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近頃、フィリピン国内で日系スタートアップの活躍を耳にする機会が多い。
まずはADerL。ユナイテッド株式会社のフィリピン子会社で、無料インターネット懸賞サービス「DreamGiver」の会員数が5万人を突破したと発表した(プレスリリース)。
「DreamGiver」は、フィリピン初の無料インターネット懸賞サービス。ユーザーはメール/SMS広告受信などで貯めたポイントで懸賞に無料で応募でき、毎月数名に現金やiPad Airなどのガジェット、その他様々な賞品が当たる仕組み。
フィリピン初の無料インターネット懸賞サービスということで、公開当初はインターネットに不慣れな層からはサービスに対する不信感もなくはなかったそうだが、それでも着々と数字を伸ばし、今では「僕を当選させてください!」「iPhoneがどうしても欲しいんです!」というお客様の声も多いという。
また、注目したいのは、ユナイテッドが1999年から運営している「ドリームメール」のノウハウを単純に海外横展開しているのではなく、貧富の激しいフィリピンの事情を汲み取ったサービス設計になっているところ。フィリピンの特殊な事情を丁寧に分析し、トライアンドエラーを繰り返したADerLならでは。フィリピン国内向けのサービスなので日本から会員登録はできないが、サービス概要は確認できるのでぜひご覧いただきたい。
ADerLはFacebookマーケティング支援サービスも提供している。CEOの若林パトリック佑治氏によると、「フィリピンに進出している日系企業に好評」とのこと。これからフィリピン進出を検討している企業にとって、フィリピン事情を熟知しているADerLは心強い存在だ。
フィリピンベースの日系スタートアップといえば、YOYO HoldingsがDreamGiverより一足先に公開した「Candy」も。
※会社法人としてはシンガポールで設立されている
Candyは新興国向けのモバイル報酬プラットフォームで、ユーザーはサービスから提供されるミッション(アンケートや質問に答えたり、アプリをダウンロードするなど)をクリアすると、プリペイド携帯で使える通話料を受け取ることができる仕組み。
昨年フィリピンでベータ版が公開された際には目標値を大幅に上回るユーザーが集まり、ベータ版のクローズを予定より早めたほど。
現在、フィリピンでは公開8ヶ月で75,000ユーザー、インドネシアでは公開1ヶ月でユーザー数を30,000人に伸ばしており、3月に開催された「Echelon」のPhilippines Satelliteで優勝して6月の本戦に出場するチャンスを得ている。こちらも勢いがあるサービスなので、ぜひご注目を。
【関連リンク】
DreamGiver – http://www.dreamgiver.ph/
ADerL Inc. – http://aderl.com/
Candy – http://can-dy.ph/
YOYO HOLDINGS PTE. LTD – http://yoyo-holdings.com/
「◯◯サービスのユーザーがウン百万人/ウン億人突破」というニュースを見慣れた人には、「7ヶ月で5万人」という数字は、いくらフィリピンになかったタイプのサービスとはいえインパクトに欠けるかもしれない…と思いながらこの記事を書いた。
ADerLのCEO若林氏は日比のハーフでフィリピン育ちだけど(高校から日本)、それで単純にフィリピンを選んだのではなく東南アジア各国を市場調査した結果が「フィリピン」。貧富の激しいフィリピンだからこそ「100%当たらなくてもチャンスを平等に与えたい。サービスを通じて”Dream(夢、希望)をGiver(提供)したい」という想いからサービスの名前を「DreamGiver」としたそう。市場調査のためならスラム街にも足を運ぶし、屋台メシも食べる。YOYOのCEO深田氏も、ラングリッチでのインターン生活をしながらフィリピンのモバイル事情の市場調査、仮説検証を何度も重ねた上でCandyをローンチしている。日本の経験値や成功事例をそのまま持ち込むのではなく「その土地を知った上での最適な方法」を模索するからこそ、着実に数字を伸ばすことができるんだと感じた。