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(以下、Twitter経由でこの記事によせられた反響を確認することができる)
http://bit.ly/info/cJ04WC#conversations_data
このような問題を紙のメディアで提起し、リアルタイムウェブというメディアで受け止めより深い議論を生むという新しいメディアのありかたへの期待に多くの人が共感してくれた。
しかし、この記事でお伝えしたいのは、「既成メディア」→「リアルタイムウェブ」という構図があるというだけの話ではない。もう一つの課題に、「なぜ、シー・シェパードだったのか」という点がある。
ソトコトが環境をメイントピックにした雑誌だからという以上の理由がそこにはあるんじゃないか。だからこそリアルタイムメディア=世論は動いたのではないか。そんな疑問から副編集長 指出一正氏に話を聞いた。
ソトコト副編集長・指出一正氏 インタビュー
質問その1:なぜ今「グリーンファイター」なのか
ソトコト副編集長・指出一正氏:
グリーンファイターとは、「社会をよりよくしていきたいという考えを持った人たち」の総称です。ソトコトでは環境問題をわかりやすく扱ううえで、ボランティアや社会起業、NPOといった活動や概念を長年取り上げてきました。
今回の特集「グリーンファイター100!」は、系列としてはその流れにある企画ですが、特に「人」に焦点をあてています。人が動くことで流れが変わり、人と人が出会うことで大きなうねりが生まれます。環境問題はつきつめていくと、どのようなジャンルであれ、「対人」にぶつかります。
今、世界でも突出したかたちで環境問題に取り組んでいる新しいリーダー格の人たちを一挙に掲載したら、この地球上で起こっている出来事を少しでも俯瞰できるのではと思い、編集しました。
質問その2: なぜ「シー・シェパード」という難しいテーマに挑んだのか?
ソトコト副編集長・指出一正氏:
ポール・ワトソン氏と、彼が代表を務める団体シー・シェパードを取り上げた理由は、「イメージを大切にするセレブリティや企業がなぜこれほどまでにこの環境保護団体を支持し、応援するのか?」という素朴な疑問からです。
日本の大きなメディアの報道や記事からは、彼らの過激な直接行動のイメージしか伝わってきません。新聞や時事のニュースという限られた枠内での報道は要点や争点のみにとどまってしまうことは仕方がないのかもしれませんが、シー・シェパードの全容や彼らの素顔が見えてきませんでした。
雑誌という媒体はある程度長いストロークでひとつのテーマの記事をつくることが可能なので、実際に会いに行って、彼らの生の声を聞き、ページをつくりました。
今回のシー・シェパードに関する20ページという長い記事を読んでいただければわかるのですが、実際に会うまでの私たちのポール・ワトソン氏とシー・シェパードへの印象は、公に発表された情報から想像する「いただけない連中」という一方向のものでしたが、その考えは少しずつ変化をしていきました。
そうは言っても、ソトコトの絶対的なスタンスは「○や×をつけない中立性」です。この記事に載っていることが現段階で、日本では報道されづらかったシー・シェパードという団体の知られざる一面を紹介していることは確かだと思いますし、そういった両面を合わせもった記事をつくることが活字メディアとして本来あるべき姿なのではないかとも考えています。
意外だったのが、シー・シェパードに対する認識の点。筆者が前編で述べたような“なぜ、あんな行動を取るのか”“なぜ、有名企業やセレブが支持するのか”といった疑問を、同じように感じていたといたのに驚いた。なぜかというと、環境問題を扱う雑誌だけに、長年シー・シェパードと関係があった、だからこの企画が実現したのでは、と思っていたからだ。
しかし、現場は違った。4月6日、編集部とコンタクトしていた筆者は、決して狙いすましたような雰囲気ではないことを肌で感じていた。
ソトコト2010年5月号が発売されたのは4月5日。筆者の周辺では、その特集を知った雑誌関係者やメディアに通ずる知人から絶賛の声が多数飛びかっていた。私も“タブー視されるも疑問の多いテーマに挑む”姿に共感した。しかし、翌日あたりからは、Twitter等でバッシングの嵐。その流れが強まるとともに、“世論は本当にそうなのか?自分の感覚はどういう位置付けなのか”という疑問が筆者自身の中に生まれていた。
編集部もその反応をTwitter経由で見ており、発売直後の絶賛から一転した流れを真摯な態度で受け止めていた。ソトコト自ら取材を進めるにつれ、シー・シェパードへの認識に変化があらわれたように、世論にも変化があるのは当然なのかもしれない。しかし、メディアの目にはその“世論のゆらぎ”はどう写ったのだろうか。
質問その3:特集号発売直後の反応とTwitter展開について
