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巨大な日本ファッション市場の2013年におけるECの規模は全体の8%で1.4兆円(日本ファッション産業の海外展開戦略に関する調査を行いました ~グローバルマーケットでの成功要因をまとめました~|経済産業省)。2020年に向け日本のファッションECは14%にまで成長するという予測が出でいるが、東南アジアを中心とする新興国はそれをはるかに上回る成長を遂げるという見方が濃厚だ。
日本のみならず東南アジアでも通販型からフリマ・オークション型多様なプラットフォームが成長の兆しをみせているが、欠落しているポイントがある。それは、まさかの「需給の不均衡」だ。
カラフルボードの代表取締役CEO 渡辺祐樹 氏は言う「EC市場は年平均約16.1%成長していますが、アイテム数は年約37.3% 増加し続けており需給の不均衡が発生しています。ECの活性化によりアイテム数は増加するものの、個人や国や地域に帰属する価値観を超越して、人とモノをマッチングすることができていません」。
そこでカラフルボードは2014年10月30日、ファッションアイテムと人の嗜好をマッチングさせるための新サービス「SENSY(センシー)」を発表した。ファッションに特化した人工知能を搭載し、1600のブランドからユーザーが求めるものを的確に抽出するだけでなく、気になるスタイリストや著名人のファッションセンスを自分のコーデ選びの参考にするなどの機能を搭載する。すでにiPhoneが無料でダウンロードできるようになっている。
「SENSY(センシー)」の操作系は実にシンプルだ。プッシュされたファッションアイテムの好き嫌いを入力するだけ。
デザインは、米Apple社が30周年企画で世界の注目デザイナーとして選出されたり、Perfumeの演出で注目を浴びる真鍋大度 氏率いるライゾマティクスが担当。多様な国と地域で利用できるよう、非言語デザインをテーマにしている。
一見、単にファッションが提案されるだけのように感じるかもしれないが、エンジンに慶應義塾大学および千葉大との共同研究で実現したファッションセンスに関係する人工知能(2014年9月 米国に特許出願済み)が搭載されており、多様な情報からユーザーにフィットしたアイテムが表示される仕組みになっている。
リコメンドの対象となるファッションブランドはすでに1600以上。ビームス、ナノユニバース、アーバンリサーチ等が名を連ねる。
これだけ大量のブランドがあっても、ファッションアイテムの好き嫌いをインプットするにつれ「SENSY(センシー)」はより賢く、的確にファッションを提案するようになる。それはあたかも自分専属のスタイリストという様相。
これをカラフルボード渡辺氏は「ロボット」と表現する。
「ユーザーのファッションを覚えてコーデを提案するのは、基本的に自分専用のスタイリストロボットがいる感じになると思います。
さらに、憧れのスタイリストや著名人のセンスの力を借りることもできるんです」(渡辺氏)
スタイリストや著名人の“センス”を取り込む仕組み
「センスを借りる」とはどういうことだろうか。
実は、「SENSY(センシー)」では、複数のスタイリストやモデルが所属している。ここには、あらかじめ彼らのファッションセンスが知識として蓄積されており、指名することで、そのセンスをユーザー各位のファッション選びに活用する仕組みになっているのだ。
例えば、レザーアイテムが好きなスタイリストがいたとして、彼を選択すると、彼の好みの中から、ユーザー各位にあったアイテムをオススメしてくれるようになる。
このようなロボットは本人のデータインプットを必要とするものの、自動で情報収集をするだけでなく、ほかのロボットと通信をすることで他人の思考を学習するなど賢くなっていくという。
「SENSY(センシー)」は、これをスタイリストやモデル、芸能人や著名人にまで展開し、多様な人のセンスや思考をスタイリストロボットとして展開できる知財ソフトのプラットフォームとして普及させようと考えている。
カラフルボードの野望
「SENSY(センシー)」を手がけるカラフルボードは2011年11月にIT畑から生まれた会社ではあるが、そもそも流通の最適化を主眼においた事業を展開してきた。
すでにサービスインしている(2012年3月)社名の冠となっているサービス「COLORFUL BOARD」は、余剰在庫が生まれがちなファッション流通に革命をもたらそうと多くの注目を浴びてきた。
そんな中新たなに投入した「SENSY(センシー)は、人とモノのマッチングのみならず、感性ソフトウェアのロボット化によって新たなファッションビジネスを創造しようとしている。
「SENSY(センシー)は当初、ECへの送客を中心とした収益が中心となりますが、センスロボットの流通や販売により、一方的な推薦にとどまらない需給のマッチングエンジンへと成長させていく考えです。
センスは非言語です。アプリもそのようにデザインし、海外展開を視野に入れています。SENSY(センシー)の人工知能ロボットは、多様なビジネスへと展開が可能なもので、最終的にすでに当社が手がけるサービスと連携してファッション市場の成長に寄与したいと考えています」(渡辺氏)
【関連URL】
・SENSY
http://sensy.jp/
カラフルボードと出会ったのは羽田空港の国際線ロビーだった。ネットで審査して需要があるとわかったデザイナーズアイテムを展示販売しているショップがあったのだ。狭いIT業界だからこうした動きはすぐはいってくるようなものだが、彼らは現場側からサービスを組み立てており、逆にいわゆるIT界から評判を得て成長みたいなトーンではなかったのが印象的だった。
それでありながら実力があり成長力がある。今回のセンシーはよく考えられ、本気度が伝わってくるし、プロダクトもシンプルながらよくできている。アドバンステクノロジーが組み込まれているプロダクトは技術倒れが多い中、使用感はあくまでシンプル、しかしつかうにつれ魅力を増すという、この完成度の高さはほかの類似サービスとは一線を画しているように思う。