怠け者マーケターに共通する3つの特徴と改善策 ー イベント「collision」特別レポート第3弾

Marketing, イベント

Collision 2017イベントレポート 第3弾
2万人を集めるテックイベント「collision」が2017年5月2日から4日にかけて米・ニューオリンズで開催されました。
スタートアップや企業のイノベーションをリードするエクゼクティブが集結するこのイベントですが、日本からの参加は極めて少ない状態。TechWaveでは特派員を派遣し、ここでしか読めない特別レポートをお届けしています! (第一弾第二弾

怠け者マーケターに共通する3つの特徴と改善策 ー ニューオリンズのビックイベント「collision」特別レポート第3弾

Collisionのカンファレンスは13カテゴリーに分かれている。マーケティングに特化した「Panda Conf」ステージでは、eBayのCMOらが登壇し、ユーザーへのターゲティングについて語った。ここで頻繁に出てきたのが“レイジー(怠け者)・マーケター”という表現だ。ここではレイジー・マーケターによくある特徴、またその改善策に絞りながらセッション内容を紹介しよう。

セッション登壇者

[スクリーン&座席左]
Alan Schaaf (アラン・スカーフ): Imgur Founder

[スクリーン&座席中央]
Suzy Deering (スージー・ディーリング): eBay CMO

[スクリーン&座席右]
JP Mangalindan (JP・マンガリンダン): Yahoo Finance Senior Correspondent

JP・マンガリンダン(Yahoo Finance): 今はなんでもモバイルだけど、二人はモバイル化の流れをどうとらえているの?
スージー・ディーリング(eBay): 現在、eBay の60%の購買はモバイル上で行われていて。eBay にとってモバイルは大きな要素だととらえているわ。
アラン・スカーフ(Imgur): 元々Imgurはデスクトップ向けのサービスとしてスタートし、3年くらい前からモバイルシフトを始めたんだ。デスクトップとモバイルでユーザー使用率を比較したら、登録からコンテンツ消費まで今ではほぼモバイルということが分かった。こういう背景からも、広告がモバイルにいくのは納得だよね。
スージー・ディーリング(eBay): Redditのアレクシス(米国のオンラインコミュニティRedditの創始者)も言っていたけど、GenZ世代は1日3時間もモバイルに時間を費やしている。モビリティーも幅が広くなってきているから、ディバイス間のシームレスな体験もとても重要。モバイルも大事だけど、デスクトップも重要視しているわ。一昔前は、デスクトップというと部屋に置いてある大きな箱だったけれど、今では小型PCも出てきてデスクトップもまだまだ使われているから。テレビを見ながらPC作業をする人も多いでしょ?

レイジー・マーケターの特徴1::デモグラフィックだけを参照にターゲティングする

JP・マンガリンダン(Yahoo Finance): GenZとかミレニアル世代のターゲティングについてステージ裏で面白いことを話していたよね。それをここでも話してくれないかな?
スージー・ディーリング(eBay): ミレニアルは、単に年齢をカテゴリーに分けただけのデモグラフィック。デモグラフィックを使うのは、メディアバイイングの観点からであって、重要なのは年齢ではない。同じ世代でも皆違いがあるでしょう?確かにある一定の年齢でしかしない行動はあるけれど、年齢以上に共通の目的や興味を持ったコミュニティに対してどうアプローチするか考えないとオーディエンスに届かない。デモグラフィックに合わせるだけのターゲティングは、レイジー(怠け者)・マーケターのやることよ。
アラン・スカーフ(Imgur): まさにその通り。例えば、“Geek Millennial (ヲタクミレニアル)“に対してアプローチする場合、Imgurは最適。創始者の僕らもヲタクだし、ユーザーも皆そう。共通の興味についての情報をシェアするコミュニティ。そこをターゲットにしているブランドはそのコミュニティにメッセージを発信すればいいんだよ。ただ、注意しなきゃいけないことは、突然ブランドがコミュニティに入ってきて広告を配信しても効果は得られない。これは、ある日突然、おじさんが学校に入学してきた感じ。おかしいでしょ?ブランド側もコンテンツを作って、コミュニティに入り込むように努力しないといけない。そうしないと、オーディエンスとエンゲージメントできない。

レイジー・マーケターの特徴2:ユーザーに関係するブランデッド・コンテンツを考えない

JP・マンガリンダン(Yahoo Finance): ブランドとのコラボでうまくいった事例があれば教えてくれる?
アラン・スカーフ(Imgur): eBayのドローン事例は非常にうまくいったね。このポストは、10枚近くのGIFで色々な種類のドローンを紹介したんだよね。GIFのクオリティも高かったから、ユーザーからの反応もとても良かった。そして、eBayはちゃんと”Cat Tax(キャットタックス)”も払ったんだ。
JP・マンガリンダン(Yahoo Finance): ”Cat Tax”って何?
アラン・スカーフ(Imgur): “Cat Tax”は文字通り、猫の税。Imgurのコミュニティでは、アルバムをポストしたら最低1枚はかわいい写真、だれが見ても気に入るような写真を1枚含めないといけないというルールがあるんだ。猫はみんな好きだからね。それがやがてCat Taxという文化になっていったんだ。eBay はこういうところもよく理解していて、それがコミュニティからの支持を受けたんだと思う。
JP・マンガリンダン(Yahoo Finance): ちょっと意地悪な質問だけど、それは本当にeBayにとって成功と言えるの?
スージー・ディーリング(eBay): 売上には直結しない点もあるけど、これは広告目的ではなく、ユーザーの教育目的で行ったこと。eBay上には何千ものドローンがあるから、どんな種類があってどう違うのかとかを知らせたかったの。Imgurのユーザーは、ドローンに興味がある人も多いし。ここで重要だったのは、ユーザーに関係のあるコンテンツにすること。そういったアイディアは、レイジーなブランド側のマーケターからは出てこないわね。パートナーから示されることが多いわ。

