だけで行う時代は終わったと思っています。ad:tech kyotoがたくさんの新しい風を取り込んで、京都の企業の取り組みがもっと開かれるきっかけになることを願っています。

—ありがとうございました!(了)

(プロフィール)

福井 麻里子

Aalto International Group / Mynewsdesk Japan CEO, Managing Director

京都在住。同志社大学卒業後、博報堂グループPR会社等の勤務を経て、日系人材コンサルティング会社の海外現地法人の事業立上げメンバーとして、シンガポールに赴任。外資企業への法人営業と、アジアにおける広報を担当。その後、B2B企業に特化したグローバルPR、海外新規事業推進コンサルティング会社Aalto Internationalをシンガポールで創業。その後、京都に本社を移し、さらに産業・自動車業界の中心地であるドイツに拠点を展開。Aaltoでは『日本企業のプレゼンスをグローバルで高める』ことをミッションに、日本企業の海外向け展開戦略、新規事業推進・開拓に特化したコンサルティングおよびプラットフォーム事業を展開。グローバルで政府、メディア、業界組織、企業などのインフルエンサーネットワークを持ち、大手B2B企業の業界キーマンとの関係構築や、新規事業の海外でのパートナー開拓戦略を担当する。また、グローバルPRプラットフォームMynewsdeskにおいて日本代表を兼任。京都大学経営管理大学院在籍中。
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アドテック京都
日程:2017年7月18日(火)
場所:みやこメッセ
参加者数:1,800名+

アドテック大阪
日程:2017年7月19日(水)
場所:堂島リバーフォーラム
参加者数:200名+

アドテック神戶
日程:2017年7月20日(木)
場所:KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戶)
参加者数:1,000名+

うえの みづき

うえの みづき

お茶の水女子大学卒、民俗学を専攻し在学中はセーラー服やルーズソックスなど女子学生の制服文化について研究。新卒入社した出版社のベンチャー部門で法人営業を担当するも、クライアントの「紙媒体の予算はデジタルに回すことにしたんだ」の一言にショックを受け、web業界へ。
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