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「何がなんでも大手広告会社になってみせる」と宣言しただけあって、急成長を続ける米SNSフェイスブックに対する出資に関する交渉合戦でマイクロソフトがグーグルを押さえて出資する権利を勝ち取った。
マイクロソフトは、広告業務における協力体制を強化する目的で、出資額2億4000万ドルでフェイスブックの1.6%の株式を取得する。つまりフェイス
ブックの価値を150億ドルと評価したわけだ。売上高わずか1億5000万ドルの会社であるにもかかわらずだ。グーグルもフェイスブックとの関係を強化す
る目的で、フェイスブックと交渉を続けていたもようだが、「何がなんでも」というマイクロソフトのほうが高い値段で競り落としたということだろう。
発表文
によると、マイクロソフトはフェイスブックの広告プラットホームの単独パートナーになる。フェイスブックとマイクロソフトは2006年8月に、マイクロソ
フトがフェイスブックの標準バナー広告を米国内ユーザー向けに配信することで、提携関係に入っている。今回の出資でその関係をさらに強化し、マイクロソフ
トは全世界のフェイスブックユーザーに向けてのあらゆるタイプの広告に関し、独占的に取り扱う権利を得たわけだ。またマイクロソフトとフェイスブックは、
新しい広告テクノロジーを共同で開発し、フェイスブックのサービス上で実装していくとしている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル
は、マイクロソフトの音楽サイトやインスタント・メッセンジャーなどのサービスがフェイスブック内に搭載される可能性も出てきたように報じているが、米CNET
によるとマイクロソフトとフェイスブックの関係者は記者会見でこれを否定、今回の提携はあくまでも広告事業が目的であると明言している。
なぜマイクロソフトがフェイスブックの株式のわずか1.6%に対し、これだけ巨額の資金を投入したのか。それは、フェイスブックのようなソーシャルメディアが巨大な広告媒体になりつつあるからだ。調査会社ガートナーのアナリスト、アンドリュー・フランク氏は米CNET
の取材に対し、「マイクロソフトは、姿を見せ始めたソーシャルメディアの広告生態系の中で、自分の場所を築こうとしている」と答えている。フェイスブック
のようなコミュニティーの中では、ユーザーの性別や年齢といった個人情報や、趣味嗜好などの情報も簡単に入手できる。こうしたユーザー情報を使って、個々
人の情報ニーズに沿ったターゲット広告を打てる。当然のことながら高い効果を得ることができるわけだ。
しかしフェイスブックがこうしたユーザーの情報をどの程度マイクロソフトと共有することになるのかは不明。記者会見でフェースブック関係者は、「ユーザーの信頼こそがフェイスブックにとって最重要課題である」と語っている。