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「毎朝駅まで妻を車で送っていっているんです。ラジオを聞きながら運転しているんですが『詳しくはwww.○○.co.jp/radio/infoまでアクセス』っていわれても、そんなの運転しながらメモれないでしょ」。株式会社フィールドシステム取締役の津久間孝成氏は、新技術の開発動機をこう語る。
長いURLをキーボードなどで直接入力せずにウェブサイトにアクセスする仕組みとして、QRコードはずいぶんと普及した。新しい携帯電話にはQRコードリーダーはまず搭載されているし、雑誌や名刺、ポスター、チケットなどにQRコードが印刷されてあるのもよく見かけるようになった。QRコードのようなURLの入力の簡単な仕組みを音で実現できないだろうか。津久間氏はそう考えたわけだ。
開発した「サウンドコード」という技術は、URLなどの文字情報を音声コードに変換し、それを携帯電話のマイクで受け取ってURLなどの文字情報に戻す、というもの。
取り扱える文字情報は英数半角で最大2048文字。それを音に変換すれば0.7秒の長さになる。普通のURLは長くても40文字程度だから、100分の1秒ぐらいの音で送信できることになる。
またほかの音声の合間にマイナス30デシベルの音量差でサウンドコードの音を流すことも可能。ほとんど聞き取れないレベルの音になる。
まずは市販の携帯電話でもインストールできるアプリとしての普及を考えているという。
ケータイ側の使用手順としては、アプリを立ち上げてマイクを起動しサウンドコードを受信する。受信したコードはアプリでURLに変換され、携帯ブラウザでウェブサイトにアクセスするというところはQRコードの手順と同じだ。
ケータイのマイク経由でURLを入手すれば、どのようなことに利用できるのだろうか。
まずは冒頭のようなケース。ラジオから流れてくる音にサウンドコードを埋め込んでおき、ケータイを使ってURLに変換してウェブサイトに誘導するというものだ。
テレビ番組の中で、タレントの着ている服がいいなと思えば、テレビにケータイを向ければ音でURLを取得でき、その服を販売するECサイトのウェブページにアクセスできると便利かもしれない。
ショッピングモールのスピーカーから流れる音楽の合間にサウンドコードが埋め込まれていて、スピーカーの近くのショップのクーポン券やセール情報にケータイでアクセスできるという使い方も考えられる。
美術館で展示品の近くのスピーカーから聞こえない程度のサウンドコードが発信されていて、展示品の説明をケータイで読むことができるというのもいいかもしれない。QRコードは読み取りにちょっとしたコツがいったりするが、サウンドコードならより簡単にURLが入手できる。
そのほかスピーカーがある環境なら、どんなところでもURLをケータイ向けに発信できることになる。
サウンドコードは、1月20日に開催された i*deal Competition(三井ベンチャーズ主催)で最優秀賞を受賞した。
サウンドコードについては開発元のフィールドシステムのウェブサイトにもまだ詳しい説明が載っていないので、参考までに取材メモを下に添付します。
- サウンドコードとは、符号化された音声によって簡単に低コストで携帯端末にURLなどを送付する技術。
- URLを主体としたメッセージなどの文字コードを
音声帯域における広域信号帯域を使い不特定多数に向けて送信する。 - 送信されたコードをURLなどの文字メッセージに変換して表示し、URLへのアクセスをうながす。
- 送信はスピーカー、受信はマイク。通信媒体は空気。パソコンを使って送信したい文字コードを音声データに変換し、転送し、スピーカーで再生す
る。放送局の放送の音声帯域に乗せることも可能。 - サウンドコードは、空気を媒介したアナログ信号だが、頭出しや、補正機能など、デジタルで一般的な機能を持つのが特徴。一回で100%のデータを拾えなくても、2回、3回と受信することで完璧なデータになるという。
- サウンドコードは、可聴音声なのにほとんど聞こえない。12キロから13キロの音声帯域を使用。自然界にはこの帯域の音はあまりなく、他の音と混ざることはないという。最大16フレーム、2048バイトのデータ量の送信が可能。
- 既存の音声インフラの使用が可能。テレビ、ラジオ、CD、ブルーレイなど、あらゆる音源に乗せることが可能。受信端末は、マイク搭載のものであれば、携帯ゲーム機、PDAなど何でも可能だが、普及率が高い携帯電話がやはり最適。
- 利用が一般的になる前は、サウンドコードを認知させるために「ピンポンパン」というようなチャイムをならすことも必要か。「詳しい情報をご希望のかたは、今からサウンドコードを流しますので、携帯電話をスピーカーにかざしてください」などのアナウンスも必要か。
- 商標と2つの特許は取得済みで、米欧中での国際出願も終わっている。
- 最初は既存の端末に乗せるソフトウエアという形での普及を見込むが、最終的にはチッ
プに埋めこむことも検討している。 - ケータイにハードのボタンを設置し、ボタンを押せばマイクが起動してサウンドコードを入手できるという形に発展すること
が理想。 - ビジネスモデルは、QRコードと同じ形を想定。つまりコード生成するのは無料だが、入手したURLでサイトにアクセスするたびに非常に少額の料金が発生することを想定している。ただ具体的にどのようなビジネスモデルで展開するかはこれから検討するという。
- この事業への投資してくれるベンチャーキャピタル、一緒に事業を展開するパートナー企業を募集中。
株式会社フィールドシステム
- コンテンツプロバイダー、Flashなどでユーザーインターフェースを製作し配信する。3キャリアで10サイトを運営。また各ケータイのサービスサイトのコンテンツの製作受注も行っている。
- 去年バルセロナで開催されたノキアのイベントでウィンドというスクリーンセイバーで賞を受賞。一日の時間帯によって背景が変わったり、電波の受信状況によって速度が変わる。アジア9カ国で1位。
このイベントを取材したCNETのサイト上でプレゼンテーションの一部を動画で見ることが可能(1分23秒)。CNETの動画のページはこちら。