シリコンバレーに進出する日本大企業CVCのリアルトークメモ 「Scrum Ventures CEO Summit 2016」より 【@maskin】

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米Scrum Venturesは2016年11月16日、東京・渋谷でイベント「SCRUM VENTURES CEO SUMMIT 2016」を開催した。

同社はシリコンバレー以外に東京に拠点を置き、シリコンバレーおよびアジアにフォーカスしたアーリーステージにおける投資活動を展開する企業。今回のイベントの冒頭のセッションでは日本企業としてシリコンバレーエリアに投資をする3社に話を聞く内容となっている。

Japanese CVCs in Silicon Valley

登壇者は、Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon ValleyのCEO 兼 Managing Director 西城洋志 氏、Recruit Strategic PartnersのPresident & Managing Director 西条祐介 氏、Sumitomo Mitsui Card Company Strategic Business Dept.のGeneral Manager 利田義郎 氏ら三人。モデレーターは、Scrum Venturesジェネラルパートナーの宮田拓弥 氏(冒頭写真)。以下、質問に対して各登壇者が回答する形で進める

進出年は?

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏
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2014年5月

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

2008年にUS出資開始、加速したのは2014年4月に西条氏が赴任してから

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

2012年11月。パロアルト市にオフィスを構える。

ファンド規模・予算

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

未定。レンジとしては年間10M-30M米ドル。

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏
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全ファンドで215億、直近6号ファンドは100億。

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

CVSではなくバランスシートから投資している。既存事業に影響のあるものにフォーカス。

体制

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

SV側は5名。Yamahaから来たのは西城氏のみで、あとは現地採用。3人はCVCで10年―15年の経験がある。

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

全体では12名だが、投資担当は6名。

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

投資担当は3名だが、受けてが日本に20名弱いる。dsc_5980

投資実績

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

アーリー4社、レイター1社

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

100件

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

米Squareと米Stripe。Squareはジャック・ドーシーが創業して2015年にIPO。EC決済の米Stripeの現在のバリエーションは50億ドル。

目的

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

新規事業創出のエキスパートチーム
経営陣直轄
事業開発とCVCの2つの機能

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

事業機会の獲得に備えた、新テクノロジー・新モデルの発掘

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

ファイナンシャルリターンがあるに越したことはないが基本は既存事業へのプラス効果。


一日の過ごし方

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

チャットなどのコミュニケーションは日本と変わらず。
20-25件、スタートアップとの面談。3か月に一回、VCとの対話もある。
サンフランシスコのスタートアップは対面であうが、イスラエルなどテレカン。

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

「日本は会議が多くていつ仕事したらいいんだろう」。R&Dのリサーチも結構仕事に多く、レポートを隠し事も多かった。朝メールさばいて、新聞などのインプット。15時頃には日本が起きてくるので、その前に現地の仕事をやる。

Scrum Ventures 宮田 氏

日本を比較するとミーティングの短さが特徴。当社は15分で設定。

投資案件はどうやって発掘するのか?

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

ローカルで3名採用したのが大きい。案件数が多すぎるほど。CVCおよびVCから紹介された案件のクオリティの高さ。オートメーションとかコネクテッドサービスなど。Yamaha主力のオートバイ事業に限らず、パーツパーツで可能性があるものにフォーカスする。

会社としては今のプロダクトにフォーカスして働いている人が大半。しかし、不安感がある。
私は、5%しか稼働していないオートモーティブの存在にいらだちを覚えたりする。早く形態を変えていくことで事業的なチャンスを得られるように思う。

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

現地のパートナーと関係を構築して案件を得ていくパターンが多い。
ただ、いきなりは「リクルートです」といっても現地ではなかなか通用しない。そこは地道に営業活動をし続けている。日本でもシリコンバレーでも関係なく、立場にあわせて相手が欲しいものを提供するなど、バランスを見ながらギブアンドテイクを展開していく。そういった活動のデータベース構築も欠かせない

