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「言論は相対化する」「社会はフラットになる」・・・。佐々木俊尚さんと話をしていて、ときどき「?」となってしまったことがあるが、そうか、こういうことを言いたかったのね。
やはりさすがの文章力で、抽象的な話を分かりやすく、おもしろく、一気によませてしまう本だ。
どこかに帰属し安心である一方で窮屈な社会。それが反対に、自由だけれど精神的に不安になる社会に移行しようとしている。その辺の感覚って、僕は実によく分かる。僕は人生の半分近くを米国で過ごしたんだけど、米国はまさに自由だけど精神的に不安になる社会だった。日本もそんな不安定な社会になっていくんだろうなあ。
これまで国家のになってきた「公共性」を自律分散的なシステムによって再建する必要があるとのべているが、その見通しが立たないってことなんだけど、米国ってまさに「公共性」を自律分散的なシステムで担ってるんだよね。要は、人々の意識は自律分散的なコミュニティーに属していて、それらのコミュニティーを「自由」という概念や「星条旗」というシンボルでまとめあげているのが米国だと思う。
で日本人も会社というコミュニティーから別のコミュニティーに帰属意識を移していく。別のコミュニティーは地域的なものではなく、mixiのコミュニティーだったりするかもしれない。そうした多くのコミュニティーを国家として1つにまとめ上げる概念が、日本の場合、まだなんだか分からない。でもいずれ語られるようになる気がするので、僕はそう心配していない。
そう考えるとインターネットって、米国的なもんなんだね。恐らく米国ではこの本のような論調は出てこないと思う。だって既に自律分散で公共性を作り上げているんだもの。
過去に佐々木さんの本を何冊か読んだけど、この本は間違いなく彼の代表作になるだろう。執筆に当たり大変な思いをしたみたいだけど、ご苦労さまでした。すばらしい本になっています。
それにしてもスポンタ君。本を読まずに書評を書くという、びっくりするような言論活動はやめてね(笑)。君のほかの言説まで相手にされなくなってしまうよ(もう既に相手にされていないという説もあり・・・汗)。共著者として本
追記:米国は確かに自己の確立した自律分散的システムなんだけど、それをとりまとめる公共性の部分で米国マスコミが果たしている役割は日本以上に大きいと思う。大統領選挙なんて政治ショーそのものだし、PR会社が米国の大統領選に果たす役割も大きい。
では、そのマスコミが弱体化していけば、公共性はどのように担保できるのだろうか。
やはり答えは、佐々木さんが「理想論かもしれないけれど」というところの「公共性はわれわれ全員が分散して担う」ということになるんだろうなあ。繭に守られたような社会は確かに安全だけど、それでは自己の確立は難しい。あぶなっかしくて恐いけど繭を破って浮遊することに挑戦して初めて蝶になって飛べるようになる。つまり自己が確立するわけだ。もちろん浮遊できずに鳥の餌食になるケースだって多いとは思うけれど。