レイジー・マーケターの特徴3:コミュニティの特徴に配慮しない

アラン・スカーフ(Imgur): 確かにあのドローンの事例は、広告にみえなかったよね。eBayは僕らのアドバイスをちゃんと聞いてくれる。そういうブランドはImgur上でいい結果を出しているね。
JP・マンガリンダン(Yahoo Finance): ということは聞く耳を持たないブランドもいるんだよね?
アラン・スカーフ(Imgur): そうだね。これもレイジー・マーケターの特徴だろうね(笑)名前は言わないけど、あるブランドがImgur上で広告配信をしたいとやってきたんだ。色々アドバイスをしたんだけど、彼らは「僕らのブランドは僕らが一番よく知っている。オーディエンスとのコミュニケーションも僕らに任せて」と言って、我々の意見を全く聞かなかったんだよね。GIFの作り方も知らなかったから、コンテンツのクオリティも低く、結局うまくいかなかった。何か特定のコミュニティへリーチする際は、コミュニティ側の考えを聞いたほうがちゃんと届くことがある。

JP・マンガリンダン(Yahoo Finance): 最後に今後の展望について教えてくれる?
スージー・ディーリング(eBay): ここ2年は、ユーザーにeBayが展開するサービスを伝えることに注力しているわ。今もeBayと聞くとオークションサイトだという人が多くて。もちろんその要素もあるのだけれど、実は売上のほんの一部。ほかにも大きなサービスがあるということがちゃんと知られていないので、Imgurなどのコミュニティを使ってユーザーの認知を高めていきたいと思っている。
そして、自社の強みを伸ばすこと。CESでも言われていたけど、世界に必要なのはアマゾンじゃなくて進化したeBayだと。アマゾンを批判しているわけではなくて、アマゾンは機械的なんだけど、eBayは人によって動かされるプラットフォームなの。ハートがあるというのは実に素晴らしいこと。人々の生活を良くするために、効率化だけじゃなくて、エンゲージメントやコミュニティ形成に注力していきたいと思っているわ。
アラン・スカーフ(Imgur): Imgurのサイトにはトップにベストなコンテンツが表示されている。本当にレベルの高いGIFばかりなんだ。ただそれが課題でもあってね。ブランドがプロモーションする際は、ブランドコンテンツを一般ユーザーのコンテンツと横並びに掲載するんだ。だからコンテンツのレベルが高くないといけない。でないと、ユーザーに「あ、広告だ。嫌だ」と思われてしまう。
ブランドコンテンツでも質のいいものはユーザーからいいね!がもらえる。デスクトップ向けに出していた広告がバズって、モバイルユーザーからは何故モバイルで見られないのかとクレームがついた位だよ。広告を欲しがるユーザーがいるプラットフォームはほかにはないんじゃないかな。

ユーザーの購買意欲を上昇させるパーソナライゼーションの3つの掟

このパネルセッションの後、eBayのスージー・ディーリングによる単独プレゼンテーションがあり、そこではパートナライゼーションについて言及された。デモグラフィックに頼らず、共通項を見つけることを“Find Category of Passion ”と表現し、eBayがここ数年注力しているファッションの例を紹介。89%のショッパーは、ユニークな自分らしさを演出したいと感じていて、48%の米国消費者はパーソナライズされたウェブサイトに対し購買意欲を10%アップさせているという。eBayは、ここに注目した。スージー・ディーリングが主張するパーソナライゼーションの3つの掟を紹介する。

1. Go beyond Email
もう「○○様こんにちは」というメールは響かない。eBay はウェブサイトを個々に合わせたカスタマイズ表示ができるように改良した。

2.Make it Personal
顧客知るための大量のデータがあるが、どうやって使うか。規範的ではなく予測できるものであることが重要。例えば、車好きならこういう音楽も好きかもしれない、など。

3.Make it Relevant
その人に関係性のあるアプローチを。わからなければユーザーに直接聞いてみることも大事。

(以上)

【関連URL】
・Collision Conf
https://collisionconf.com
・スタートアップが大企業へのプレゼンに失敗する理由 ー イベント「collision」特別レポート第1弾
http://techwave.jp/archives/collision-2017-report-01.html
・Justin.tvの失敗からTwitch の成功へ ー イベント「collision」特別レポート第2弾
http://techwave.jp/archives/collision-2017-report-02.html

特派員感想
多くのカンファレンスでは、「ミレニアル世代にどうアプローチするか」がテーマになっていることが多いように見受けられます。このセッションを聞いて、確かに自分の周りを見ても、「同い年=同じ興味関心」とは限らないなと思いました。FacebookやTwitterとは違い、ニッチなコミュニティであるImgur。今後は、Imgurのような特定の興味関心を共有する密度の濃いコミュニティが注目されるのではないでしょうか。

満木 夏子

満木 夏子

オーディエンスディベロップメントマネージャー at コムエクスポジアム・ジャパン株式会社
大学卒業後、2014年から2年間渡英。英国ではファッションブランドのセールスやショップイベント企画に従事。その後日本に帰国し現職。最近ではAIサミットを立ち上げ。
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