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

ビッグディールは運ですね。SquareもStripeも普通に会いにいった。
当日、両社とも有名になっていたのですが「日本の金融機関とは話をしたことがない」という状態だった。また、日本のカントリーマネージャーを探しているということも後押しになった。

あとは地道な営業活動。小さな積み重ね。

Scrum Ventures 宮田 氏

日本とシリコンバレーの違いは、シリコンバレーはとにかく設立される会社の数が多い点。毎日のようにCEOから投資案件が届く状態。いかにさばくかということが重要。

日本との違いで一番苦労したこと

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

困ったことは何もないです。楽になりました。
お客さんがサムソンやノキアでどこかにいくことはあったが駐在したことはない。
苦労した点をあえてあげると、日本の本社チームとの距離が拡大することをケアしうまくブリッジすること。

直接投資、CVC、LP投資の違いは?

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

新しい事業をつくるチームとして、単独でやるのは怖いのでコラボレーションの手段として出資をする。

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

現地にLP出資をして、実績を積んでから直接投資に入っていく。

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

直接投資やLP投資のみ。直接投資は会議を通すの大変。LP投資は情報集めの効率的な方法が必要。
リクルート西条氏から助言「ベンチャーへの投資はシリコンバレーの入園料です」を受けたのが大きい。

Scrum Ventures 宮田 氏

日本から英語ができるという人を連れて行って人脈がなかったり、それほどの英語力でなかったりするので現地で人脈がある人を採用するのが大切。現地採用はリスクがあるけど、やるだけのことはある。

今興味がある分野は?

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

モビリティの周辺。ヨーロッパなどからも出てきている。ヨーロッパは町並みが同じで、あの制限の中でモビリティを考えなくてはならない。そこに基づいたスマートモビリティのイノベーションが求められている。

微生物。自分の体の中の変異にどう関係するのか興味がある。

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

人とモノのシェアリングエコノミー。ビジネスアプリケーション。コアテクノロジーとしてAI,ロボティクス、ブロックチェーン。地理的時間的にフレキシブルになっていく。

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

カード会社なのでフィンテック。SquareやStripeの次は何ですか?という質問については、世の中にはスマホやソーシャルなどどんどん変化していくけど、金融だけは三枚複写のままで、ようやく追いついてきた。早期にコンピュータに投資しすぎてきたのでなかなか変えられないなどの状況があった。IoTやブロックチェーン、ボットなども見ている。

会場からの質問

1・本社側、日本側が動かない

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

レイヤーの話、社長直轄にするとか。もっと大事なのはその本人は本気になってやれるか。
社長がきてくれたのに「よくわからなかったわ」といわれて愕然としたけど、それは前向きで経営陣としてYes・Noがいえるようにならないといけないと経営会議で発言した。

宮田氏「社長が大切」

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

ファンドを任されている。権限移譲されている。投資委員会で決済できるようになっている。
早く意思決定をする。

2・今まで逃がした魚で一番大きなものは?

Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley 西城洋志 氏

来るものは拒まず、去る者はおわず・逃がした魚が大きかったなと思ったことはない。逃がしても次チャンスはあるし。

Recruit Strategic Partners 西条祐介 氏

オーバーサブスクライブさてたものは一杯ある。

Sumitomo Mitsui Card Company 利田義郎 氏

うちもいっぱい失敗がある。手続きをやっているうちにどこかが買収したり。

<了>

【関連URL】
・Scrum Ventures CEO Summit 2016
http://www.scrum-summit.com/

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin-bit-2016 僕自身がシリコンバレーで活動していたのは1990年頃から2001年まで。当時、バブル崩壊もあり日本大企業の撤退が著しく、日本ビジネス界全体の存在感が低いことが悩みだったが、こうして日本の大手企業が精力的に活動されていることがとても嬉しいっす。質問は通らなかったのだが、彼らは今後3年とか5年でどのような野望を抱えているのだろうか。その契機は到来するのだろうか。注目していきたい。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。
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