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メディアの近未来はどうなるのか。広告の近未来はどうなるのか。こうしたテーマで取材を続けてきたのだが、今年春の米国取材を経て、広告の近未来がはっきりと見えた。
そしてその近未来は、予測していたものとあまりに大きく異なったため、米国取材前の原稿をすべてボツにしたのだ。(ボツにした未完成原稿)
さてその近未来像なのだが、広告という定義では到底語れないものに変貌するというのが結論である。その近未来はマーケティングプラットホームという形で姿を現し始めており、そのプラットホームはグーグルでさえ1社で牛耳れない世界になりつつある。
このことは書籍としてまとめるつもりなのだが、その前にそのエッセンスを「Web STRATEGY」という雑誌の特集記事「これだけは押さえておきたいweb近未来予想図」として寄稿することにした。
予測のベースになっているのは1つには、ハーバード大学クラーク・ギルバート教授の「急速な技術革新に見舞われた業界は1つの法則性を持って推移する」という主張である。新しい技術は、古い技術に一挙に取って代わるわけではなく、古い技術がリーチしていないような周辺部分のニーズから徐々にシェアを伸ばしていき、古い技術の売上高が減少し始めるころには既に勝負はついている、という説である。
予測のもう1つのベースは、歴史的大変革期には競争のルールが変わるという経験則である。競争のルールは、個人的技量をベースにした個人戦から、テクノロジーを使った組織戦に変わる、という説である。
この2つをベースにして考えれば、広告とは呼べないようなグレーな部分の領域で起こっているテクノロジーをベースにしたような組織戦が、最終的には従来からある広告の市場を侵食することになる、という予測が成立する。
その近未来の姿の先行例を1つ挙げれば、キーワード広告の自動入札ツールがある。アーキテクチャーを最初に考えておけば、あとは自動的に最適化された広告が配信される、というものだ。
こうしたテクノロジーが次々と登場し、漫画サザエさんに登場する三河屋さんのようなきめ細かなコミュニケーション、サービス、セールスが自動的に展開できるようになるのだと思う。
そうしたテクノロジーは1社で提供されるのではなく、複数の社が連携することで実現し始めている。それがマーケティングプラットホームである。
今のところ、そのプラットホームの核になっているのは、salesforce.com、omniture、doubleclickである。
その辺の最新の動きを、特集記事にさせてもらっている。
ウェブの近未来予想図のネタばらしをすれば、「出版プラットホームとしてのウェブの時代は終わり、マーケティングプラットホームとしての時代に突入しようとしている」ということになる。詳しくは今週発売のweb starategy誌か、今秋ソフトバンク・クリエイティブから刊行予定の書籍を読んでいただきたい。