ソトコト副編集長・指出一正氏:
今回の特集の企画段階から、シー・シェパードを取り上げれば、それは言葉の耳なじみのよさや目に安らぎを与えていくような読後感のみにはならないことは想定していました。
そこで、読んでくれた方がなるべく早めに、感情と言葉があふれるその瞬間に、グリーンファイターの記事の印象や意見を、同じ読後の仲間と共用できるような場所をツイッターを活用したオフィシャルサイトに設けることで、一方通行になりがちな紙メディアの「言いっぱなし」の弱点をフォローしようと思いました。
この数日のツイッターやお電話でのご意見は、真摯な気持ちで編集部では拝受しています。中には身内の方が捕鯨船に乗っていらっしゃるという方からもお叱りのご連絡をいただきました。ただ、記事全体を読んでくださったうえでのご意見は非常に少なく、新聞広告や表紙などのざっとした印象をコメントしてくださる場合がほとんどです。
今後、記事に関してのより具体的なご感想やご意見が各論的に届くことかとは思われます。そういった絶賛と批判の双方向のご意見から、私たちも引き続き、困難な環境問題を中立的に伝えていく姿勢を学んでいく所存です。(了)
ネット世論で常に問題となるのが「内容を知らない上での意見」だ。匿名性という隠れ簑に身をひそめいいたい放題という輩もいるが、それとは別として本人はその気になってレビューしているのだが、実はその対象に触れたことすらないという問題がある。
Amazon.co.jpが発売前の商品にレビューする機能を停止したのは記憶に新しいが、同じことが今回のことにも言えるる。まだ売ってもない商品を批評することはできない。ソトコトの記事も、読まずあれこれいうことは、一体何に対しての批判なのかがわからないということになる。(中吊りの表紙の写真が嫌だという意見は当然あり)。
現在、この話題はTwitter上のハッシュタグ「#greenfighters」を含め、記事に対するTwitterの反響、そして前編・後編のコメント欄などで確認することができる。
やはり読んで無い人の意見が多いが、徐々に、記事を読んだ人からのコメントも入っているようだ。中には記事を読んだとしても、内容を批判する人もいる。ソトコトという媒体の評価もさまざまだ。本記事に対しても「ソトコト記事に賛同するのか?」みたいな若干的外れな反応もある。
特集を読み、今回のインタビューを聞いても、まだ疑問が解消されない、受け入れ難いという人も多いだろう。この問題は、批判や賛同を受けつつ、答えの出ない議論が今後も続くだろう。
実は、これこそがリアルタイムメディアの意義だと筆者は考えている。一般の人・読者・メディアが一つのテーマで議論していることで、世論が次なる課題に向け前進し続けている。
既成メディアは、キャッチーな報道の“その後”を完全にカバーすることはできなかった。世論も生のまま報道することは未だに少ないが、Twitterを筆頭とするリアルタイムウェブはその受け皿になっている。
つまり、これからのメディアを考えた場合、紙媒体を電子的インフラで配信するとかいう話よりも、何が本当の意味での「メディア」になるのかという話の方が重要ではないかと思うのだ。電子出版は、出すだけではこれまでの売り切り型メディアとほとんど変わりがなく、“それから”の部分が期待されていると思う。
ネットの良さは、巨大な既成メディアには無視されてしまうような小さな論点に光を照てることにあると思う。批判がつきない終りなき議論に焦点を合わせるようなメディアこそが、これからのメディアではないかと思うのだ。(ないと思う→ない[か]と思う)
[公式] 最新号 2010年5月号[特集]グリーンファイター100! | ソトコト
(増田(maskin)真樹)
1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。
週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連雑誌で活躍。
独立系R&D企業のマーケティング部責任者の後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの立ち上げに参画。
ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。ニフティやソニーなどブログ&SNS国内展開に広く関与。
現在、複数のメディア系ベンチャー企業にアドバイザー・開発ディレクターとして関与。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。
書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。
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