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変更が多いソースコードをチームで管理することができる「ファイルのバージョン管理」ツール。
GithubやBitBucketなどのクラウドサービスも浸透し、複数メンバーでプロジェクトのファイルを共有し開発をすすめる際には欠かせない存在となっている。
ただ、これらはソースコードの共同開発が主眼を置かれており、デザイナーやディレクターといった職種にフィットしにくい状況が少なからずあった。
そこで鹿児島発のスタートアップ「ユニマル」は、「様々なスキルが混合する制作現場で誰でも使えるバージョン管理アプリを」と開発を進めるのが「Universions」だ。現在オープンβ版が公開されている。対応するのはMac OS XおよびWindows。デスクトップアプリとして提供する。
「Universion」は、ローカルのディレクトリと連携する、GUIベースのバージョン管理アプリ。
プロジェクト単位で、複数のメンバーとファイルを共有してその履歴をチェックすることはもちろん、コミュニケーションやタスク管理(予定)、Wiki(予定)などの機能を随時追加していく考え。
共有するファイルは、オンラインのリポジトリ(プロジェクトで使用するファイルの保存場所)サーバーに蓄積される形となる。ストレージの容量や料金については、プロジェクト数、メンバー数、サイズによって変化する体系で、2014年5月の本リリースに向け調整を続けているとのことだ。
「Universions」はファイルの保存や蓄積に主眼を置いているのではなく、あくまでメインはプロジェクト管理と効率化で、最終的にはパートナーとの連携で公開環境に直接デプロイ(配置)できるようにするなど、クリエイティブの現場に未だありがちなFTPで都度アップロードといった手間を解消させる考え。
ユニマル代表取締役 永田司 氏は、「いいツール・仕組み(バージョン管理)」があるのに使用するためのスキルが必要で導入できないことは損だと思いました。そういった課題感と、自分のウェブ制作の現場における苦労を解消させたいという思いがUniversionsにつながってゆきました」と語る。
無駄が多いプロジェクト
永田氏がウェブ制作現場で改善したいと思っていたのは以下のような点。
・デザイナー、ライターとのファイルのやりとり
・作業進捗や、PJ管理の曖昧さ
・ツールの乱用(SkypeなのかFBメッセなのか、メールなのか)
簡単なことかもしれないが、「ZIPファイルで直接メールしたり」「ファイル送信サービスを使用したり」「特定のアプリでしか開けないファイルを使用したり」といったことから始まり、あらゆるプロセスがバラバラなのが市場前提における問題点。
膨大なファイルとタスク、複雑な作業フローの上ではこれらの無駄が致命的になることもあり、これらを効率化することがとても重要なのは言うまでもないが、作業ワークフローや作業環境と統一し構築しなおすのはかなり苦労がある仕事でもある。
永田氏が描くのは、メールでファイルを送付するのと変わりない使い勝手で、バージョン管理やプロジェクト管理ができるようになる使用感。
「例えば、Univerisonsでは、メールで送付するまでもないちょっとした修正でもプッシュ(共有)できるため、作業途中の状況を細かく把握することができます。
こうすることで、より小さな単位のタスクを消化していけるわけで、チーム全体のモチベーションをあげることにもつながります。
仮にプロジェクトのみんなが一つのオフィスにいなくても、同じファイルを見れ、同じタスクを共有し、同じ場所(universions)でプロジェクトを見守れるという一体感が生まれるのです」。
リモート協業の懸念を払拭、多様なプロジェクトで期待
日本が最も不得手とするテレコミュニケーション。この10年でテレカンファレンスなどはかなり浸透したと思うが、ツール面もリテラシー面でもまだまだ不十分。
「Universions」のようなツールは、「まるで同じロケーションで仕事をしているかのようにリアルタイムで、クラウドソーシングにはもちろんのこと、フリーランスやリモートでの仕事の懸念事項であるコミュニケーション不足、情報共有不足を払拭する助けになる」(永田氏)と考えられる。
というユニマルは鹿児島のITスタートアップ起業で、テレコミュニケーションベースのリモート協業が不可欠な状態で、このオープンβの公開も、自らの作業の可能性を拡大する一環として行っている。
「自分たちが地方から全国・世界へ羽ばたくサービスを開発し、いつか自分たちのような「新サービスを発案・開発するベンチャー」を支援していくことが夢です。
Universionsはウェブ制作の現場をターゲットにしましたが、実際、ヒアリングをしてみるとイベント企画や卒論作成などにも使用されるなど多様な用途への活用が生まれています。リモート競合で、成果物を生むプロジェクトに導入していきたい」(永田氏)
「Universions」は、2014年5月の正式リリースに向け、タスク機能やWiki機能を開発中。プラグインをオープンソースにすることで、多様な機能(ガントチャートなど)が追加できるようにしたい考えだ。また、社内用途に対応するエンタープライズ版も計画。
ゆくゆくは多言語化対応をし、世界停会にもチャレンジしていきたいという。
ユニマル代表取締役 永田司 氏プロフィール
1989年鹿児島市生まれ。 学生時代上京し、NTTコムウェア株式会社にシステムエンジニアとして入社。仕様検討・開発に従事する。鹿児島へ帰郷したのち、フリーランスとしてWeb制作やWebシステム開発を経験。
2013年5月に共同設立者である今熊(現取締役CTO)と「新しくて面白いことをしよう」と奮起し株式会社ユニマルを設立。同代表取締役に就任。主な事業は自社サービスの開発と、WebシステムやWeb制作を主とする受託業務。
自分たちが地方から全国・世界へ羽ばたくサービスを開発し、いつか自分たちのような「新サービスを発案・開発するベンチャー」を支援していくことが夢。
【関連URL】
・新しいバージョン管理!だれでも、簡単に、すぐ始められる|universions
http://universions.com
昨年の「アプリHackersラウンジ」は、開発支援ツールが主題だった。日本IT業界全体の効率化に貢献するのはもちろん、こうしたツールは言語に依存せず展開できるからだ。
バージョン管理ツールのありがたさは、GitHubはもちろん、Dropboxなどもあり理解している人は多いだろう。タスク管理ツールも多数でてきているなど、プロジェクト管理の領域は特にホットになっている。そんな中でUniversionsのターゲット領域は、日本のみならず今後大きく成長する東南アジアなどにもフィットしそうだと感じている。