情報デザインの旗手 渡辺保史 氏が残した重要なメッセージについて 【増田 @maskin】

News渡辺保史


[読了時間: 2分]

 TechWave編集長のmaskinこと増田真樹です。

 ゼロリソース&一人編集部の新体制に切り代わった2013年1月15日からはや数ヶ月。まだまだステルス状態が続きますが、

 ここで新TechWave構想に深くかかわる、ある人とのエピソードを紹介させていただこうと思います。

 渡辺保史 さん。業界新聞社出身でフリーランスのメディア・ジャーナリストとして名著「情報デザイン入門 インターネット時代の表現術』(平凡社新書)を出版。

 ソーシャルグラフからビッグデータまで、情報コミュニケーションの時代を予見し情報デザインという考え方を広めた第一人者です。

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 拠点を、出身地の北海道函館に移し、地域コミュニティの未来デザインに着目。

 人口減少や中心部空洞化のような問題も顕在化する地方都市で、コミュニティーや情報テクノロジー、教育、デザインなど幅広いフィールドを駆使し、「ハコダテ・スローマップ」などの活動を意欲的に展開されていました。

 北海道大学高等教育機能開発総合センター科学技術コミュニケーション教育研究部(CoSTEP)客員准教授を勤められるなど活動の幅を広めていましたが、2013年6月15日、帰らぬ人となってしまいました。


コミュニティ型メディアへの挑戦

 実は新TechWaveを組み立てる際、始めにご相談させていただいたのが渡辺保史さんでした。

 僕自身、地方都市である栃木県宇都宮市に住んでいることもあり、かつ「東京ー地方都市」の構図が、IT業界における「ベイエリア(シリコンバレーーサンフランシスコ)ー日本」の関係に類似していることもあったというのがそもそものきっかけです。

 地域と知見とイノベーターを有機的に結びつけるネットワークを構築することで、地域全体が活発になり、閉塞感を打ちやぶるのではないか、その手法を考察し、実験で実証してきた渡辺さんと、新しいTechWaveでコラボレーションしたいと考えました。

 方法としては、僕自身の中でこのような方針を決めていました。

新TechWaveの考え方 (3年計画)
1. 読者と対象(記事に掲載される人や企業やサービス、トレンド)の距離を極限まで短縮する
2. 記事を出すだけでなく、人と人の関係に機能(イベント等)し、個人やチーム、企業、ひいては業界に直接関係(コラボ展開、協業)がもてる新興メディアを目指す
3. イノベーターが主役となって世界的記事ネットワークを構築する(イノベーターが情報を発信する)

 目的は一つ「日本を軸とした、国内外のイノベーターにとっての機能的役割をはたす」ということ。

 こうした目的達成型のコミュニティ型メディア(TechWaveは法人ではありません)に、渡辺さんは大いに共感してくれていました。

 僕がこのようなモデルを考えた理由は、僕自身がイノベーターとして40超のプロジェクトの立ち上げに参加してきたからです。現場と記事&読者との乖離が激しい。すごいことが生まれていても、PV主義のメディアでは扱われない。世論は重要ですが、盛り上がるかどうかを編集側が決める以外の方法がないかと考えた末のことです。

 渡辺さんは、こういった情報とコミュニティ、知見の活用を非常に深く考察されていました。

 その考えがうまく整理されたインタビューがCoSTEPから公開されているので、紹介させて頂きます。


渡辺保史さんの残したもの

 冒頭で、企画をやることについて話をされていますが、「誰が対象だということ。自分達がやろうとしていることは、誰に向けていて、そこにかかわってくれた人が何を持ち帰るのかを考える。また、始める時にその当事者を巻き込むことが大切」と説明されています。

 新TechWaveでは、イノベーターをニュース発信者として募集していますが、まさに同じ発送のものですこれはメディアをうまくいかせようというサクラ的な発想ではなく、イノベーターと共に情報を発信し、流れを生み、共に互いの事業を発展させていこうという考えです。

 動画の中では、その実証実験の結果などをふまえた考察をされています。

 現在のTechWaveはITイノベーターの支援を通じて、社会全体へのイノベーションへと活動を継続させる考えをもっています。

 そう説明してしまうと、業界専門誌になってしまい対象が限定的になると思われてしまいがちですが、コミュニティ型の新興メディアという立場から、オンラインのみならずイベントやコラボを通じ、イノベーターといういわば熱い専門家との関係性構築の場を創出していくことができるというわけです。

 渡辺さんのこの動画は、これからの時代、島国日本の中で各人を活き活きとできるエネルギーを与え、世界視点で行き来できる人を輩出するための不可欠なメッセージになっていると思います。

 情報と人、それを機能させるコミュニティとしての概念、そしてコーディネーター。NPO/ボランティア活動のみならず、実際のビジネスや個人の生き方にだって適用できる重要な概念です。どうか、彼の思いを継承するためにも、できるだけ多くの方に観てもらいたいと思います。

 最後になりますが、渡辺保史 さんのご冥福を心よりお祈り申しあげます。R.I.P.




【関連URL】
・追悼 渡辺保史さん。渡辺さんが生前に残した貴重なメッセージを公開しました | CoSTEP
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/news/article/219/

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin2011009rev.fw 「一緒にやりましょう」という最後のメッセージの直後に亡くなられてしまい、正直いって残念でなりませんでした。離れていても、いい仕事はできる。シリコンバレーでできていて、何で日本でできないんだ。慣習への反旗を掲げつつ、「もっと自由に生きていける」ということを証明するために渡辺さんとのイマジネーション交流はとても重要でした。彼の夢はまだまだ続くべきだし、僕もTechWaveを軸に彼がいつか「いい形で実現できたね」って感じてもらえるようなことにトライしていきたいと思います。
TechWaveはリスタート前後に色々な問題が立て続けに発生してきたけど、こうした思いを共有できる人達と勇気を持って前進していければと思います。今まで誰もやっていないようなこと、小さいことかもしれないけど、全身全霊を注入できるようなことを彼の言葉の上で続けていきたい。渡辺保史さん、ありがとう。
著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演している。現在、TechWaveをリボーン中。中長期プランニングやアドバイザリー活動で定評がある。(@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中)
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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。
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