テナント版Airbnb「店舗市場」は、不動産業界に風穴をあけられるのだろうか? 【@えとみほ】

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2015年11月11日(水)、不動産 IT 事業を展開するオルトリズムは、退店費用を節約したい店舗と、良い物件を早く見つけたい入居希望店舗を直接結ぶ業界初の未解約物件のBtoBプラットフォームサービス「店舗市場」( http://tenpoichiba.jp/ )をローンチした。

出店より退店にお金がかかる?不条理な日本のテナント事情

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 店舗・オフィスを退去する際、解約予告期間が長すぎることに困った経験があるというテナント入居者は多いのではないだろうか。実際のところ、退去者の多くは「いますぐ出たい」という状況であるにも関わらず、残りの3~6ヶ月分の賃料(解約ペナルティ金)を支払わざるを得ないのが現状だ。また、これとは別に原状回復費用もかかる。この費用も数百万に上りバカにならない。

 一方、店舗を借りる側に回ると、立地と賃料のバランスが取れた優良物件がなかなか見つからないという問題がある。なぜならそういった優良物件の多くは、市場に出回る前に抑えられてしまっているからだ。不動産屋で紹介されるのは売れ残り物件が多く、なかなか満足のいく物件に巡り会えず大きな機会損失につながっている。

 この双方の不満に着目したのが、株式会社オルトリズムの紙中良太社長だ。紙中社長はAirbnbのようなC2Cプラットフォームを提供することで、退去者と入居希望者とテナントオーナーの三者が全員ハッピーになれるのではないかと考えた。そこで開発したのが本日ローンチした「店舗市場」である。

登録は無料、退店側には20万円のキャッシュバックも

 「店舗市場」のしくみはいたってシンプルだ。退店・入店したい企業は、まず店舗市場に会員登録する。登録は無料だが、不動産事業者が紛れ込むのを防ぐために、審査は企業の実在確認も含め厳重に行われる。万一、不動産事業者がここに紛れ込んでしまうと、退店情報が漏れて取引に差し障るケースが出てくるからだ。

 会員企業は、一度登録してしまえば退店時にも出店時にもプラットフォームを利用できる。退店希望時には5分で終わる簡易登録システムで物件を登録し、出店希望時にはGoogle Map上で物件情報を感覚的に収集する。

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 めでたく契約が成立した場合、出店企業は賃料1ヶ月分(賃料が50万円に満たない場合は50万円)のシステム利用料を店舗市場に支払い、退店企業には、店舗市場から20万円をキャッシュバックするしくみだ。

スキーム図

 退去企業からすると、退去費用が節約できるだけでなくキャッシュバックも受けられ、しかも登録無料となると登録しない理由がない。ここでこの事業のセンターピンとなる「物件数」を増やし、追って出店希望企業を増やしていくという戦略だ。すでに店舗市場の登録企業は大手飲食企業、大手物販企業をメインに132社あり、2016年2月末時点で260社を目指すという。

いまだ古い商習慣を脱却できない不動産業界。死角はないか?

 ここ2~3年、不動産系スタートアップが活況である。非常に大きなお金が動く分野でありながら、なかなかIT化、合理化が進まなかったのは、目に見えぬ圧力によって不動産業界特有の商習慣が覆せなかったことと無関係ではないだろう。しかし、その強固な牙城も大手資本が入ってくることで徐々にではあるが崩れ始めてきた。

 店舗市場が提供するサービスは「未解約物件の流通」という、従来のスタートアップがチャレンジしてきた「仲介手数料の無料化」よりさらにもう一段上のチャレンジングなサービスである。成功すれば間違いなく業界の構造を大きく変えるが、果たして死角はないのか。

今後に注目していきたい。

江藤 美帆

江藤 美帆

ソーシャルメディアの可能性を探求するメディア「kakeru」編集長。外資・ベンチャー企業を渡り歩き、現在はメディア運営をしながら株式会社オプトにて新規事業開発に従事。エンジニアイベント「市ヶ谷Geek★Night」主催。
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Posted by 江藤 美帆