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米国に学ぶオンラインでのスクール運営:実践編 テンプレートつき

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本でもいよいよ深刻な状況になってきましたね。教育現場も今とても厳しい状況だと思います。私は、GKCorsという未就学時から英語で伝える力を養うための幼児教室を運営しています。普段はスクールで様々なアクティビティを子ども達と行っていますが、東京都知事の外出自粛例、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、子ども達と講師の安全を第一に考え、4月より全クラスをオンラインで実施することにしました。オンラインは初の試みでしたが、試行錯誤しながら取り組んできました。参考にしたのは、ロックダウン当初からオンラインレッスンを始めた、米国式の学校運営を実践してしてきた経験をご紹介します。

米国にみるオンラインレッスンの5つの特長

1.スモールスタート
米国は、スピードを重視したベストエフォートでの対応しています。米国のある学校では、州が外出禁止を出したその翌日からオンラインになると学校からすぐに案内があり、次の日には日々の時間割が送られてきていました。翌週には、オンライングループレッスンがはじまりました。日々チューニングしながら進めているようでした。最初から完璧を目指そうとせず、できるところから少しずつ始めてみましょう。

2.既存ツールを活用(Zoom,YouTube等)

海外の学校視察に行くと、学校施設や先生達のITスキルに驚くことが多いです。特にシリコンバレーの辺りでは、若い先生だけでなく、ベテランの先生達でも、パソコン、タブレットのみならずApple Watchも問題なく使いこなしています。そのため、今回のような急な変化にもスムーズに対応できたのだと思います。

3.先生に権限があり、クラスごとに特徴がある

米国の教育現場では、公立、私立ともカリキュラムはありますが現場の先生に権限があるので、クラスごとに少しずつ様子が異なります。先生ごとにばらつきがあるとも言えますが、こういった非常事態には先生が決断してすぐに実行に移せることは大きなメリットがあります。日本では、今のシステムを急に変えることは難しいかもしれませんが、先生ごとにシラバスを決めている学校も多くあると思うので、やろうと思えばできるのではと思います。

4.発表の場がある

米国や海外の学校、日本でもインターナショナルスクールなどでShow and Tellといったような発表の場が多く設けられています。米国のオンラインレッスンをみていても、オンラインでもきちんと発表の場が用意されています。米国式オンラインレッスンは、一方的に先生が話しかけるだけでなく、子ども達の発言を促すインタラクティブなクラスという特徴があります。

オンラインクラス実践

ここからは、これからオンラインレッスンをやろうかと考えている方に向けて、私がここ1ヶ月弱取り組んできた米国式オンラインの実践法をシェアします。

1. 時間割を作る

1日をかけて子ども達にお家でやってほしいことをスケジュールして案内します。1日のスケジュールがあると、保護者も予定が立てやすくなりますし子ども達も次は何をするのかを把握しながら取り組むことができます。GKCorsでここ1ヶ月弱やってきた中でチューニングしながら作ったスケジュールをご紹介します。

GKCorsでのスケジュール例

2.オンラインツールを選ぶ

オンラインでの学習をサポートするサービスやプラットフォームは世界に沢山あります。ここでは、オンラインレッスンを考慮する際に便利なツールをご紹介します。一部機能を無料で解放しているサービスもありますので、使ってみてください。

Zoom
現在リモートワークなどで利用している企業も多いので、ご存じの方も多いかと思います。初心者でも感覚的に操作できるところが特徴です。無料アカウントでも利用できますが、グループレッスンをするのであれば、有料プランがオススメです。

Google Drive 
ファイル共有に便利なツールです。教育向けのものもあるので、すでにご利用の方もいるかもしれません。保護者へプリントを送ったりするのは個別で行うより一か所に格納して一斉に案内したほうが便利です。サービスによっては、ウォーターマークをつけたりダウンロードを制御できたりもするので、コンテンツをオンラインに出すことに懸念がある方も使い方次第で安全に使えると思います。

Seesaw
学校現場では、国内外で多く導入されているシステムです。生徒に課題を送ったり、提出した課題をチェックできるのはもちろん、連絡機能もついているのでプラットフォーム内でやり取りがスムーズにできます。

Ravenna
海外の学校では、デフォルトで入っているのではという程よく見るサービスです。入学願書の受付から、学費の決済、入学後の保護者とのやり取り、日々のスケジュール案内の送付など多機能なプラットフォームです。

3. オンライングループレッスンは余裕をもって

オンラインレッスンは、リアルと同じようにはいきません。時間配分、レッスン内容の量等をオンラインようにチューニングしていく必要があります。

3-1.オンラインレッスンの量は、リアルの7割~8割位の量にしておく。
オンラインレッスンでは、クラスの統制を保つのがリアルより難しいです。レッスン開始に全員揃っていない、何かを取りに行くのか突然画面から消える子がいたり。。。教室であれば、席を立ったらどこに行くのかまでも見えますが、オンラインでは画面で移される箇所しかみえません。こういったリアルであまり想定されない出来事が起こりますので、いつも通りに進まないということもしばしばです。そこを考慮し、余裕を持ったレッスンプランをたてる事をおすすめします。

3-2. クラスは少人数でやる。
経験上、理想は10名以下です。現実的には難しいところもあるかと思います。大人数でやる場合には、別枠で個別の時間を設けるなどしてフォローできるようにしておくと満足度も高いです。また、少人数だと発表の場も作りやすいです。

3-3. オンラインレッスンは先生を2名体制にしておく
オンラインレッスンでは、どれだけ準備していても突然ネットワークが途切れたり、機材が壊れたりということも起こります。慣れないもので先生達も焦ってしまうかもしれません。そんなときの為に先生は2名体制にして、メインの先生とバックアップでスタンバイしている先生がいると余裕をもって対応できます。

おまけ:GKオリジナル英語ノートテンプレート

今回、オンラインレッスンを始めようと思っている方、お家でお子さんとのアクティビティに悩んでいる方向けにGKCorsで使っている英語ノートのテンプレートを無料で公開します。アルファベットの練習に、英語日記用など。面白いアイデアがある方はお知らせいただけたら嬉しいです。

ダウンロードはこちらから:GKオリジナル英語ノートテンプレート

最後に

事態は終息するどころか、日々悪化しており、心配な状況が続きます。予定されているGW開けに学校も再開できることを切に願っています。しかし同時に最悪の事態も考えなければならない時期だと思います。そのときのために、今からオンライン移行について準備しておくことも必要かもしれません。私の経験談が、教育現場で日々試行錯誤なさっている方々に少しでも参考になればと思います。

寄稿者プロフィール


満木 夏子
GKCorsのCo-founder, Director を務める。
グローバルカンファレンスの主催企業で企画・運営責任者を経験。英国での就労経験、また前職での国内外のプロフェッショナルと関わる中で、次世代の子供たちには日本にいても世界に出ても自分の考えを英語できちんと伝えられるようになってほしいと2018年にGKCorsを立ち上げ。現在は、世界最大のテクノロジーカンファレンス、ウェブサミットの日本事務局代表としても活動している。

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