「買い取り」のエコシステム構築へ、ジラフが総額4000万円超のシリーズA増資

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 買取価格比較サイト「ヒカカク!」等を運営するジラフは2015年10月13日、East VenturesとTLMおよび個人投資家1名、新たにCOOとして参画する柴田雅人氏を引き受け先とする総額4120万円の第三者割当増資を行ったと発表した。増資フェーズはシリーズAで、シードラウンド増資(引き受け先はEast VenturesとTLM、ペロリ有川鴻哉 氏)との総額は資本金ベース(準備金含む)で5435万円。

 ジラフは2014年10月29日、一橋大学商学部に在籍中の麻生輝明 氏が立ち上げたスタートアップで、主力サービス「ヒカカク!」は買取商品数7万件以上を掲載、5000件以上の口コミを集めることに成功。創業一周年を目前に、宅配型・リアル店舗双方の買い取り店などとの連携を含めた「買い取り」エコシステム構築に乗り出すべく資金調達を行った。

 麻生氏いわく「買取り市場は、自動車を除くと1兆円規模」という。

不要なガジェットを売る時の不安を解消

麻生 氏:「このサービスは、自分の経験から生まれたものなんです。自分で不要なiPadを売却しようと思った時、その手続が面倒くさいというのと、どこに売ったらいいかわからない、よく宣伝されている買い取り店だと安い値段でしか売れない、そんなことに悩んでいる時、友人が “複数の買い取り店で見積をして、比較した上で売る” ということを言っていて、それをウェブサービスとしてやろうと思いました」。

 消費者の立場で “購入する” ことを考えると、ECサイトやオークション、フリマ、価格比較サイトなど多数のサービスが直面する。しかし、電子機器など売却が可能なアイテムの、買い取り価格については何も整理されていない現状、ジラフ麻生 氏はこの課題を解決しようと考えた。

麻生 氏:「今の「ヒカカク!」は、買い取り価格を比較するサイトとして運営していますが、うちの大きなポイントは買う側がその商品をいくらで購入するのか、つまりオークションで言えばビッド(Bid)にあたることが事前に行われているところにあります。売り手の側からみれば、売りたい商品がどういった相場観で売れるのかを検索できるようになるわけですね。これは単に売りたい時に売価を参考にできるということに限らず、自分のもっているアイテムがどういった市場価格で推移しているかを可視化できるということだと思っています」。

 「中古販売価格が1000円なら買い取り価格は○○円だろう」という間接的な買い取り価格情報はあるが、買い取りにともなう市場は、中古販売店やオークション、EC市場など多様でそれぞれの事業者によって「コスト構造やビジネスモデルに差異があり、一概に比較することは難しい」と麻生氏は言う。

麻生 氏:「オークションでは比較的高い価格で売却できるケースがありますが、実際出品やクレーム対応などの懸念、そして取引のやりとりする際の手間暇はそれなりのボリュームになってしまいます。振り込みタイミングなどもありますね。フリマでも同じような課題があるでしょう。ですから、単に“買取り価格が高い” だけではなく、もう一つ “どの業者さんなら良心的に手間なく売却できるか” といった第二の評価軸をも評価するのが私達のサービスの価値と言えると思います」。

「買取り」経済圏を整地する意味

 買取り価格とはいえ、多数のアイテムをバルクで売却しようとする業者向けのサービスとは違う。麻生 氏はあくまで「個人が、ふと不要なアイテムを売たいと思った時に利用してもらえるサービス」を想定しているという。

麻生 氏:「既存の買取り店などもあると思うのですが、ヒカカク!では、あらゆる買取り価格が検索できる、不用品を売ろうとしたときまず始めに思い浮かべるサイトとして認知してもらいたいんです。買取り業者さんとしても、価格を発信する中心的サイトとして活用してもらい、かつ良心的な価格で対応もよければ評価され集客につながるということが定着すればいいと考えています」。

 ヒカカク!に掲載される情報は、実店舗の買取り店のみならず、通販型(宅配型)にも対応。「最近は、実店舗が宅配型に対応して全国展開するケースも増えつつあり、一体自分の住んでいる地域の買取り対応店がどれだけあるのかもわかりにくくなっています。そういう意味でも、買取り情報をわかりやすく整理することが私達の価値提供の根幹になっています」(麻生氏)

実際に、ヒカカク!への価格情報提供を行っている買取り店舗の看板(麻生氏撮影)

麻生 氏:「“買取り”を活性化することの最大の壁は、その経済圏を整地化できるかという点。開示することで、集客につながる、プラスの効果があることを理解し参入していただく。中古品販売業者などは、買取り。その壁をどう乗り越えられるかが私達の大きな課題です。

 現在ヒカカク!のビジネスモデルは、買取り成立時の手数料収入です。現在の買取り市場は、小型のガジェットが個人経営の店舗が増加しているケースがあり、かつての楽天がそうだったように、小さな個人店舗を支援することで成長したい。ヒカカク!に情報を掲示することが最もコストパフォーマンスもよく、売り手も買い手も集まってくる、そんな状況をリードしていきたいと考えています。」(麻生 氏)。 

チームとしての「ジラフ」

 現在のジラフは、毎月40%ずつユーザー数が増加し、それにともない買取り成約率も向上しているという。まさに、ユーザー増にともない購買意欲が向上するという構図が成立している状態。2015年7月には、全国1000店舗のiPhone修理業者から、画面割れ修理やバッテリー交換、水没修理などのメニューごとに費用比較を行えるサービス「最安修理ドットコム」もリリースしており、買取り対応商品もガジェット以外にも徐々に拡大する予定。

 今後、今回の資金調達により、商品や見込顧客獲得のためのコンテンツを丁寧に作りあげていき、オンラインマーケティングなどを拡大していく計画。買取り価格データベース整理のための独自CMSも構築している状態であり、“買取り”経済圏での先行者としての土台を固めたい考えだ。

 二十代半ばのジラフ代表取締役 麻生輝明 氏は、中学生の頃からサービス立ち上げに関わってきた起業ネイティブともいえる世代。淡々としながらも非常に緻密に事業のことを考えている印象だ。

 「新船長のように頼りがいがある」。COOに就任した柴田雅人氏がそう語るように、まだ見ぬ市場に乗り出すパイオニアとなるのかもしれない。

ジラフ代表取締役 麻生輝明 氏・COOに就任した柴田雅人氏

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin個人投資家としてこの増資フェーズに参画した柴田雅人 氏は、グリーを退職してジラフに参画。二人は、2015年6月に開催された「#SVFT Skyaland Venture Fest」で出会い意気投合したという。

柴田氏は、SVFTではTechWaveがコーディネートする「グローバルアプリ博」のエリアの責任者としてご一緒させていただいたが、目くばりが上手で非常に優秀だと感じた次第。そんな彼等があの場で出あい、こうして未来に向け舟をこぎだすということはなんとも感慨深い。

市場を猛スピードで歩く二人の将来に注目したい。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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