EC業界が抱える危機感を打破するものとは― ad:tech kansai 特集(8)フェリシモ 市橋邦弘氏

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関西地域3拠点を舞台に繰り広げられる「ad:tech kansai」のボードメンバーの方々のインタビューを連載形式でお伝えします(特集一覧はこちら)。

株式会社フェリシモ 物流・EC支援事業グループ部長 市橋邦弘氏

フェリシモといえば「猫部」や「500色の色えんぴつ」などが常にSNSで大人気ですが、EC業界は今「物流」という大きな問題も抱えています。長く業界の変遷を見てきた同社物流・EC支援事業グループ 部長の市橋邦弘氏に、業界の今について聞いた。

—実は筆者、大学生の頃に「haco!」を大変愛用しており、カタログ片手にPCサイトから注文をしていました。

それは一番贅沢な時代だったかもしれませんね。「haco!」は若い世代にフェリシモを知ってもらう入り口として作った重要なブランドで、カタログを雑誌のように楽しんでもらった上で、PCから注文してもらうという顧客体験を想定したサービス設計でした。しかし、そのターゲット世代において「コンビニで雑誌を買う」という習慣がなくなってしまいましたので、今「haco!」はカタログをやめてwebだけ、それもスマホ中心に変化しました。

—一部ブランドがカタログを残している中、「haco!」の動きは早かったですね。

顧客の情報接点が急激にスマホに変わっていったなかで、お客さまにネットでつながってもらえることを重視した結果です。

—「haco!」の商品に限らず「500色の色えんぴつ」や「猫部」など、皆さんはSNSで話題になることがとても多いですよね。

SNSで話題にしていただいている商品も実は最初からSNS人気を狙ったものではありません。「500色の色えんぴつ」は1992年に発売開始し、世界で10万セットを販売した人気のシリーズですが、当時からすべての色にユニークな名前をつけています。一つ一つ商品を開発しているからその思い入れを名前に込める、それが時を重ねるごとに、そして毎月お届けする通販であることもプラスに働いて定期的にSNS上で話題にしていだだいているようです。

そして今ではお客様側のリテラシーとライフスタイル変化の速度がものすごく速くて、私たちマーケティングをする側が追いついていかなければいけないという状況です。急速にテレビや雑誌といった従来型のメディアから変わっていっているし、「じゃあスマホね」という単純な話でもないので危機感を持っています。

—単純にスマホ対応すればよいというわけでない危機感はどこで感じ取ったのでしょうか?

例えば「若い人はグーグルで検索をしない」、という話を聞いた時です。最初は驚きながらも一体どういうことなのか理解できませんでした。「検索結果ページは文字が多くて読むのが面倒」「サイトに載っているのは宣伝ばかり」という若い人たちの感覚、「だから画像が多くてリアルな意見が聞けるSNSで検索する」という新しい情報収集の手段を聞いてやっと腑に落ちたのです。これはメディア接触時間の統計だけ見ていてもわからないことですよね。

—さらにECにおける危機といえば「物流」問題もありますよね。

通販の会社と物流は切っても切れない関係です。物が動くことに対してコストが発生するのは当然ですが、物を売る人、買う人、運ぶ人がどうやってそれを分担していくのか考えるのが重要ですね。付加価値を提供し単純な値上げにならないように工夫することで、この状況をチャンスにしていきたいと思っています。何しろ日本のEC化率はまだまだ低いですから、伸び代は十分にあるんです。もっと便利にできる余地はあるはずです。

—そこは是非期待したいですね。では最後にad:tech kansaiに期待されることを教えてください。

三都市開催になったことに何よりも期待しています。ad:tech kansaiには何度か参加させていただいていますが、地元神戸の企業になかなか会う機会が今までありませんでした。アドバイザリーボードメンバーのP&Gさんやネスレ日本さんもお互いのオフィスまで徒歩10分もかからないのにほとんど接点がなかったくらいなので、ad:techの神戸開催をきっかけに現場のマーケティング担当者、デジタル関係者が集まってコミュニケーションしそこからコラボレーションが生まれる機会はとても貴重だと思います。ぜひお互いの利害関係を超えて繋がっていきたいですね。

—ありがとうございました!(了)

(プロフィール)
市橋 邦弘
1995年入社。自社ECサイトの立ち上げプロジェクトに参画。以後、販売企画、システム企画、WEB顧客サポートなど担当。 2002年デジタルマーケティング推進部ネット販売企画室・室長。2009年マーケティングシステム開発グループ・リーダー。2015年 国内、海外のビジネスパートナーとのWEB新事業開発を担当。2017年3月、物流・EC支援事業 担当部長。

ad:tech kansaiの詳細はこちらから

アドテック京都
日程:2017年7月18日(火)
場所:みやこメッセ
参加者数:1,800名+

アドテック大阪
日程:2017年7月19日(水)
場所:堂島リバーフォーラム
参加者数:200名+

アドテック神戶
日程:2017年7月20日(木)
場所:KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戶)
参加者数:1,000名+

うえの みづき

うえの みづき

お茶の水女子大学卒、民俗学を専攻し在学中はセーラー服やルーズソックスなど女子学生の制服文化について研究。新卒入社した出版社のベンチャー部門で法人営業を担当するも、クライアントの「紙媒体の予算はデジタルに回すことにしたんだ」の一言にショックを受け、web業界へ。
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