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「インターネットは情報提供の点で対面より有意か否か」
この問いに司法が結論を言い渡した。
市販薬の一部を除き通信販売を禁止する厚生労働省の省令の無効を求めた裁判で、東京地方裁判所は原告の訴えを退ける判決を下した。
ケンコーコムが公表した判決の要旨には、以下の一文が明記されている。
「インターネット販売は対面による販売にお及ばず、両者の間には相当の
優位有意な差異があるといわざるを得ず、インターネット販売を行なう業者による対応策(原告ケンコーコムの実施例)及び自主規制案(JODAガイドライン及びJODA業界ルール案)の提案によっても、この差異を克服し得る方策を示されているとは認め難い。」
これに対し、原告の一人であるケンコーコムの代表取締役 後藤玄利氏はTwitter上で以下のように述べている。
まだはらわたが煮えくりかえっている。検討会で一部の委員がインターネットへの偏見を発言していた。この発言を、裁判所が判決文で全面的に追認した罪は重い。
判決について書かれた後藤氏のブログでは、判決でどういった問題点が指摘されたかが説明されている。
1. 対面販売では、購入者の年齢、性別、体格、身体上の特徴、顔色、表情、行動、態度やしぐさ、声質や口調を見聞きできるのに対し、インターネット販売ではそれらが困難である、あるいは購入者の申し出の場合は自己申告だからその申告内容の真偽の確認が著しく困難である。
2. 対面販売では、有資格者は名札で表示されているので確認できるが、インターネット販売では応対の相手が本当に有資格者であるか確認できない。
3. インターネット上で、禁忌事項に関するチェックボックスを設けたところで、それを正しく理解しているかわからない。
4. 対面販売で例え、実際の使用者が購入者以外のものであっても、対面販売であれば、購入者から情報をしっかり聞き取ることができるが、インターネット販売では購入者の自己申告に基づくしかないので、虚偽の申告を見抜けない。
後藤氏によれば180ページにも渡るという主文。内容の精査は必要だが、この判例を理由に、ネットビジネス全体の信頼性がそこなわれる可能性もあり影響は大きいと言えそうだ。
[公式] 健康とECのBlog「一審敗訴を受けて 」(ケンコーコム 後藤氏)
[公式] ■ケンコーコム、医薬品ネット販売規制訴訟「判決要旨」を公開
[PDF] ケンコーコム医薬品ネット販売訴訟「判決要旨」
(増田(maskin)真樹)
1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。
週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連雑誌で活躍。
独立系R&D企業のマーケティング部責任者の後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの立ち上げに参画。
ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。ニフティやソニーなどブログ&SNS国内展開に広く関与。
現在、複数のメディア系ベンチャー企業にアドバイザー・開発ディレクターとして関与。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。
書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。
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